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アクセンチュア、RFIDを用いたSCMの改善例を発表


米Accentureチーフ・サイエンティストのグローバー・ファーガソン氏
 アクセンチュア株式会社は2月25日、RFIDに関する記者説明会を開催した。同社は経営コンサルティング、テクノロジーサービス、アウトソーシングの統合ソリューションを提供しているが、RFIDの分野に関しても標準化団体の設立当初からメンバーとなるなど、積極的に活動している。今回、RFIDの普及促進を目指して現在の活動内容などを紹介した。

 同社では、ビジネスアプリケーションの研究開発部門として、テクノロジー・ラボを設けている。同ラボを統括している米Accentureのチーフ・サイエンティストであるグローバー・ファーガソン氏は、「われわれが目指しているのは、ビジネス上の課題を解決するアプリケーション。ろうそくを改善しても電球が生まれないように、新たな技術を開発することはビジネス上の課題を解決するのに不可欠なもの」と、同社が研究開発に力を入れている背景を説明した。RFIDもその中のひとつで、「97年よりRFIDについては研究を進めている」と早い段階からRFIDに注目していたことを紹介した。


通信・ハイテク産業本部 パートナーの堀田徹哉氏
 引き続き、RFIDの実用化について、同社通信・ハイテク産業本部 パートナーの堀田徹哉氏から検証結果の報告が行われた。「欧米では、業界の大手企業が引っ張る形でRFIDの導入に向けた動きが起きている。それに対して日本では、実証実験は行われているものの、実用化に向けての動きはほとんど起きていない」と、実用化への移行シナリオの欠如を指摘。「欧米でRFIDの実用化が進んでいるのは、ビジネスバリューを企業間で共有しているのが大きな理由」と、RFIDがもたらすビジネスバリューの評価を業界で共有しているのが大きな強みと分析している。

 同社では、さまざまな企業のコンサルティングを行っている関係から、RFIDを実用化することでのビジネスバリューを独自に分析、その検証結果をケーススタディとして発表した。堀田氏は「たとえば、家電業界を考えると、メーカーから小売までのSCM(サプライチェーンマネジメント)に対し、RFIDを導入することで納期を短縮すし、販売機会を広げることが可能」と述べた。その根拠として、「現状では、メーカーから小売までの納品には検品・出庫など人手がかかる作業が発生している。どんなに短縮しようとしても人手がかかる部分はボトルネックとして存在する。RFIDを導入することで、人手がかかっている箇所を自動化でき、最短で受注から小売実売まで3日間という時間短縮が可能」と、RFIDにより自動化される効果を紹介した。

 ただし、RFIDを導入するだけで短縮されるわけではない。「RFIDの導入により、業務フローが変化するため、メーカーと小売が共同でSCMを見直す必要がある。これらを見直した場合、売上規模が3000億円のメーカーと売上規模2000億円の小売の場合、在庫負担の軽減や倉庫にかかる人件費の削減、欠品率の改善などにより、収益の拡大効果はあわせて25億5000万円になる。これに対して必要な投資額は25億円から45億円規模になるとおもわれるが、約2年で回収できることになるため、十分検討に値する」(堀田氏)と説明した。

 今回紹介されたケーススタディはあくまでも参考資料ではあるが、「こうしたケーススタディを発表することで、RFIDによるビジネスバリューを理解してもらうことが重要。RFID導入を契機とし、経営革新をどうおこなうかを検討していただきたい」(堀田氏)と、RFIDをどう使えるかではなく、経営革新にRFIDがどう使えるかという視点に立つことが重要であるとした。



URL
  アクセンチュア株式会社
  http://www.accenture.com/jp/


( 福浦 一広 )
2004/02/25 21:24

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