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MCPC、無線LAN普及のための実践測定結果を発表


 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(以下、MCPC)は1月22日、同コンソーシアム内の組織であるMCPC802.11委員会とMCPC技術委員会センターシステムSWGが、無線LAN機器利用時の特性を測定した結果を、MCPCの公式測定値として公開した。会員企業にはその詳細値を、また一般向けとして概略値が提供される。MCPCでは今回の発表によりユーザーに情報提供を行い、無線LANの普及を加速させたい考えだ。

 MCPCは、通信キャリアやハードウェア・ソフトウェアベンダー、SIなどが参加する組織。今回の発表は外環境からの影響を受けやすい無線LAN機器での通信について、またカタログ値と実際性能の差についての客観的な見解を求める声が多かったことから、各環境でのIEEE 802.11a/b/gの機器について通信時のスループットを測定し、結果を公式に発表したもの。今後、結果は基礎データとしてガイドラインにまとめられ、主に会員企業によるシステム構築の際の資料としても利用される。


MCPC802.11委員長の山澤 昌夫氏
 MCPC802.11委員長の山澤 昌夫氏によれば、「巷の噂が本当かを実地で検証した」とのことで、複数規格の混在した環境下での速度低下やBluetoothとの干渉、また材質による遮蔽効果や電子レンジの与える影響などが検証されている。またオフィス環境のほか、木造住宅での測定や、電波の到達距離についても測定が行われた。

 同氏によれば、「顧客やユーザー向けに示すデータとして偏りのないように」とのことで、測定に使用された機器の詳細やハードウェアの環境などは公表されていない。また測定は「2003年の夏ごろにIEEE 802.11g規格の正式承認を待って」行われたため、ファームウェアの問題が解消されていなかった可能性がある。またこれについての追加検証の予定は現在のところ未定とのことだ。スループット計測ツールには、米Printing Communications Assoc., Inc.が配布し、ネットワークの転送速度を測定するMS-DOSで動作するツールである「PCATTCP」が使用されている。


無線LAN実践測定結果の概略

 結果を見てみよう。まず11a/b/gそれぞれの規格で、単一のアクセスポイントに対して1/10/20台接続した環境は、11gのみで上り下りともに1.5~2.5MB/秒程度のスループットの低下が見られた。

 アクセスポイントとの間に、電子レンジやBluetooth機器、石膏ボード、金網入りガラスを設置して測定した場合、11bでは電子レンジを稼動した状態で設置した場合にのみ、11gでは加えてBluetooth機器に対してもスループットの低下が測定された。このほかの場合ではスループットの低下はごくわずかか、または変化がなかった。MCPCでは、Bluetoothの新仕様Ver1.2より導入される新技術「AFH」(Adaptive Frequency Hopping)により、この問題が回避されるだろうとしている。このことからMCPCでは「Bluetoothとの併用は実使用上大きな問題がない」との見解を示している。また電波遮蔽フィルムについては全規格で大きな影響が見られた。

 またオフィス環境では、パーティションで仕切られた上部に空間があるため、各規格ともスループットへの影響は見られなかった。一方木造家屋では、1Fにアクセスポイントを設置し、11aで1Fから接続した場合のみスループットが低下し、2Fから測定した場合も含めたその他の場合では低下が見られなかった。

 11a/b/gのうち2つの規格を併用した場合には、11a規格では11b、11gと組み合わせてもスループットに目に見えるほどの変化はなかった。一方この場合の11b、11g側では、接続台数の増加に比例してスループットが低下している。また11bと11gを組み合わせた場合には、双方ともスループットが低下し、特に11gで低下する幅が大きい。またこの11bと11gを併用した場合には、チャンネル周波数が一部重複するが、これを避けた設定の場合では、この低下の幅が小さくなるとの結果も見られた。

 また屋内倉庫で無指向性アンテナを用いて行われた電波の到達距離についての実験では、11aで81m、11bで77m、11gで49mの距離から接続が可能だった。混在した場合には11bと11gを組み合わせた場合の11b側で顕著な到達距離の低下が見られた。またどの環境でも最大距離到達地点でのスループットはほぼ同じとなった。

 11bのみで、指向性アンテナ(ダイバーシティアンテナ内蔵のノートPC)を用いて屋外で行われた実験では、最大で222mから接続が可能だった。また向きを変えた場合でも150mまでは問題なく接続が行えた。またツールでは「シグナルなし」とされる状態でもパケットの送受信が行える場合と、「シグナル弱」の状態でパケット送受信が不能になる場合が見られたという。MCPCではこれら到達距離の実験から、オフィス街の隣のビルなどにも電波は届いているものとして対策を行うべきとしている。



URL
  モバイルコンピューティング推進コンソーシアム
  http://www.mcpc-jp.org/
  米Printing Communications Assoc., Inc.
  http://www.pcausa.com/


( 岩崎 宰守 )
2004/01/22 18:12

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