アドビシステムズ株式会社は2月12日、「Adobe Intelligent Document Platform DAY 2004」を東京コンファレンスセンター品川にて開催し、「ビジネスフローの革新:企業の境界を越えて」のテーマで、ガートナー ジャパン株式会社 ジャパン リサーチ センター リサーチディレクターの永綱 浩二氏が基調講演を行った。
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アドビ システムズ株式会社 代表取締役社長 石井 幹氏
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講演に先立ち、アドビ システムズ株式会社 代表取締役社長の石井 幹氏が挨拶を行った。同氏はPDFについて「これまでのプリンタ出力の最終イメージのような静的なイメージから、見栄えのよさはそのままに、帳票のように記入でき、入力支援もする、XMLを介して基幹系システムと連携もできる、さらに高レベルのセキュリティを備え、かつさまざまなメタデータを内包するカプセルのようなものに変化を遂げている」と述べた。
閲覧ツールである「Adobe Reader」のほか、サーバーソフトウェアで構成される、PDFを中心としたインテリジェントドキュメントプラットフォーム(IDP)については、「ドキュメントが多く流れる企業内で、システム間を緩やかに連携しながらビジネスプロセス改革を下支えする基盤」と述べ、「大きなリスクをとらず、既存の投資を生かす形で、必要に応じて順次構築できる。またその適用範囲も企業間だけでなく、行政機関とユーザーをエンドツーエンドでつなげるなど幅広い」と語った。
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ガートナー ジャパン株式会社 ジャパン リサーチ センター リサーチディレクター 永綱 浩二氏
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続いて講演を行った永綱氏は、「企業内部のビジネスプロセスを効率化しコストを下げる形のIT投資は、これまでかなり進んだ」とし、「この数年のグローバル化の波で、協力工場やアウトソーサーといった国内、海外のパートナー企業を包含した“バーチャルカンパニー”の形へと企業の構造が変わりつつある」と述べた。
同氏は、「企業の境界が広がることで、企業間システムが統合していく流れは今後5年でさら広がっていくだろう」とし、将来的には業界ごとのeマーケットプレイスが構成されるとの考えを示した。
そしてこうしたバリューチェーンの再構築にあたっては、「それまでのビジネスプロセスを調整・変化する必要がある。これは組織にとって大きなストレスとなる可能性がある」とした一方「システムだけですべての意思決定を自動化できるわけではない」と述べ、「意思の疎通を円滑にしていく人間系のコラボレーションをサポートする必要もある」とした。
またERPやSCMといった生産・流通の情報だけでなく、これからは「これまであまり比重が高くなかった顧客、販売面」での情報連携も必要になるとした。こうしたCRMの情報連携については、「市場の動きをモニターし、データを収集、分析することで、製品企画の段階で問題を把握できるような仕組み」とし、「実行管理の流れの中で各プロセスで必要な情報が必要な人に渡っているかが重要になる」とした。このためには、「価値ある情報を選別、蓄積して、コラボレーションに不可欠な知識を企業間で情報共有する必要も出てくるだろう」とした。
またこうしたプロセスは「企画、推進、評価、判断のサイクルで動的に変化していく。こうしたシステム側の変更などをサポートする柔軟性も求められる」との側面にも触れ、Webサービスなどを活用した「粒度が細かく、異なったビジネスのプロセスにも再利用可能で、エンドトゥエンドのプロセス再構築でのスピードが求められる」とした。
こうしたバリューチェーンの再構築により「ビジネスコミュニティの中で企業価値を高め、最終的には顧客に高い価値を提供できることにつながる」とした同氏は、「こうしたシステムを整えられない企業は、他の企業から見てプロセスのボトルネックとなりかねないため、バリューチェーンからはじき出される可能性もあるだろう」と述べ、「アドビのIDPが魅力的な選択肢のひとつになる」とした。
■ URL
Adobe Intelligent Document Platform DAY 2004
http://www.event-web.net/adobe/idp/
アドビシステムズ株式会社
http://www.adobe.co.jp/
ガートナージャパン株式会社
http://www.gartner.co.jp/
( 岩崎 宰守 )
2004/02/16 10:20
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