サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)は2月17日、「Network Computing 2004 Spring」を東京のホテルニューオータニで開催した。その中で米Sun Microsystems Inc.のVice President,Marketing Enterprise Systems Products、スティーブ・キャンベル氏が「Sunの考える次世代の情報システム・プラットフォーム “データセンターをシンプルに”」と題して基調講演を行った。
■ 課題を解決する、リファレンスアーキテクチャ
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Vice President,Marketing Enterprise Systems Products、スティーブ・キャンベル氏
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キャンベル氏によれば、サンでは現在リファレンスアーキテクチャを積極的に提供しているという。具体的には「実際の問題を解決することができるもの」で、同社では30を超えるリファレンスアーキテクチャを示している。こうしたものを提供することにより、いろいろなマイグレーションやデータセンターの統合などを展開することができるという。
「リファレンスアーキテクチャでは、いかにしてコストを削減し、リスクを低減し、導入期間を短縮できるか、ということが対象になる。たとえば、データウェアハウスをサンから導入する際には、カスタマーレディーソリューションによってシステムを統合し、前もってテストしたものを導入することができる。これによって、納入から投資効率が現れるまでの期間を短縮できる」(同氏)。こうしたサンの取り組みによってか、今サンは、ハード、ソフト、ストレージ、またベストブリードなパートナーソフトを提供するソリューションカンパニーとして期待されてきているという。
そしてキャンベル氏がその中でも一番重要だと述べるのは「64ビットの新しいプラットフォームと、スケールアップ、スケールアウトの新しいアプリケーションだ」。
■ ユニボードアーキテクチャで、ユーザーにさまざまなメリットを提供
スケールアップということでは、SMPテクノロジを採用した大規模サーバーへの置き換えがあげられるが、キャンベル氏は「サンではSMPの分野に関して、4または8CPUからスタートし、90年代から業界を引っ張ってきた。今ではそれが、100CPUを超える世界にスケールアップしている。皆さんにもSMPというものはなじみの深いものになったのではないか」と述べる。そして、事例として発表されているものを見ても、「実際に即したアプリケーションのベンチマークなどでも、いくつもの記録を打ち立てた」ように、UltraSPARC IIIで業界を引っ張っている、と胸を張る。
また、同社が発表しているUltraSPARC IVのCMTテクノロジもその回答の1つだ。2つ以上のCPUを1つのチップにまとめ、マルチスレッド処理を高速に行うことを可能にするものだが、こうした同社の構想を支えるのが、ユニボードという存在だ。「今回発表されたUltraSPARC IVでも、今までと役割は同じ」とキャンベル氏が語るユニボード。この、各製品に共通するCPU/メモリボードのアーキテクチャを使用することでユーザーが受けるメリットは、スペア部品の共有化が可能になることだけではない。上位のスペックを持つボードに入れ替えることで、性能のアップグレードが簡単にできるのだ。また、1つの筐体の中に異なる周波数のボードを併存させることも可能。「サンは競合他社のように、無理やり筐体ごとの入れ替えを迫ることはない。新しいユニボードを提供することで、ユーザーは簡単に移行することができるのだ」。
「さらに当社ではビジネスの継続性も保証している。(PA-RISCやItaniumを展開している)HPはOpteronサーバーへの取り組みがうわさされているように、どこに行きたいのかわからないし、Itaniumは将来そのものが大きく揺らいでいる。一方、UltraSPARCならバイナリの互換性が一貫して保証されている。我々はお客様のソフト、ライセンスに対する投資をきちんと守っていくことが重要な使命だと思っている」(キャンベル氏)。
キャンベル氏によれば、サンではまた、スケールアウトも提供しているという。「当社ではこのための安価なサーバーを投入するなど、力を入れている。先日発表した、Opteron搭載の製品により、x86アーキテクチャ上のSolarisも展開していく」と、多方面から顧客の課題解決を図っていく姿勢を示し、講演を締めくくった。
■ URL
サン・マイクロシステムズ株式会社
http://jp.sun.com./
NetworkComputing 2004 Spring
http://jp.sun.com/nc2004/
( 石井 一志 )
2004/02/18 00:00
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