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米Adobeカドゥー氏「IDPはフロントとバックオフィスのギャップを埋めるもの」

~Adobe Intelligent Document Platform DAY 2004 基調講演

 アドビシステムズ株式会社は2月12日、「Adobe Intelligent Document Platform DAY 2004」を東京コンファレンスセンター品川にて開催し、「Adobe Intelligent Document Platform Strategy」のテーマで、米Adobe Systems Incorporated Intelligent Document Business Unit プロダクトマーケティングディレクターのShawn Cadeau氏が基調講演を行った。


この10年の企業システム

米Adobe Systems Incorporated Intelligent Document Business Unit プロダクトマーケティングディレクター Shawn Cadeau氏
 同氏はこれまでの10年の企業システムで解決された問題として「バックオフィスの自動化による効率化とコスト削減、フロントオフィスシステムの自動化」の2つを挙げた。「ERP、SCMといったバックオフィスには5年間で1110億ドルもの投資が行われた」と述べる一方、フロントオフィスの自動化に寄与したのは、「インターネットの広がりに伴うメール、ブラウザ、ポータルによるコラボレーション」とした。

 同氏は「これらの技術は貴重だが、バックオフィスとフロントには依然ギャップがある」と語る。「特にファイアウォールを越える場合、人の手による作業が必要になる」ほか、「生成ドキュメントを共有する際のアクセス権限や、セキュリティのコントロール、改ざんなどに対する整合性の担保」の点で問題が残っているとした。

 そして「多くの企業がこの10年でかなりのIT投資をしているが、ドキュメント関係の構造化はなされず、情報システムからも切り離されている」とした。現在でも、「1000人規模の企業では年間900万枚の印刷、400万枚のコピー、100万枚のFAXが生まれており、紙ベースのやり取りに8万時間が費やされている」という。たとえ電子化されたドキュメントを受け取ったとしても「ドキュメントをそのまま処理できず、再入力といった手作業の必要がある。この際のエラー率は7%にもなる」とした。


Adobe PDFを中心としたIntelligent Document Platform

 Adobe PDFは、元々グラフィックやマルチメディアに対応する高品質なドキュメントを生成・配布でき、21の言語に対応するなど、ドキュメント交換では世界の97%を占めるフォーマットとして、現在では5億ダウンロードを数えるデファクトとなっている。

 同社のインテリジェントドキュメントプラットフォーム(IDP)では、PDFの機能を大幅に拡張し、「多くの人々が慣れ親しんだ書式で、XMLスキーマ定義により内包するデータをバックエンドと接続して相互に運用できる。このため、ビジネスプロセスにおいて必要な情報を収集し、ドキュメントとして配布するような、これまでは完全に自動化されていなかった場面で、フロントとバックオフィスのギャップを埋めるものとして活用できる」ものとなっている。

 同氏が「ユニバーサルクライアント」と表現したように、Webフォームへの記入と大きく違うのが書式の自由度。またオフラインの入力や、一時保存が可能な点もメリットに上げられる。こうした機能は従来「Adobe Acrobat」が持っているが、無償の「Adobe Reader」にも機能自体は搭載されており、生成ファイルに対してこの機能制限の解除を設定できる。また閲覧、印刷、ファイルだけでなく特定ページ単位でのアクセス権限や電子署名を用いた改ざんの有無をコントロールできるセキュリティの機能も有している。

 同氏は、電話会社からの請求書を例に、「ページごとにヘッダのサイズを変えたり、例えば長距離電話を多く利用している顧客にメッセージを掲載するなどの、ワントゥワンマーケティングも自動で帳票に反映できる」と述べ。またオフィスでのコラボレーションでは、「ファイアウォールの外の相手とも、コメントやレビュー、変更をやり取りすることができる」とした。


製造業での部品調達のデモも行われた。発注の際にPDFを送信し、供給先ではフォームのボタンをクリックするだけで、基幹データベースにアクセスして在庫情報を検索できる 赤字で表示されている在庫不足分について、コメントによりやり取りもできる 受注を確認してXMLのみを送信、発注先の基幹データベースには、内容をそのまま反映する仕組みも可能となる

 同氏は「いかに情報システムが進化し、ワークフローが電子化されても、人がどうかかわるかが一番大きな問題となる」とし、PDFを中心としたIntelligent Document Platformについて「次の10年に必要な技術」と語った。



URL
  Adobe Intelligent Document Platform DAY 2004
  http://www.event-web.net/adobe/idp/
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.co.jp/


( 岩崎 宰守 )
2004/02/16 12:13

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