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IBM下野氏「BTOは継続的な企業変革を提供する包括的なサービス」

~IBM FORUM 2004 講演

 2月25日から27日に開催された「IBM FORUM 2004」(主催:日本アイ・ビー・エム株式会社)において2月27日、日本アイ・ビー・エム株式会社 常務執行役員 BTO担当 下野 雅承氏による「企業変革を実現するBTO(ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング)」と題した講演が行われた。


国内企業を取り巻く厳しい現状

日本アイ・ビー・エム株式会社 常務執行役員 BTO担当 下野 雅承氏
 同氏はまず2月18日に発表された国内の第4四半期GDP速報を取り上げ、「年平均7%の成長は、実感からするととても高い」とし、「日本経済の成長は鈍化し、市場規模の増大していく状況でない」と述べた。そして「日本の置かれた安定したポジションの下では、収益性の低下が大きな問題になる」とした。

 国内企業の収益は製造業で売上げの3%を若干上回るものの、全体では3%。米国企業の平均はこの2~3倍だという。なかなか収益が上がらない結果、「労働配分率は世界的に見て高い水準となっており、良い状況ではない」とした。そして「利益を生むような付加価値の創造は、われわれにとってチャレンジでもある」と語った。

 一方で企業を取り巻く環境は大きく変化している。同氏は製品・サービスのコモディティ化と顧客の多様化について、同氏は「参入障壁の高いメインフレームに対する、PCをはじめとしたオープン化の波がその典型だろう」と述べた。このほか、「資本市場からの圧力が増大し、透明性の高い報告を求められるようになったことや、競争の激化によるグローバル化」などを取り上げた。

 変革を迫られている企業へ向け、同社では必要とされる属性として即応性、柔軟性、集中化、回復力を柱にした「eビジネスオンデマンド」を提唱している。同氏は「インターネットの活用から企業内統合、企業間連携を経た次の段階として、ITインフラにとどまらず企業のビジネスプロセスを、さらにいえば最終的には社会全体へ広がる考え方」と語った。


企業のビジネスプロセス改革をサポートするBTO

 同氏はBusiness Transformation Outsoursing(BTO)を「外部の専門企業とのパートナーシップのもとで、ビジネスプロセス、組織・人材、ITを継続的に変革し、企業価値を最大化する」と定義した。これはeビジネスオンデマンドの集中化にクローズアップするものといえる。

 米IBMでは「アウトソースを積極的に外部委託する考え方が少なかった」1989年の時点で、Eastman Kodakに対してアウトソースサービス事業を提供。これを皮切りに事業参入し、2002年7月のPwC Consultingの統合により「ビジネスプロセス改善に助言できる人材が国内でも2000人合流」したことで事業を本格化させた。

 同氏は「グループ企業などで、系列子会社やカンパニー化など自社の成長に寄与しない部分を外に出すことは、従来でもごく当たり前の手法だった」と述べ、この間にSAPなどのパッケージ整備が進み、効率性の高いサービス提供が可能になり、「サービスの提供側と受け手の双方にも時代の変化があった」ことに触れた。そして「これからは事業領域をプロセス単位で切り出し、企業の成長のためにコアとなる事業へリソースを集中していくダイナミックな企業運営が要求されていく」とした。

 さらに「変化はどこかで終わるわけではなく、押し寄せつづける」と述べ、BTOは「仕事のやり方を変えるだけではなく、人のスキルも含め継続的な変化を提供する非常に包括的なもの」とし、「業務を代行するだけでなく、IBMのありとあらゆるサービス部隊によりアプリケーションの構築、維持を含むサービスを提供する」と語った。

 そして同氏は、BTOサービスの範囲について、これまでのアウトソーシング事例でも適用の多かった「業種を問わず共通性の高い、人事や経理、調達、顧客サービスといった部門」に加えて、「金融、流通、製造、通信・メディア、公共、公益の6業種についても取り組んでいく」と述べた。

 サービスの提供体制については、「現地で支援するとともに、今後どこかにセンターを集約化していきたい」と述べ、「マニラにサポートセンターがあるほか、オフショア開発では大連に日本向けのセンターを設立した」ほか、社内コンタクトセンターを沖縄に集約している。しかしあくまで「主力は国内業務」とのことだ。

 同社のBTOでの強みとしては「ビジネスプロセスの知識に基づき、従来のITインフラのコンサルティングを含め、顧客に価値ある提言や支援ができる」ことを挙げた。また「世界規模35万人のグローバルなサイズと、それ以上のパートナー各社をオペレーションデリバリに活かしてサービスを提供していきたい」と語った。



URL
  日本アイ・ビー・エム株式会社
  http://www.ibm.com/jp/
  IBM FORUM 2004
  http://www-6.ibm.com/jp/event/forum2004/


( 岩崎 宰守 )
2004/03/01 10:25

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