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「エンタープライズの業界標準になる」と、米Adobe CEOが強い意欲


米Adobe Systems社長兼CEO ブルース・チゼン氏

ワールドワイドの売上高と地域別の割合

3つのターゲットユーザー
 「Adobeは製品提供中心からプラットホームを提供する企業に生まれ変わる」と、米Adobe Systems社長兼CEOのブルース・チゼン氏は、3月5日に開かれたアドビシステムズ株式会社の2004年度における戦略と展望の説明会で繰り返し、今後、エンタープライズ分野におけるドキュメントソリューションの提供に注力することを強調した。

 ITバブル崩壊後ソフトウェアベンダーの業績が低迷する中、同社はワールドワイドにおける2003年度の決算で、売上を12億9,500万ドルと前年度と比べて11%上回り、営業利益率を29%確保するなど、非常に好調だ。その中で日本は米国に次いで第2位となる20%の売上をあげており、同社においても「非常に重要な市場」(チゼン氏)となっている。

 その要因としてチゼン氏は、同社が3年ほど前から本格的に取り組み始めたエンタープライズ分野をターゲットとした製品やソリューションの提供が軌道に乗ってきたことを挙げる。同社はユーザーを「エンタープライズ」「クリエイティブプロ」「コンシューマ」の3つの分野に分けており、従来はクリエイティブユーザー向けの製品が大半を占めていたが、昨年度は各分野での売上がほぼ均等になるまでに変わったいう。さらに「他社と異なり、当社の財政基盤およびユーザーに悪影響を与えることなく売上比率を変化させることができた」(チゼン氏)とのことだ。

 同社が注力するというエンタープライズ分野への取り組みは、同社の技術を用いたビジネスソリューションをパートナーと構築し、PDFなどをビジネスドキュメントの標準プラットホームとして企業や官公庁などに推進することを目的としている。チゼン氏は「我々はERPにおけるSAPやデータベースにおけるオラクルのように、パートナーやユーザーが付加価値を提供できるような業界標準のプラットホームとなる技術を提供するため、売上の20%をR&Dに投資している」と、意気込みを語った。

 それではPhotoshopやIllustratorなど、従来同社の中核であった製品の提供はどうなるのであろうか。チゼン氏は「例えばホンダが以前と変わらず新しい車を作りながらジェット機のエンジンを製造するように、クリエイティブユーザーやコンシューマへの製品も今後変わらず続けていくのが我々の使命だ」とし、同社の顔ともいえる製品を今後も開発・提供していくことを約束した。



URL
  アドビシステムズ株式会社
  http://www.adobe.co.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2004/03/05 16:19

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