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サイボウズ、2003年度決算と2004年の事業計画を発表


 サイボウズ株式会社は3月5日、2003年2月~2004年1月期の業績報告と、2004年2月~2005年1月期の事業計画を発表した。


当初見通しを下回った2003年度利益

サイボウズ株式会社 代表取締役社長 高須賀 宣氏
 2003年度の売上高は前年比で18.5%で、2002年を若干上回り過去最高を更新した。また連結での純利益でも過去最高を更新したが、同社代表取締役社長の高須賀 宣氏によると「Cyboze Networkの清算、米子会社の株式引当の計上などの一過性の要因」とのことで、営業利益、経常利益ともに前年は上回ったものの、2002年水準までは戻していない。またサイボウズ株式会社単体での2003年度利益は、米国子会社であるCyboze Corporationの株式評価損7,400万円を特別損失として計上した関係で前年よりマイナスとなっている。

 予想を下回る営業利益になったことについては、「第3四半期のサイボウズ ガルーンの売上の伸び悩み、米国での海外事業の不振による影響が大きい」という。同社の売上は、主力製品である「適合性のガルーン、簡便性のOffice 6」の2本のグループウェアが92.6%を占め、ナレッジソフト「サイボウズ デヂエ」が4.6%、顧客とのメールによるコンタクトをサポートするメール版CTI製品といえるメールワイズが1.5%となっている。

 サイボウズ ガルーンでは、新規ユーザー案件が予想の562を下回る440にとどまったほか、1件あたりの想定ユーザー数も309と、予想の400に届かなかった。同氏によれば「3Qまでは案件数は想定どおりで、ユーザー数が伸びなかった。4Qでは大規模案件を獲得できた半面、数は減っている」とのこと。

 海外事業は、「売上が減少した2Q以降、リストラを行いブレイクイーブンを目指したが、それもできなかった」ため全体の1.3%にとどまった。

 officeについては、バージョンアップ数が想定を超えるなど、ほぼ予想通りの売上となった。デヂエは、新規販売が予想を下回ったがバージョンアップが上回った。またメールワイズは、「2003年に発売した製品だが、想定内の数字」という。

 営業利益の増加要因としては売上げの増加を挙げた同氏だが、減少要因として、製品開発期間の長期化による原価、主に大規模システム向けとなるガルーン導入にあたっての品質向上のための業務委託費用、広告宣伝、業務委託を中心とした販売管理費用の増加を挙げた。

 広告宣伝費については、全体で9億4523万円。前年より1.5億円ほど増加しているが、2002年よりは1億円ほど少ない。またインターネット広告が全体の43.4%と前年の31.9%から伸びて多くの割合を占め、一方雑誌広告が前年の31.9%から18.7%と減らしている。


2004年度は将来の事業展開への準備期間に

 2004年の事業計画としては、「Officeで22万人、ガルーン14万人の新規ユーザー獲得」を第1に挙げた。これは、「Webサービス提供の入り口としてのシェア向上」を目指すもの。2002年調査では21.3%で2位となっている「ユーザー数のシェアで国内トップを目標にしていく」とのことだ。Webサービス事業では、将来的にはグループウェアをベースにした他社製品販売の仲介や、月次・随時課金システムインフラとしての展開を目指すという。2003年には事業企画室を立ち上げ、4800万の売上を2004年には2億円にまで伸ばすことを目標としている。またダウンロード数が頭打ちとなっているというOfficeでは、「低下している利用率の向上を図り、水平傾向を保ちたい」とした。

 パートナー販売では、「ユーザーごとの価格が8000~10000円で、ライセンス販売だけでは魅力的商材でない」ことから、これまでは「顧客からの要望を受けての導入が大半だった」という。このため「別商品との組み合わせを企画したセットでの導入のほか、短期的には案件を開拓してパートナーに渡していく活動も考えている」という。

 同氏は海外事業について「中途半端だった」と述べ、「広告費投下にリソースをさかなかったのが反省材料。ITフリークをターゲットにしたネット直販、ネット広告による国内での成功モデルを元に、ビジネスモデルそのものを見直す」と語った。また「国内モデルを展開しやすいことを条件に、今後ドイツ、フランス、オランダでの事業も検討中」とした。

 また「2004年に予定していた製品のバージョンアップは2005年に持ちこす」という。これは「パートナー獲得を目指して大幅に商品に手を加え、海外への展開のために国際化が容易になるよう、効率的な開発できる仕掛けを組み込む」ことによるもの。

 こうした計画により、「2003年を上回る売上を目指す」としたが、経常・営業利益では連結、単体ともに20%前後減少の見通しだ。これについて同氏は「今後の事業拡大の上で重要な準備期間ととらえている」と述べた。



URL
  サイボウズ株式会社
  http://cybozu.co.jp/
  プレスリリース
  http://cybozu.co.jp/company/info/ir/index.html


( 岩崎 宰守 )
2004/03/05 18:21

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