12月17日、18日に東京ビッグサイトにて開催されているOracleWorld Tokyo(主催:日本オラクル)にて12月17日、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)株式会社代表取締役会長 兼 CEOの寺澤正雄氏と、米Hewlett-Packard Oracle Global Alliance Vice Presidentのステファン・ライル氏が「Oracle 10gとアダプティブ・エンタープライズ(適応型企業)の構築」と題した講演を行った。
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代表取締役会長 兼 CEO 寺澤正雄氏
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まず壇上にあがった寺澤氏は、HPとOracleのこれまでについて語った。寺澤氏によると、両社の関係は20年続いているという。「特に1990年代からは、オープンシステムの啓もう活動、最近はオープンシステムによるミッションクリティカルへのチャレンジと具現化に力を入れている」と寺澤氏は語る。その成果として、両社で共同開発を行ったOracleのリアルアプリケーションクラスタ(RAC)は国内および世界シェア50%を超える。「国内ではHP Oracle Solution CenterやMission Critical Certified Centerなど、検証やサポートを行う施設を共同で設立しサービス体制を整えている」(寺澤氏)。
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スケールアップとスケールアウトの両方面で世界記録を達成
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両社の関係は記録にも現れている。11月に「Oracle Database 10g」とHPのItanium 2を搭載したIA64サーバーとの組み合わせた環境でのTPC-Cベンチマークで100万トランザクション/分を上回る記録を、12月にはLinuxの4Way16ノードクラスタ環境で118万トランザクション/分を上回る記録をそれぞれ達成した。これについて寺澤氏は「ぶっちぎりのパフォーマンス」とし、「まさにOracle+HP=everything is possible」と、HPのキャッチコピーと掛けて両社の関係がいかに強力なものであるかを強調した。
続いて登場したステファン・ライル氏は、アダプティブ・エンタープライズにおけるOracle 10gの位置づけについて語った。まずライル氏は「Oracleデータベースの約40%がHPのプラットホームで動いており、顧客数は80,000社におよぶ」と、HPがOracleの最大手のプラットホームパートナーであることをあらためて強調した。
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米Hewlett-Packard Oracle Global Alliance Vice President ステファン・ライル氏
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アダプティブ・エンタープライズのイメージと対応する製品
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それではOracle 10gはHPにどのような影響を与えるのだろうか? HPが掲げるアダプティブエンタープライズは大きく分けて「ビジネスプロセス」「アプリケーション」「インフラストラクチャ」の3つのレイヤーに分かれており、Oracleの製品群がアプリケーションにおいて重要な機能を提供してきた。ライル氏は「Oracle 10gの自動管理機能によってアプリケーションレイヤーすべてを管理することになる」とし、「また、Oracle 10gによってグリッドがこれまでのインフラストラクチャレイヤーからアプリケーションレイヤーに入り込むことになる」と説明した。
今後のグリッドの普及に対しては「異なるベンダーの製品同士がつながって正常に動くのか」「バグなどがあった場合、方々に致命的な影響を与えないか」「セキュリティは大丈夫なのだろうか」といったさまざまな課題がある。HPとしてはこれらに対してどう対処していくのだろうか。ライル氏は「GUIベースのできるだけ簡単な管理アプリケーションやグリッド設定の自動化プログラムを開発など、具体的なテクノロジーの提供で対応するつもりだ」と述べた。
最後にライル氏は「グリッドはいずれ企業だけでなくコンシューマ向けサービスにも活用されるだろう。PCやその周辺機器、家電など将来グリッドに取り込むでき、モバイルやリッチメディアといった分野には特に力を発揮できる」として講演を締めくくった。
■ URL
日本ヒューレットパッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
OracleWorld Tokyo
http://www.oracle.co.jp/oracleworld/
( 朝夷 剛士 )
2003/12/18 00:00
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