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日本HP「市ケ谷カスタマセンタ」訪問記
日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は、東京の市ケ谷に「市ケ谷カスタマセンタ」を設けて、技術検証設備の提供やデモなどを実施している。今回は同センタの内部を取材する機会に恵まれたので、技術検証設備「データセンタ・ショールーム」を中心にレポートをお届けする。
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データセンタ・ショールームとは?
データセンタ・ショールームが設置されている、日本HPの市ケ谷事業所
一口にカスタマセンタといっても、問い合わせをうける窓口だったり、各種手続きを行うところだったり、ショールームだったりとさまざまな種類がある。そんな中、最近コンピュータ関連で増えているのが、製品に関する各種テストを実施できる、技術検証設備だ。こういったところでは、その会社の製品を実際に使用して、信頼性やパフォーマンスのテスト、ほかの製品と組み合わせた動作確認などを、エンドユーザーが行えることが多く、十分に製品を確認してから購入できるというメリットがある。日本HPもこうした設備をいくつか持っているが、今回紹介するデータセンタ・ショールームもその1つだ。
データセンタ・ショールームが設置されているのは、プリセールス活動を支援するためのインフラを提供する目的で、2001年の2月から同社の市ケ谷事業所の1階と2階に展開されている「市ケ谷カスタマセンタ」。1階にはデータセンタ・ショールームのほか、「大判プリンタ・ショールーム(hp print lab.)」、2階には「デモンストレーション・センタ」「セミナホール」などが設置され、日本HPのパートナーやエンドユーザーは、これらの設備を多目的に使用することができる。
データセンタ・ショールーム内の機器操作は、併設されている「オペレーションブース」から行う。PCに関しては、用意されているワークステーションを利用できるが、自前のPCを持ち込んでの操作することも可能で、中には10台近くのノートPCを持ち込み、負荷がかかっている環境をつくりだしてテストする光景も見受けられた。また、当初インターネット接続環境はなかったが、情報検索などのために接続を希望する声が多く、Bフレッツ回線が追加されている。なお、これらの1階部分は24時間365日体制で運営中だという。
オペレーションブース。中央に見える端末を利用して、コンソール接続を行う
データセンタ・ショールーム内に設置されているコンソールスイッチ。オペレーションブースにある端末とはLANケーブルでつながれ、端末はこれを通して、コンソールのログオンを行う
コンソールのログオン画面
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ハイエンド機器の検証が行える、データセンタ・ショールーム
日本HPでは、東京都品川区にある本社内にも、IAプラットフォームを中心とした検証施設「天王洲ソリューションセンタ」を設けているが、今回訪問したデータセンタ・ショールームでは、ハイエンド機器を中心に検証が行われている。64ビットの上位クラスである「HP Integrityサーバ Superdome」(Itanium 2版)、「HP 9000 Superdome」(PA-RISC版)やエンタープライズクラスのストレージアレイ「HP StorageWorks XP1024」などが設置された同ショールームでは、一般のデータセンターと同じような空調設備が整えられている。これは、機器の稼働に必要であるということはもちろんだが、この施設を利用する人に、機器を使用する際のイメージを持ってもらうためにも効果があるという。
検証期間は、1回あたり1週間から最大1カ月ほどで、2週間程度の利用が多いそうだ。14あるオペレーションブースは常時ほぼ埋まっているといい、毎月50件以上の検証が行われている。「ミッドレンジの機器には若干余裕があるものの、superdomeの予約は、PA-RISCモデルなら3カ月、IPFモデルなら2カ月先まで一杯」という盛況ぶりだ。
実際に行われる作業は、エミュレータでは完全に検証できない作業を実機で確認したり、自作のソフトをコンパイルして動作確認したりするなど、そのほとんどがソフトの検証作業とのこと。また、同センタ内部には機器を持ち込むためのスペースも用意されており、利用者が他社製のハード、ソフトを搬入して、日本HP製品との互換性を検証することも多いという。
整然と並ぶ64ビットサーバーのsuperdomeたち。画面中央の黒い筐体がItanium 2の32Wayサーバー、左右の白い筐体がPA RISCの32Wayサーバー
手前に見えるのが、最大149TBの容量をカバーできるエンタープライズストレージ、XP1024
XP1024の外装を開けたところ。右がHDDを格納するディスクフレーム、左がコンソールやファイバーチャネルポートなどを備えた制御フレーム
ストレージでは、データのレプリケーションがうまくできているか、オートローダーのテープ装置でバックアップがきちんととれているか、などの検証が行われることが多いという。上位クラスのストレージはメインフレームをはじめさまざまな製品に対応が可能なため、前述のように他社製品を持ち込み、AIXでの動作を確認している利用者もあった。
また、実際の動作速度も体験することができる。見せて頂いたXP1024には4TBのHDDが搭載されていたが、この程度の容量であれば下位のストレージでも十分搭載は可能。上位クラスの場合は大容量のキャッシュメモリを搭載できるため、かなり高速に動作するという。カタログスペックだけではわからないことが確認できるのも、こうした検証施設ならではの魅力と言えるのではないだろうか。
なお、現状ではハイエンド製品が中心のデータセンタ・ショールームだが、Itanium 2を利用したIPFへの注目度が高いことから、今後は4Way、8Wayなどのミッドレンジクラスのサーバーも設置していく計画もあるという。また、SMBでもSANストレージの導入が進んでいるため、そうしたところをターゲットとしたミッドレンジのSANプラットフォームも増強する考えもあるとのことだ。
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URL
日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/
市ケ谷カスタマセンタ
http://www1.jpn.hp.com/solutions/solutioncenter/ichigaya/index.html
( 石井 一志 )
2003/12/26 00:00
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