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インテル、2004年度の企業向け製品戦略を展望


インテル株式会社 エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部長 町田 栄作氏
 インテル株式会社は1月23日、2004年度のエンタープライズ市場向け製品戦略を発表する記者説明会を開催した。

 まず2003年について、同社エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部長の町田 栄作氏は、「全体の出荷金額とHPC分野での台数ベースでIAサーバーがRISCサーバーを上回った節目の年」とした。特にItanium 2については「いままでに10万個以上を出荷し、TPCをはじめとしたベンチマークでもRISCを上回る結果を残した」としている。また「OSやアプリケーションでの対応も広がっている」とし、「単なる性能だけでなく、使えるソリューション」として、今後も信頼性や拡張性の面も含めてプラットフォームを強化していくとのこと。同社では特に金融、小売などの9業種へ向け、RISCからの移行を進めている。

 RISCからの移行については、「サーバー出荷において、国内でも台数は伸びているが金額に変化がない」ことから、「IAのシフトにより、TCOを下げている」ことが裏付けられるとしている。そして同氏は「ITは道具であり、生産性拡大などの目的を達成する手段」として、顧客指向のIT活用を目指すとした。また2004年には90nmで製造した製品の出荷を始めるとのことだ。


インテル株式会社 エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 プラットフォーム マーケティング部長 小山 信寛氏
 同社エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部 プラットフォーム マーケティング部長の小山 信寛氏は、Itanium、Xeonなどのエンタープライズ製品の2004年度上半期の予定を述べた。

 Xeonについては、まず第1四半期中にL3キャッシュの4MB拡張版、機能強化されたXeon DP(Dual Processer)を提供する。第2四半期中には、マルチメディア、暗号化セットを含む次期Prescotコアでの“PNI(Prescot New Instruction)”命令に対応し、FSB 800Mhz、DDR2メモリ、PCI-Expressをサポートする新プラットフォーム“Nocona”を導入する予定だ。Noconaでは消費電力を抑制する電力管理技術もサポートされる。

 このほかXeon MP 4Wayブレードサーバーをインテルが開発(コードネーム“McCarran”)し、IBMから第1四半期中に発売されるとのことだ。従来はフロントエンド、ワークステーション向けとされていたXeonだが、同社自らバックエンド向け製品としての提供を行うことになる。また2005年以降には、グリッド、ユーティリティコンピューティングを視野に入れた仮想化技術や、1CPU内に2つのコアを搭載するデュアルコアCPUの技術もXeonプラットフォームで実現される予定とのことだ。

 Itaniumプラットフォームでは、春に開催のIDFでラインアップの拡大が発表される予定。またItaniumプラットフォームはマルチコア、また1コア内でのマルチスレッドやEPIC(明示的並列処理)といった技術を採用していく予定で、これらが実現すれば「ムーアの法則の2倍」のスピードで性能向上がなされるとのことだ。またマルチスレッドが実現する“Tukwila”では、コアサイズもダイあたりIA-32の2倍となる。

 Itaniumを活用するソフトウェア面での話題としては、IA-32をエミュレートするソフトウェア「IA-32 Execution Layer(IA-32 EL)」が、1月13日(米国時間)よりMicrosoftからダウンロード提供されている。またLinux版もRed HatとSUSEから提供されることが計画されている。同社ではIA-32 ELを「Itaniumへの移行を補完するテクノロジー」と位置付けており、これによりItanium 2の性能とともにIA-32の処理向上も実現するため、「将来的にはIA-32コアを搭載することを止める」ことも考えているという。

 XeonとItaniumの比較については、「トランザクション処理などの一部処理では、すでにItaniumが価格性能比で上回る」としている。同社では「Xeonの性能向上はムーアの法則に追随する」とみており、「2007年ごろには、ItaniumがXeonを価格性能比で上回る」と見ている。


今後のXeonについての機能強化予定。2004年は新プラットフォーム“Nocona”も投入される Itaniumプラットフォームは、マルチコア、マルチスレッド、EPICといった技術により機能強化される XeonとItaniumの価格性能比は、2007年以降の逆転が見込まれる

 また同社では、サーバー管理機能をクロスプラットフォームで標準化するワーキンググループ「DMTF」に、DellやNECとともに参画しており、第1四半期中にもIPMI 2.0としてこのスペックが公表される予定だ。

 このほか、ブレードサーバー“McCarran”と同一規格で、ラック内に収納できるバックプレーンのGbE HBAとスイッチを第1四半期に、米Brocadeと米InfinibandのFCスイッチも第2四半期には市場投入される。また2005年にはItaniumアーキテクチャのブレードサーバーも発売される予定だ。同じく2005年に予定されている仮想化技術への取り組みはこれに伴うものといえる。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/01/23 17:05

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