Enterprise Watch
最新ニュース

経産省河野氏、「2004年は先導的分野でのIT利活用を加速させる」


 社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)は1月21日、帝国ホテルでJCSSA新春特別セミナーを開催し、経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長補佐の河野太志氏が、「政府の2004年IT政策の方向性」と題した講演を行った。


経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長補佐の河野太志氏
 河野氏は、「IT投資意欲という意味では、完全な景気回復という段階には至っていない」と前置きし、「とはいえ、半導体や情報家電の分野は昨年から確実に持ち直してきており、IT産業全体としては一息つける段階に達してきた。この息をついている間に、なにができるのかが課題だ。とくに、情報家電の分野において、家電でリードしてきた日本のメーカーが食らいついていくことができるのか、場合によっては逆転されるかもしれないというなかで、産業政策上、どうするのかといった議論も必要。デジタル家電には予算を大きく張り付かせているが、ここが正念場である」と切り出した。

 昨年4月にスタートしたe-Japan戦略IIに関しては、インフラから利活用に移行している点をポイントにあげながらも、「2000年にe-Japan戦略が打ち出されたときには森政権の目玉施策となったが、小泉政権になって、前の政権の目玉施策を前面に打ち出しては目新しさがないため、あまり騒がれることがなくなった」と指摘。「ただ、言い方を変えれば、当たり前の施策としてこれが実施されているともいえ、経済産業省としてもe-Japan戦略IIの実行に力を注いでいく」とした。

 確かに、河野氏が指摘するように、ITに対する政府のコメントは大きく減り、施策のインパクトが弱くなった感はある。「見え方が地味になっているが、e-Japan戦略IIになって、通信事業者を中心とした予算措置からユーザーの利用に焦点を当てるというように予算措置の中身が変わっているのだから、これをしっかりやることが重要」と繰り返し強調した。

 また、河野氏は、これまで示されたタイムスケジュールのなかで、2004年春には「IT基本法施行状況検討期限」を迎えることで、基本法をどうするかといった議論が行われることになると指摘した。「e-Japan戦略IIで策定された内容に加えて、新たなエッセンスをどう加えるか、あるいは施策をパッケージ化したりといったブラッシュアップの検討も行われるはず。重点分野やカテゴリーをはっきりさせることになるだろう。今年春の重要なポイントになる」と続ける。


2004年度情報政策関連予算の概要
 予算措置のなかでは、技術開発分野で半導体、家電分野に予算が割かれているのが特徴だという。また、電子タグによる活用とインフラの整備、産学連携のソフトウェア工学実践拠点の整備として技術開発、人材育成を行うソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)を整備するという。

 「SECは、ソフト開発で問題となっている大工の頭領方式ともいえる手法に対してメスを入れるものになる。国がここまでやるのはいろいろと議論もあるだろうが、徹底的にやっていくつもりである」と語った。

 また、セキュリティへの取り組みについては、「これまでは建前先行のきらいがあり、ファイアウォールによって、100%完全なセキュリティを作るという議論ばかりがされてきた。だが、そんなセキュリティはありえないばかりが、前提が100%完全ということで、問題になったときにどうするかといったリカバリに対する議論はひとつもされていなかった。これを変える必要がある。問題が発生したときに、いかに社会システムを短時間にリカバリできるか、という点を前提とすれば、それが国家としてのブランドになり、国際競争力の向上にもつながるし、ビジネスチャンスも数多く発生するはず」とした。

 IT産業で大きな注目を集めている中小企業向けのIT普及戦略についても触れた。「政府では、1年から2年程度の予算を講じて、その後はマーケットの盛り上がりに委ねるということをやるが、中小企業に関しては、1、2年の予算策程度では効果がなく、長い年月の予算策が必要だ。だが、財務省との関係で、すぐに効果がでないと、予算がジリジリ減る傾向にある。経済産業省としては、今年は予算の減少については、攻撃的に防衛していく」とし、「中小企業のIT化のモデル事業に関しては、コンサルティングの必要までを含めて補助していくような措置や、中小企業の経営のためのベストプラクティスを事例として紹介していきたい」としている。



URL
  社団法人日本コンピュータシステム販売店協会
  http://www.jcssa.or.jp/


( 大河原 克行 )
2004/01/21 16:36

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.