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米Oracleゴドウィン氏、「使えば使うほどメリットがある、Oracle EBS」

~OracleWorld Tokyo特別講演

 日本オラクル株式会社主催の「OracleWorld Tokyo」が、12月17日から18日に、東京ビッグサイトで開催されている。17日には、米Oracle CorporationのSenior Vice President Applications Technology、クリフ・ゴドウィン氏が「The Power of Oracle E-Bussiness Suite」と題して講演を行った。


オラクルユーザーの100%に、「Linuxを推奨する」

Senior Vice President クリフ・ゴドウィン氏
 この講演の中でゴドウィン氏はLinuxとオラクルの関係に触れ、今はほとんどすべてのユーザーに、Linuxを導入するか、または検討することをおすすめしているという。「当社製品を使用する場合、お客様がどういうOSを使い、どういうハードを使うべきかということには、当社として通常言及してはいなかった。しかし、Linuxを中間層で使用することにより、従来の大型機を利用する場合と比べ、3倍高速で、1/5のコストで済むようになるだろう」と述べたほか、信頼性も向上しているとし、オラクルとしてはLinuxを全面的に推奨していることを強調。また、「移行に関して不安になることもあるだろうが、当社ではLinux移行のためのツールを用意し、数時間以内にすべてのプラットフォームから乗り換えられる仕組みを整えた」とした。

 さらに、オラクル本社でもアプリケーション環境、デモ環境、開発環境は100%Linuxに移行しているとのことで、特にデモについては「ソフトウェアの売れ方はデモで決まると言っていいほど重要だが、ここはデモを依頼された時はLinuxでやるようにしている。それだけLinuxを重用しているということ」と語った。


使えば使うほどメリットが出る、Oracle E-Business Suite

 ゴドウィン氏は、Oracle E-Business Suite(EBS) Release 11iの強みについて、すべての言語のローカライズに対応し、またユーザーの環境にあわせたカスタマイズも、ほとんど、あるいはまったくしない状況で利用できるのが強みとする。現状では「日本のオラクルアプリケーションのお客様のうち、60%がすでにRelease 11iを使用しており、旧バージョンからの乗り換えも進んでいる」と述べた。

 そのEBS 11iでは、コア部分だけでなく、関連する周辺部分まで自動化を推し進めることや、EBS内の各アプリケーションの統合、さらにはERPを取り囲む他のアプリケーションとの統合も行うことで、コストの削減、作業の軽減などが可能となってくる。こうしたことから、EBSは1つを導入するだけで完結するものではなく、コンポーネントを導入すればするほど、メリットがある製品に仕上がっているとゴドウィン氏は強調していた。

 また、現状の最新版であるRelease 11i.9については、業務別ソリューションが半分、業種別のものが半分で、それまでの製品ではなかった新しい機能をいくつも備えているという。もっとも評価されていいのは、インストールやアップグレード、運用が簡単な点だとのことだが、最高の品質を実現するためにも努力したとする。「その代表的なものが、Daily Business Intelligence Version 6(DBI V6)だ」(同氏)。


統合されたDBのメリットを提供する「Daily Business Intelligence Version 6」

会場ではDBI V6のデモも行われた。これは「直感的なインターフェイスを利用しているので、トレーニングを受ける暇のないマネージャーなどでも、簡単に利用が可能」という、同製品の画面写真
 「DBI V6、これが持つ能力によって、ビジネスの状況はがらりと変わる」とゴドウィン氏は続ける。今までは、ビジネスのマネジメントレポートをどう作るかが焦点だった。そのために、個々の分野ごとに別々のデータウェアハウス(DWH)を作って、別のPCで使ってきた。また、トランザクションシステムとDWHも別のシステムで運用されていた。そのために、トランザクションシステムからデータをDHWに持っていこうとしてもそのままではできなかったし、複数のシステムがあるためにコストもかかってしまっていた。

 しかし、DBI V6ではトランザクションと集約データベースを統合、1つのデータベースで運用することが可能になったという。これによって「トランザクションを変更すれば、データベースの方で変更をきちんとトラッキングし、最新のサマリーが出てくるようになる」変化が生まれた、とゴドウィン氏は説明した。

 またDBI V6のゴールとして、同氏は「全体を横断的に見たり、トランザクションへの完全なドリルダウンが必要。また、単一のデータベースを参照するため、絶対に正確なデータを参照できる。“セルフサービス”ということなら、アナリストだけが使えるのではなく、誰でもが利用できるものでなくてはいけない」と語る。

 こうして誕生したDBI V6では、役割ごとにサブセットにアクセスが可能となる。CEOは利益を分析してコスト管理するためのメニューに、人事部長は人に対するデータに、といった具合だ。しかもこうしたデータはほぼリアルタイムのものを参照できるため、「四半期が終わる5日前の時点で、その四半期開始から当日までのデータを、前四半期のはじめから終了5日前までの実績と比較しながら戦略を練る」といったことも可能になる。

 さらに、コスト管理を担当する人間が利用できる、トップスペンダー(もっとも支出の多い人たち)の参照という面白い機能もある。ゴドウィン氏が「同社CEOのラリー・エリソン氏の要求で作った」と述べたこの機能を使用すると、もっとも出張費、接待費が高い人たちが、きちんと実績を上げているかをチェックすることができるという。「この分析の結果、そうした人たちの売り上げに対する貢献度が低ければ、早めにチェックして対策することもできる」ため、非常に効果的な機能とのことだ。

 最後に同氏は、「繰り返しになるが、Oracle EBSは、使えば使うほど、コストの抑制や、利益をあげること、知識の獲得などに効果がある製品だということを訴えたい」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  OracleWorld Tokyo
  http://www.oracle.co.jp/oracleworld/


( 石井 一志 )
2003/12/18 00:00

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