Enterprise Watch
最新ニュース

三菱総研、ソフトウェア開発事業者のOSSへの取り組みに関する調査を実施

すでに6割の事業者がOSSでの開発を実施

 株式会社三菱総合研究所は、ソフトウェア開発事業者のオープンソースソフトウェア(以下、OSS)への取り組みと今後の見通しに関する調査を2003年9月に実施し、12月25日に結果を発表した。

 調査は、受託開発を行っている1,500社とパッケージ開発を行う1,500社を対象に、郵送によるアンケートで行われた。有効回答数は309件。

 全体の調査結果では、現在すでに6割の事業者がOSSに取り組んでいるが、3年後にLinuxがサーバーOSの主流になった場合、人材不足が懸念されていることが明らかになった。また開発収入は微増が見込まれる一方、開発人件費の伸びがそれを上回り、利益の低下が予想されている。

 現在の取り組み状況では、パッケージ開発の52%に対し、受託開発では72.3%と先行しており、全体では63.1%となっている。取り組みの具体的な内容では、OSSを用いたシステム開発が43.7%で、LinuxをはじめとしたOSSのOS上で稼働するミドルウェア・アプリケーションの開発・販売が38.2%で続いている。以下、ほかの商用ソフトウェアを組み合せたパッケージ販売が13.6%、ホスティングやASPサービスが同じく13.6%、開発・サポート・メンテナンスが12.3%となっている。

 プラットフォームとしての評価を見ると、LinuxではTCOの低さが33.0%で高く、処理性能が23.6%、高信頼性が18.8%、高セキュリティが18.1%と続いている。一方のWindowsでは、開発ツール(71.2%)、ユーザーインタフェイス(70.2%)の充実に評価が集まっている。今後のプラットフォームとしては、Windowsを中心と見ている事業者が58.9%の一方、Linuxは23.6%だった。ほかにUnixが9.4%となっている。

 近年注目が集まっているLinuxだが、3年後に全サーバーのOSがLinuxになると仮定した場合、対応は容易としているのは全体の58%。だが、このうち現状でLinuxでの開発に対応できる人材を確保しているとの回答はわずか1.8%だった。これが3年後でも、LinuxにおけるSI構築力のある開発スタッフを確保できる見通しを持つのは、受託開発事業者で11.4%、パッケージ開発事業者で10.2%という結果になっている。

 そして同様の仮定の下での、収入や開発コストの見通しについては、26.6%の受託開発事業者が変わらないと答えているが、57.7%が微増~増加と予想している。一方、開発人員については65.6%が、人件費については50.9%が増加を予想し、相対的に見て収入減につながりかねない結果となった。

 パッケージ開発事業者では、ライセンス収入の増加を予想するのは32%で、38%が変化なし。開発人員については52%が、人件費については42%が増加を予想する一方で、それぞれ44%、56%が変化しないと見ている。



URL
  株式会社三菱総合研究所
  http://www.mri.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2003/12/25 19:02

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved.