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アドビと日本IBM、PDFとコンテンツ管理ミドルウェアを中核としたソリューションを提供


 アドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は2月3日、アドビのドキュメントサービスと、IBMのコンテンツ管理ミドルウェアを連係し、新たなソリューション提供で協力すると発表した。今回の協業は、2003年10月に発表されたワールドワイドでの提携に基づくもので、すでに米国などでは展開を開始しているが、日本でも協業を開始する。両社ではこれに伴い、官公庁、企業向けの電子フォームソリューションと、SAPジャパンのERPソフト「SAP R/3」導入企業向けの帳票出力管理ソリューションの提供、セミナーの開催を共同で行うほか、両社のパートナーを支援するためのプログラムを実施する。


煩雑な申請作業を軽減する、電子フォームソリューション

日本IBMの執行役員 ソフトウェア事業担当、三浦 浩氏

アドビの代表取締役社長、石井 幹氏
 日本IBMの執行役員 ソフトウェア事業担当、三浦 浩氏によれば、「以前のように、ベンダーは個々の製品を単に提供するだけで、利用法はお客様側で考えて頂くという手法では受け入れられなくなった。今の市場では、統合された製品、自分のビジネスに近いところまで降りてきた製品を望む声が強い」という。こうしたニーズに応えるため製品、ユーザー本位の製品としてリリースされるものが、今回発表されたソリューションだ。

 その電子フォームソリューションは、官公庁や、銀行や保険などの金融業を主な対象としたもの。このソリューションを利用した業務の例としては、住宅ローンなどの申請処理がある。現状はまだこうした業務は紙で行われているケースが多く、作業はとても煩雑。しかし同製品を利用した電子申請では、作業を効率的に行うことができるという。申請者はAdobe Readerを用いてPDFファイル内に必要項目を記入し、送信。送信されたデータは申請先の組織内データベースに取り込まれ、電子データのまま承認、稟議(りんぎ)などの処理が行えるようになる。また、このデータをもとに、契約書などの別の書類を作成することも可能。

 アドビのマーケティング本部 インテリジェントドキュメント部 芝崎 隆行氏はこのソリューションのメリットを「申請書の記入、承認作業などのどの工程でも、入力インターフェイスとして無料のAdobe Readerで作業が行えること」と強調。また、「複雑で記入欄の多いものに対応するため、オフラインでの作業が行えたり、入力したデータの保存をしたりすることも可能になっている」(同氏)とも述べた。

 なお、このソリューションでは、アドビの電子フォームの作成・配信を行うソフト「Adobe Form Server」と日本IBMのコンテンツ管理ソフト「IBM DB2 Content Manager」が用いられており、両製品の間でデータの受け渡しをするコネクターは、アドビによって開発された。アドビでは同コネクターをForm Serverにバンドルし、「Adobe Form Server for IBM」として2004年の下半期に発売する予定。

 アドビの代表取締役社長、石井 幹氏はこのソリューションに関し「この分野には各社ともさまざまなソリューションを用意しているが、最終的にはお客様が選択することだ。今回の提携における他社との差別化ポイントは、オフラインでの作業が簡単に行えること、入力インターフェイスとなるAdobe Readerは世界中で使われており、PDFを扱える環境が広く普及していること」と述べた。


電子フォームソリューションの概念図 Adobe Readerを利用して申請を処理しているところ。承認した場合は次の確認者へ回る

SAP R/3の帳票を出力・管理する統合ソリューション

 また、アドビと日本IBMは「もともとSAP R/3向けのソリューションを持っている」(石井氏)ことから、SAP帳票の出力・管理ソリューションも提供を行う。従来Adobeでは帳票をPDF形式で作成する製品「Adobe Output Pak for mySAP.com」を提供していたが、電子保存の際のアーカイブソリューションは用意していなかった。そこで、日本IBMが提供しているアーカイブソリューション「IBM DB2 CommonStore for SAP」、Content ManagerとAdobe製品を連携をさせ、トータルソリューションとして提供する。なお、このソリューションで用いるコネクターは、2月3日よりAdobeが提供するという。



URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.co.jp/
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  プレスリリース(日本IBM)
  http://www.ibm.com/news/jp/2004/02/02031.html


( 石井 一志 )
2004/02/03 18:33

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