Open Source Development Labsジャパン(以下、OSDLジャパン)は12月16日、「2003年Linuxレビューミーティング」を開催、Linuxに関する今年の動きを解説した。
OSDLは、Linuxの開発者であるLinus Torvaldsが所属し、Linuxの成長とエンタープライズでのLinux採用を促進することを目的として、2000年に設立された非営利団体。OSDLのスポンサー企業は、31社にのぼる。
2003年を振り返り、「今年は企業がLinuxに対して“本気”で取り組みはじめた年といえる」とOSDLジャパン ビジネス&マーケティングデベロップメントマネージャの小薗井 康志氏は、ビジネスでのLinux利用が本格化しはじめたと説明した。「昨年は、Linuxはビジネスに使えるのかどうか疑心暗鬼で、まだ本格的に取り組んでいる印象はなかった。それに対して、今年はWindowsや商用UNIXと同じレベルでの扱いに“格上げ”された」と、Linuxが本格的にビジネスで利用されはじめた点を強調した。
しかし、ビジネスでの利用といっても金融や流通の一部での利用が始まった程度で、「製造業などの基幹システムではまだまだ利用されていない」とOSDLジャパン ラボディレクタである高澤 真治氏は語る。「Linuxを使えばコスト削減できるという点が強調されすぎたきらいがある。実際には、サービスなどを含めると若干安い程度」とオープンソースだから安いというイメージが先行した点について触れ、「大規模システムでの性能や安定性を向上させたカーネル2.6のリリースが間近であり、Linuxが基幹システムで利用されてもおかしくはない。しかし、これを支えるサービス部分をメーカーやSIerがしっかり支えないと、基幹システムでの採用は進まない」とサービスが重要であると解説した。
そのほかLinuxに関する話題として、政府・自治体がLinux/オープンソースに多大な関心を示したことを挙げた。「特に経済産業省は外郭団体などを通じて、さまざまなアプローチをしている。地方自治体も同様にLinuxに対する関心を高めている」と今年に入ってLinuxへの関心が高まった点を指摘した。
UNIXライセンスに関する契約違反等で米IBMを訴えたSCOについては、「この件は触れずに済まそうかとおもったが」(小薗井氏)と切り出しつつも、「OSDLとしては、中立的な立場で見守っている。Linuxの普及促進を支援する立場として、必要であれば資料をまとめるなどしたい」と簡単な説明で終了した。
最後に「OSDLの来年の目標は、Linuxの普及を加速させる活動をすべて行う」というOSDL CEOのStuart F. Cohen氏の発言を紹介した。「特にエンドユーザーに対しセミナーを開催するなど、Linuxの普及促進につながる活動を幅広く実施する」(高澤氏)と話し、締めくくった。
■ URL
Open Source Development Labsジャパン
http://www.osdl.jp/
( 福浦 一広 )
2003/12/17 10:24
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