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ロズワットEVP「グリットコンピューティングを科学だけでなく企業で活用」

~OracleWorld Tokyo 特別講演

 12月17・18日、東京ビッグサイトにて「OracleWorld Tokyo」が開催されている。18日には「Journey to the Center of the Grid」のテーマで、米Oracle Corporationでサーバープロダクト開発の総責任者を務めるエグゼクティブバイスプレジデント(EVP)のチャールズ・ロズワット氏が特別講演を行った。


Oracle 10gの可用性、拡張性、管理機能

米Oracle Corporation エグゼクティブバイスプレジデント チャールズ・ロズワット氏
 Oracle 10gにより「グリットコンピューティングを科学だけでなく企業内で使ってもらうことが可能になる」とした同氏。基本的には「リソースを1カ所にプールし、適切な時間にアプリケーションのワークロードに配分する」ものだという。そして「フェイルオーバーによる高い可用性と拡張性にもメリットがある」と述べた。Oracle 10g Database、Oracle 10g Application Serverともに、インストール後の自動設定やアプリケーションの再配置を行う自己管理の機能を備えており、「グリットをシンプルで使い易いパッケージに」仕上げたとのこと。「2台のサーバー、ストレージ1台のスモールシステムでも、特に管理面で、そのメリットを享受できる」とした。


データ/リソースをクラスタ内で自動配分

受注、財務、製造の処理を、データベースとアプリケーションサーバーの2つの層で配分
 Real Application Cluster(RAC)の新バージョンでは、OSによらないクラスタファイルシステムソフトウェアが実装された。この機能により「サードパーティの追加ソフトが不要になった」ほか、これにAutomatic Storage Management(ASM)の機能をあわせ、「何時間もかかっていたストレージ内の配置やチューニングの作業を自動化」する。またメンテナンスも不要になる。ミラーリング/ストライピングも自動的に利用でき、ストレージを追加した場合でも「自動的にデータの再配置を行う」とのことだ。

 また既存アプリケーションが、変更することなくグリット上で動作する。これはOracle 9iより提供されている同社ならではのRACの技術によるもので、「システムは、ポリシーをベースにしてリソースを選んで使用し、グリットの中で自由にアプリケーションを動かすことができる。ユーザーは必要に応じて設定を変えることも可能」とのこと。ポリシーは、例えば「70%以上の稼働率に達した場合、他のノードに負荷を分散する」ような設定が行える。こうしたリソースの配分はDatabaseとApplication Serverそれぞれの層で個別にできる。もちろん「複数のアプリケーションに対して」、この処理を行うことができる。


ユーザーに意識させない高い可用性

クラスタを構成するサーバーのうち1台がダウンしても、リソースは自動的に再配分される
 Oracle 10gのバックアップ/リカバリとフェイルオーバーの機能は「ユーザーからはシステムがダウンした状態が感じられない」ほど高速なもの。それは時間にして数秒で、「データベースのダウンを、自動的にアプリケーションサーバーの側で検知できる」という。これは通常ならば数分かけてポーリングを行わなければならないものだ。またスナップショットの機能により、「正しい情報まで戻れる」機能も提供している。そしてシステムのなかの1台のサーバーがダウンした場合でも「作業量にも応じて適切に」リソースの再配置が行われる。またアーキテクチャの改善により、エクサバイトレベルのストレージもサポートしている。


パフォーマンス面の性能向上

 データベースのパフォーマンスでも、「9iと比べて平均28%のスループット改善がなされている」とのこと。アプリケーションサーバーでも、「BEA WebLogicの4Wayシステムより、Oracle 10gで稼働する2Wayシステムのほうが早い」ほどのパフォーマンス改善が行われ、2ノードのシステムの世界記録を更新している。


TPC-Cの128ノードシステムで、Linuxクラスタシステムの世界記録を更新 IBMはベンチマークを公開していない。「まだ結果に満足していないのだろう」とのこと

Enterprise

 Oracle 10gで新たに追加されたEnterprise Managerによる自己管理機能では、「コンフィギュレーションの自己構成やパッチなどのアップデートも自動化される」。監視については、ストレージやデータベース、アプリケーションのほかに、ユーザーの体感値を「サービスレベルでパフォーマンスを監視する」とのこと。こうしたサービス指向のアーキテクチャにより、リソースの自動配分が行われる。そして「規模によらない」管理がWebブラウザから行えるほか、PDAなどのデバイスによるリモートで管理も行える。

 またエンドユーザーがWebベースで簡単にアプリケーションを構築できるHTML DBの画面も公開された。


シンプルなWebベースインターフェイスによるアプリケーション構築が可能な「HTML DB」 データの所在とテーブルの名前を指示し、フォームや表などのウィザードを選択する 「スキルレベルに応じたフレキシビリティを備える」とのことだ

Application

 Application Server 10gでは、J2EEの技術を中心に、「さまざまなミドルウェアのセットを、ほかのサーバーソフトウェアとは違う形で統合している」とのこと。「サービス開発のフレームワークにより、UDDI、SOAPといったWebサービスのプロトコルを使って、アプリケーションの導入、移行ができる。たとえメインフレームのアプリケーションでも、同社の提供するコネクタによりインテグレーションできる」とのことだ。また「サービスはポートレット化して公開され、ユーザーごとにカスタマイズ可能」なものとなっている。そして「これをポータルで利用すれば、現在個別のWebサーバーを単一のインターフェイスで運用できる」とのことだ。こうしたWebサービスはもちろん、「JAVAだけでなく.NETも」他のアプリケーションと同様に統合できる。同氏は「新しいスタイルのアプリケーション統合のインフラになる」とした。


Application Server 10gではさまざまなミドルウェアが統合されている Webサービスを含む多様なアプリケーション連携が行える


URL
  OracleWorld Tokyo
  http://www.oracle.co.jp/oracleworld/
  Oracle Corporation
  http://www.oracle.com/


( 岩崎 宰守 )
2003/12/19 00:00

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