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FatWire、コンテンツ管理システムのセミナーを開催


米FatWire Software Inc. CEO マーク・ファシアーノ氏
 FatWire株式会社は3月2日、同社の企業向けコンテンツ管理システムを用いたECM(エンタープライズ・コンテンツマネジメント)と、その事例などを紹介するセミナーを開催した。

 米FatWireは、J2EEをベースにした「Content Server」により、企業のWebサイトやイントラネット、ポータルといったコンテンツを集約、管理する「コンテンツ管理システム」に特化した企業。2003年5月に米divineを買収するなど、米FatWire Software Inc. CEO マーク・ファシアーノ氏によれば「現在ではJAVAベースでは最大のCMSベンダー」に成長している。同社では米国以外でもヨーロッパやアジアでの事業を展開しており、コンテンツの多言語配信なども可能なため、グローバル企業などからの需要も多く、現在400社以上の顧客を持っている。

 同氏は、「パートナーには各市場での販売とサポートのほか、顧客ソリューションの垂直統合、地域特有のニーズの吸い上げといった役目も担ってもらっている」とし、ローカルパートナーとの協力を重視していると述べた。このほかアプリケーションサーバーなどコアインフラの技術パートナーとして、BEA SystemやSun Microsystems、Computer Associatesなどとも協力しているとのことだ。特に日本国内では、「導入の100%にかかわっているSIパートナーを重視している」と述べた。

 同氏はCMSについて、「どんな企業でも最初は1部署単位からの導入だが、この展開が広がるほどその重要性は増していく」と述べた。その時、企業の経営層にとっては「時間とコストをいかにかけずに展開できるかが重要になる」とした。また「IT管理者にとっては、Webサイトやポータルを複数に拡大し、運営する際の複雑性が、コンテンツ作成者には、新システム導入により、操作習得にトレーニングが必要になる点が問題になる」とし、Content Serverではこうしたリスクを回避できると述べた。


米FatWire Software Inc. Asia Pasific シニアバイスプレジデント ダグ・カプラン氏
 米FatWire Software Inc. Asia Pasific シニアバイスプレジデントのダグ・カプラン氏は、業種別にカスタマイズした同社の事例を紹介。出版分野では、世界35の言語で、月135冊の定期刊行物を発行しているEmerald Publishingの事例を取り上げた。同氏によれば、「アクセスコントロールの機能も備えるため、世界中のフリーランスのジャーナリストからのコンテンツの提供時間が短縮された。またワークフローの自動化プロセスにより編集スタッフ削減が可能になった」とのこと。

 金融サービスのJP Morgan Chaseでは、40のビジネスサイトで、それぞれの顧客に適した情報配信を行っているという。「既存ITインフラの活用、各国語への対応なども重視された」とし、導入効果として「調査結果コンテンツの更新時間が、これまでの2カ月から短いものは数時間になった」点を挙げた。

 通信分野ではH3Gの事例について、「8カ国でサービスを提供しており、また携帯電話やPDA向けなど、さまざまな形態で、マルチメディアを含むコンテンツ配信がひとつのインフラで行える」点などが導入理由になったとし、「宣伝やマーケティングをあわせた顧客別の配信が利益を生み出している」とのことだ。同氏は、「今後もコストダウン、収入増といった導入効果に注力しながら、業種別のソリューションを提供していく」と語った。


米FatWire Software Inc. CTO アリ・カーン氏
 米FatWire Software Inc. CTO アリ・カーン氏は、同社製品について「J2EEベースのWebサービスアーキテクチャにより、既存のインフラとシームレスに統合できることが強み」と述べ、同社の製品群を紹介した。Content Serverについては「マルチメディアデータや、非構造化データ、複数ERPからのトランザクションデータを、ひとつのリポジトリに格納、管理する。ワークフローエンジンや、ビジネスユーザーが利用するMicrosoft製品などのユーティリティと連携するインターフェイスを統合しているため、コンテンツ作成者はさほどトレーニングをしなくとも利用できる」と述べた。

 このほかユーザーを入出力データに応じてセグメント化し、コンテンツをパーソナライズする「Engage」、訪問ユーザーのセッションデータを取得してサイトアクテビティを分析するほか、サードパーティのレポーティングツールとも連携できる「Analytics Bridge」、分散キャッシュによるコンテンツ配信が行え、コンテンツ更新時には自動で変更が反映される「Satelite Server」、Windowsエクスプローラからドキュメント管理が行える「DocLink」といったツールがある。

 今後の製品ロードマップとして、Content Server導入後の展開を短期化するパッケージ「FirstSite」のほか、ポータル利用を前提としたCMSシステム「Spark pCM」を6月に提供する。また9月にはContent Serverのメジャーバージョンアップを行う予定だ。ここでは、コンテンツ作成時に、事前にレイアウトの大枠を定義することで、コンテンツの統一性を保つ「Page Builder」、Webをコンポーネント化して管理することで、容易にサイトの一部分を再利用できる「Site Replicator」といった機能拡張が行われる。


FatWire株式会社 代表取締役 田中 猪夫氏
 FatWire株式会社 代表取締役の田中 猪夫氏は、「コンテンツ管理という言葉からイメージされるB2Cのサイトだけでなく、今後は企業内ポータルでの基幹システムとの連携なども重視したい」と述べた。またSparkについては「Sun One Portalに標準でバンドルされるほか、WebLogicユーザー向けとしてフリーのダウンロード提供も行う」という。これは「コンテンツ作成ユーザー数が5の機能限定版」とのことで、「Content Serverへのマイグレーションパスになる」と語った。



URL
  FatWire株式会社
  http://www.fatwire.co.jp/

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( 岩崎 宰守 )
2004/03/02 17:55

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