株式会社ジェー・シー・ディ(以下、JCD)と上海微創軟件有限公司(英語名 Shanghai Wicresoft Co.,Ltd.)は1月20日、中国へのオフショア開発、国内ソフトウェアの中国市場向けローカライズなどの事業で提携すると発表した。また両社では2004年秋を目指して資本提携のための作業も進めているとのこと。
JCDは、子会社の北京モバイルナビを通じて中国における携帯電話向けコンテンツ販売分野にいち早く参入し、市場拡大とともに成長を果たしている国内企業。この事業をコアに、国内企業の中国進出に向けたコンサルティング事業なども手がけている。
一方のWicresoftは、米Microsoft Corporationと上海市政府直轄の上海聯和投資有限公司との合弁会社として2002年5月に設立され、アプリケーション開発のアウトソーシング、自社パッケージソフトウェア製品の開発や販売を手がけている。
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株式会社ジェー・シー・ディ 代表取締役社長CEO 徐 志敏氏
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株式会社ジェー・シー・ディ 代表取締役社長CEOの徐 志敏氏は中国の携帯電話市場について、「2003年12月には加入者が2億6000万人に達し、今年中に3億数千万、最終的には5億まで伸びるだろう。このうちコンテンツを利用できるWAP端末は現在1000万台程度だが、今後1~2年で音声通話からの移行が加速する」と見通しを語った。そして同社ではこれを足がかりに、「ローカライズの部隊を、自前で持っていなかった」国内のモバイルアプリケーションを、Wicresoftとの提携により中国市場向けに移植し、その後はモバイルマーケティング、さらに「信用体系が確立しておらず、クレジットカードが普及していないため、キャリア代行による小口課金を行えるメリットが大きい」モバイルECの分野にまで事業を広げていきたい考えだ。また国内のPCソフトウェアを発掘し、中国市場向けにローカライズも行うとしている。
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Shanghai Wicresoft Co.,Ltd.、微軟中国有限公司(中国Microsoft)CEO 唐 駿氏
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中国マイクロソフトのCEOも務める唐 駿氏は、「力を握っている政府と関係を築くため」、2002年に米Microsoft本社に自身で掛け合い、Wicresoftを設立、CEOに就任した。「Wicresoftの仕事は5%」とのことだが、同社は政府・企業向けにサービスを展開し、初年度に1億4,000万元(約15~6億円)を売り上げた。純利益は3億円と「上海でNo.1のソフトウェア開発企業」へと短期間で成長している。管理部門は元Microsoftの人材が多数を占めるが、「全中国のトップ人材を集めた」技術力も柱になっているという。
同社では主に.NETをベースに政府・企業向けのソリューションを開発、すでに日本国内向けにも富士ゼロックスへ、ソフトウェア開発管理ソリューションを提供している実績がある。今後は、特に日本企業からのソフトウェア開発受注などのアウトソース業務に注力するとしており、「中国の相場の価格で一流のサービスを提供する」と述べた。
唐氏は1985~1990年に名古屋大学への留学経験があり、その後米MicrosoftでNT部門に所属し、「日本語版のNT 3.51、4.0、Windows 2000の開発を指揮した」とのことで、日本への造詣が深い。徐氏とは「留学時代の同期生」とのことで、「人的つながりは非常に重要である」(徐氏)中国社会ならではの提携とも言えそうだ。
■ URL
株式会社ジェー・シー・ディ
http://www.jcd.co.jp/
上海微創軟件有限公司(Shanghai Wicresoft Co.,Ltd.)
http://www.wicresoft.com/
( 岩崎 宰守 )
2004/01/20 18:58
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