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インフォテリア株式会社 代表取締役社長 平野 洋一郎氏
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インフォテリア株式会社は2月3日、ビジネスインテグレーションプラットフォーム「ASTERIA」を核にした同社の事業計画と、2004年度中に発表予定の新製品について発表した。
インフォテリアは、当初はXML専業のソフトウェアベンダーとして1998年に設立され、以来パッケージを中心としたソフトウェアの開発と販売を手がけている。
同社代表取締役社長の平野 洋一郎氏は同社事業について「“つくるからつなぐへ”のスローガンで、いわゆるEAIツールとしてのASTERIAを核に、広いレイヤーで企業システム間のギャップを埋め、スピード化している企業の変化に適応できるプラットフォームを提供することで、価値を提供してきた」と述べた。
ASTERIAについて同氏は「現場が処理プロセスを理解でき、ノンプログラミングで繁盛に更新して使えるシステムを提供できる」と述べ、「プログラミングをしないため個々のエンジニアに依存しない」とした。
採用企業は大手企業を中心に、昨年1月発表時の20社から2003年中には70社を突破した。また当初ASTERIAでは、ロゼッタネットなどのB2Bプロトコルをサポートしていたことから、電気・電子などの分野が中心だったが、「2003年は汎用的な用途での採用が急増した」という。
同氏は「パッケージは初期コストが高いため、システム間連携における1回のコーディングの方が安くつく。しかしインターフェイスは相手先の都合にあわせて変化し続ける。そのたびに開発するコストを考えるべき」とした。
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さまざまなシステム間を“つなぐ”ことで価値を提供
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業務フローに沿って配置したアイコンをつなぐだけのシステム開発画面
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Notes/Dominoのコンポーネントアイコンが追加され、データベースからCSV出力させる開発デモも行われた
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2004年については、「現実を直視し、利益を出していくことに注力する」と述べ、「今年も倍以上の数字、最低でも150社に販売したい」とした。また創業6年目に入った同社は、「次の5カ年に入るところで、新しい領域を開拓し、大きく飛躍する布石としたい」と述べた。
ASTERIAでの製品強化では、これまではCSVなどのファイルを介して行わざるを得なかった、3270や6680といったホスト、既存EDIプロトコル、そしてNotes/Dominoをはじめとした接続アダプタの拡張を行い、既存顧客向けにもASTERIA 3のサービスパックとして提供する。
このほか、「高いトランザクションや、さまざまなフロー、リアルタイム決済などの高いパフォーマンスが要求される大規模システムでの運用に対応する」ほか、すでにデファクトとなっている新聞業界(NewsML)、公営ギャンブルのリアルタイム決済(FDXS)に続き、財務諸表のXML標準である「XBRL」や、旅行EDI標準の「TrabelXML」などへのバーティカル市場への展開も強める。
また同社では現在15社のパートナーを拡充するともに、「ソリューションの提案や開発はパートナーにシフトし、我々はバックアップする側に回る」という。これに伴いソリューション本部をコンサルティングに統合している。
こうしたパートナー支援に関連したASTERIA技術者育成についても、「これまでの企業個別から、一般参加可能な定期コースを開催する」という。またWebを通じて自習キットを入手可能にするほかFAQ、不具合情報の充実も図るとのことだ。また同社はXML技術者認定制度「XMLマスター」の事務局ともなっており、今年すでに121カ国、4,000拠点で試験を始めている。
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メールベースのリッチクライアント「MIST(開発コード)」は今年後半に発売される予定
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2004年度後半に発表予定の新製品については、現在開発中とのこと。開発コード名は「MIST」とされている。同社製品開発部の江島氏によれば、「これまでASTERIAのフロントエンドとしてはExcelが使われていた。ASTERIAを導入している大手企業と取引のある中小企業などで、ファイルの世代管理や送信履歴などを管理できないかとの要望が上がり、これをきっかけに開発している」とのこと。平野氏は「中小企業や部門向けとなるメールベースのリッチクライアントで、電子申請などのHub&Spork型のスポークのベースと考えている」とのことだ。
同社はベンチャーとして出発しており、現在も従業員規模は約50名。「クライアントアプリケーションの販売にあたってはライセンス体系や保守サポートの面で方針を模索している」(江島氏)状態でもあるという。
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将来的には「従来の開発の壁を越えるものになりえるのではないか」(平野氏)
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さらに「従来のテキストベースでなくグラフィカルなシステム開発言語“Graphical Language”を実現したい。ASTERIAはその第1段階にすぎない」とした。従来の開発ツールのように「テキストベースを支援するのでなく、排除するもの」としており、「テキストベースの開発言語を完全に置き換えられるわけではないが、ビジネスを手がける人間でも開発が可能な世界を実現できるのではないか」と語った。
同社では将来的に「B2B普及で業務アプリケーションが変わる」と見ている。「購買や物流はもちろん、販売、決済、顧客管理や営業までのシステムは、社外との関連があるもの。こうした業務システムは、企業間での連携が進み、従来のプラットフォームとの考え方からアプリケーションへと進んでいくだろう」とした。
■ URL
インフォテリア株式会社
http://www.infoteria.com/
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( 岩崎 宰守 )
2004/02/04 00:00
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