ウェブメソッド株式会社は2月19日、「経営に活かすビジネスプロセス最適化の実現」をテーマにしたプライベートカンファレンス「Integration World Japan 2004」をグランドハイアット東京にて開催し、「企業の成長とビジネスプロセスを支えるエンタープライズサービス指向アーキテクチャ」のテーマで米webMethods, Inc. BAMビジネスユニット担当上級副社長兼ゼネラルマネージャ デボラ・ローゼン氏が講演を行った。
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米webMethods, Inc. BAMビジネスユニット担当上級副社長兼ゼネラルマネージャ デボラ・ローゼン氏
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企業システム間を横断してリアルタイムなプロセス監視を提供する「BAM」
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同氏が担当しているBAMは、Business Activity Monitoringの略。その名が表すとおり、企業の業務システムをリアルタイムで監視し、ビジネスプロセスにおける問題点の把握や即座に対処を行うことを可能にする。
同氏は「企業システムにおける現状の課題は、顧客からの問い合わせで発注の進捗状況を伝えるときに、まず状況を把握するために多くの時間とリソースを要し、問題があればさらにその解消にも時間がかかっている点」とし、BAMでは「複数のアーキテクチャをWebサービスを介して統合したシステム間で、パラメータを複数のモニタリングポイントからトランザクションレベルで監視するため、例えば受注から支払いの過程をリアルタイムに把握できる」と述べた。
「モニタリングの鍵になるのは情報のフィルタリング、切り分け」とし、「受注から支払いといったビジネスプロセスの稼動状況をそのサイクルタイムを見ていくことが可能となる」とした。そして「ルールに沿って正常なしきい値を動的に変更するメカニズムも備える」ほか、「フィンガープリントの機能では、プロセスが正常値から逸脱した状況を瞬時に伝えて警告を発する」という。さらに「フィンガープリントをスナップショットで記録し、時系列から同じパターンを予測することで、システムのインテリジェンスが高まる」とのことだ。
そして同氏は、「自動化されていて重要なプロセスに活用すべきで、リアルタイムで状況を把握する価値が高いほど適している」とした。業種としては「物流、サプライチェーン、小売業」を挙げ、「ボリュームが大きい、例外処理が少ない、例外やエラー訂正のコストが高いといったプロセスほど、導入のメリットも大きくなる」とした。
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Web注文をSiebelからOracleを経て処理する事例では、多発する問題点のリアルタイムな把握が可能に
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続いて製造業での受注管理システムの事例を取り上げた。その企業では「Webでの受注後24時間以内の出荷をうたっていたが、全体の81%しか達成されていなかった」ほか、「問題が発生した場合には、その解決に平均25時間かかっていた」という。注文処理にSiebelの、ERPにはOracleのシステムを使用していたが、「複数のチャネルから受注できたためか、受注時に情報の不備があるケースでは処理が拒否されているケースがあった」という。また「毎日のように新製品が登録され、その際にSiebelとOracleでの登録ミスが起きていた」ほか、「実際の倉庫在庫とOracleの不整合もあった」とのことだ。そしてこれらの監視は、「顧客からのコールセンター、IT部門、購買などの別々の部署で、あわせて20人以上がマニュアルで行っており、互いにそのことを把握していなかった」という。
特に同社では、顧客のリクエスト出荷日と、Siebelの注文入力からOracleへの流れに注目し、リアルタイムな状況把握と、プロセスの明確化を3カ月の期間で手がけ、注文処理時の不具合をリアルタイムで把握し、顧客からの問い合わせ前にサポートへ問題点の報告を行うようになったという。また監視の人員も節約、コールセンターへの問い合わせも減少したとのことだ。
このほか中古車販売ローンにおける信用力調査システムで、そのリアルタイム性により、契約が大幅に増加した事例も紹介された。
■ URL
ウェブメソッド株式会社
http://www.webmethods.co.jp/
Integration World Japan 2004
http://www.webmethods.jp/IWJ2004/
( 岩崎 宰守 )
2004/02/20 19:01
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