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松下電器、松下電工との連結グループ化を発表

営業利益率5%の2006年達成を目標とした経営計画「躍進21」も発表

松下電器産業株式会社 代表取締役社長 中村 邦夫氏
 松下電器産業株式会社は1月9日、社長会見を開催し、2004年度の経営方針を発表した。代表取締役社長の中村 邦夫氏とともに常務の川上 徹也氏も大阪本社会場に出席し、東京会場へは衛星同時中継が行われた。

 中村氏は、2010年までに顧客価値創造企業を目指した「躍進21計画」により、中間地点となる2006年度には売上高8兆2,000億円、その5%となる4,100億円の営業利益と、CCMゼロの達成を目指すと語った。またそれぞれ独自の経営を行っていた松下電工株式会社との連結グループ化を検討する「21世紀コラボレーション委員会」を1月9日付で発足することも明らかにした。


グローバルNo.1企業を目指す「躍進21計画」

 同社では2001年より「超製造業への革新」を目指した「創生21計画」を行い、商品力の向上、V(ボリュームゾーン)商品に集中、88品目で1兆円の売り上げを達成した。また2003年度からはグローバルレベルで「Panasonic」へのブランド統一を行い、業績はV字型回復を遂げた。ただ「窮地は脱したが、危機は続いている」と自ら述べるとおり、現在でも利益率では2%前後となっている。


2002年度には88のV商品で1兆円、2003年度には90で1.2兆円の売上を残した 営業利益は2002/2003年度には金額ベースで大幅に回復した

 これからスタートする「躍進21計画」では、2010年の世界を「ユビキタスネットワーク社会と地球環境との共存」が柱になると予測、これに適応し社会貢献と顧客価値創造を柱に、「グローバルNo.1企業を目指す」としている。

 事業の柱として、SDを軸にAVネットワークを構築し、テレビ、DVDレコーダーなどに続く柱として、デジタルスチルカメラを事業の柱に育て、2006年には5,500万台、世界シェア10%を目指す。またプラズマディスプレイ事業でも、2004年4月には大阪・茨木第2工場の稼動が開始し、2005年には年間150万台の生産体制を確立する。

 また1,300億円を投資し、富山県の魚津工場に半導体の生産を行う新棟を建設することも併せて発表された。2004年5月に着工し、2005年末より稼働の予定。新棟では当初はグループ内部でDVDやデジタルテレビなどのデジタル家電向けに利用されるLSIを300ミリウェハー、90ナノプロセスで月産7,500枚製造し、将来的には65ナノプロセスでの生産も行う。


SDカードを核としたAV家電ネットワーク デジカメをDVDレコーダーや薄型テレビに続く第3の柱に 90ナノプロセスでの半導体製造を行う富山県の魚津工場新棟

 このほか創生21計画で「下地ができた」(中村氏)構造改革を今後も常態化させるほか、デジタルテレビをネットワーク接続する「Tナビ」や電子ブックリーダー、ネット家電などの付加価値を持つ商品により、顧客価値としての新たなライフスタイルを提供する。これら施策により、利益率5%となる4,100億円の営業利益を目指すとしている。また研究開発の選択と集中も行い、研究開発費用を売上高比7%以下に抑えることも発表された。


松下電工との連結化を検討する「21世紀コラボレーション委員会」

コラボレーション委員会の組織図
 21世紀コラボレーション委員会は、ともに松下電気器具製作所を祖にした兄弟会社である松下電工株式会社との連結グループ化に際し、共通の経営理念と、企業価値の最大化、全体最適を図る経営戦略が検討される。委員会の規模は松下電器90人、松下電工70人程度となる予定で、松下電器の副社長である戸田 一雄氏が委員長、松下電工の副社長である菊池 紘氏が副委員長を務める。3月末までには答申が行われる予定だ。



URL
  松下電器産業株式会社
  http://www.matsushita.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/01/09 19:42

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