2月19日、20日に開催されたマクロメディア株式会社主催のカンファレンス「Macromedia MAX 2004 Japan」において2月20日、ビジネス・アーキテクツ株式会社 取締役 クリエイティブディレクターの福井信蔵氏が「ビジネス・アーキテクツが考えるRIA」と題した講演を行った。
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ビジネス・アーキテクツ株式会社 取締役 クリエイティブディレクター 福井信蔵氏
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RIAモデルの開発プロジェクトワークフロー
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RIAとは「Rich Internet Application」の略で、現在普及が進んでいるWebアプリケーションのインターフェイスとして、HTMLベースのWebブラウザの代わりにFlashを利用することにより、表現の幅を広げユーザー側の使い勝手を向上させることを指す。Flashを使ったWebサイトといえば、動画や音声を使った「派手」なサイトを連想する人もいるかもしれないが、最近は基幹業務アプリケーションやデータベースなどとの連携も可能で、商用サイトで活用して売上の向上につながった例も多数あるという。
福井氏は「これまでシステムを構築する際に、開発側の制約ありきで進められ、その結果使い勝手が悪く当初の目的を達成できないものが作られる例が多数あった」と既存のプロセスの問題点を指摘する。「まずどのようなシステムにしたいかをマーケティング的視点から分析し、ユーザーにとって最適なインターフェイスを開発上の制約を抜きにして検討するべき」(同氏)。
また、インターフェイスにFlashを利用する理由については「PCをはじめ携帯電話や情報家電などに標準でFlash Playerの機能の搭載が進んでおり、それぞれのデバイス向けの共通化した開発ができること。そしてHTML以上にユーザビリティの高いインターフェイスの構築が可能な上に通信データ量を抑えることが挙げられる」(同氏)という。
RIAに基づいて構築し成功した例として損保ジャパンDIY生命の例が挙げられた。同社のWebサイトではユーザーが家族構成や年収などのデータを入力することによりライフプランのシミュレーションが表示され、その結果から最適な資料の請求や保険の申し込みを行うことができる。RIAの導入以前のHTMLベースのページでは、レイアウトが直感的でない上に入力しなければならない項目が非常に多いなどの理由から、途中で入力を断念するユーザーが多かったという。
そこで競合他社などのページを研究して、HTMLでは表現できない直感的なインターフェイスを構築し、また基本的な情報での仮シミュレーションや途中まで入力した情報を保存することができるようリニューアルを行った。「その結果、顧客が納得して商品を購入することができるようになり、成約率や一件当たりの取引金額が大きく上昇した」(同氏)。
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RIA導入以前のページではデータの入力が煩雑で途中で断念するユーザーが多かった。
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リニューアル後、利便性が大きく向上した。
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また、社内のオペレーター向けのインターフェイスでもユニークな例がある。基幹業務のプラットホームをメインフレームからオープンシステムに移行する際に、入力インターフェイスをオペレーターにとって慣れないマウスなどを使うWebベースに変更すると、入力ミスが多発する恐れや社員の再教育の必要が発生する。そこでFlashを使って従来とほぼ同じくキーボードのみで入力できるインターフェイスを構築することで、その心配がなくなり「テスト、運用フェーズでの負担を大きく軽減した」(同氏)。
同氏は「RIAに基づいたシステムを構築するには、基礎の段階から一貫した目的を設定する必要がある。Flashでイメージされるクールなサイトのように一過性のブームで作れるものではない」と、表面だけの設計だけでなくプロジェクト全体でRIAを意識したシステム構築の必要性を語った。
■ URL
マクロメディア株式会社
http://www.macromedia.com/jp/
RIAコンソーシアム
http://www.ria-jp.org/
損保ジャパンDIY生命
http://www.diy.co.jp/
( 朝夷 剛士 )
2004/02/20 18:58
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