アドビシステムズ株式会社は、2004年からコンサルティングファームなどを対象とした新たなパートナー制度を開始する考えを明らかにした。2004年中に、約30社と新たなパートナー契約を結ぶ計画。本誌の取材に対し、同社の石井 幹社長が言及した。
同社では、エンタープライズ事業を、クリエイティブプロフェッショル、コンシューマと並ぶ事業の3つめの柱として位置づけ、その中核としてAcrobatを核とした電子ドキュメントソリューションを企業に提案している。
Acrobat 6では、紙のドキュメントを電子化するだけでなく、電子署名機能や、XMLとの親和性を生かして、既存のERPやCRMで活用しているデータをエンドユーザーが見やすい形式でアウトプットできる機能などを搭載しており、アドビシステムズでは、これらの機能を活用することで、電子ドキュメント化の観点から見た業務フローの改革の必要性を企業に訴える考え。
石井社長は、「すでに文部科学省が、電子署名を採用した電子申請を導入したり、大成建設が数千社にのぼる取引先との契約にAcrobatの電子署名を採用しているという実績が出ている。Acrobatは、紙のフォームを電子化するだけのツールという認識がまだ強いが、企業の業務フローを改善することができる機能を数多く搭載しており、それによる業務フローの改善に成功した事例も出ている。Acrobatが実現する本来の機能を訴えていきたい」と話す。
だが、こうした戦略を強化する上では、企業のビジネスプロセスの改革にまで提案の幅を広げる必要性があることから、コンサルティングファームなどの新たなパートナーとの提携が必須とし、新パートナー制度を開始する考えだ。
「自社内にコンサルティング部門を持つのは規模的に難しく、これまでの製品の販売を目的としたパートナー制度では、ここまでの実行が難しい。ビジネスコンサルティングにノウハウを持つ企業との新たなパートナー制度を導入することで、企業における業務フローを変えるためのツールとしてAcrobatを提案したい」としている。
米国では、すでにIBMのコンサルティングチームやアクセンチュアとの提携による提案活動が開始されている。
年明けから、従来の販売パートナーのなかから、SI機能やコンサルティング機能をもつパートナーとの連携を強めるほか、新パートナーとの提携に向けて、石井社長自らが候補企業を訪問するなどの具体的な活動を開始する予定。
これにより、2004年は、Acrobatに関連するサーバー製品の国内売上げ高を、前年比倍増以上に拡大させる考えだ。
■ URL
アドビシステムズ株式会社
http://www.adobe.co.jp/
( 大河原 克行 )
2003/12/25 12:28
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