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プロダクトマーケティング Xserve担当課長 鯉田潮氏
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アップルコンピュータ株式会社は3月9日、「Xserve G5」と「Xserve RAID」の説明会を開催した。その席でプロダクトマーケティング Xserve担当課長の鯉田 潮氏は、「まずはMacベースのシステムを持つ企業などをトッププライオリティとして導入を進め、地盤を固めていきたい」と、同製品の販売戦略について語った。
クリエイティブ分野を中心に知名度の高い同社がエンタープライズ向けサーバー分野に本格的に参入したのは2002年と、かなり後発だ。鯉田氏が「製品を出してすぐ売れるような市場ではない」と説明するように、シェアはまだまだ小さい。また、利用できるアプリケーションもオープンソースのソフトウェアが中心だ。鯉田氏は「まずはWebサーバーやファイルサーバーなどソリューションに依存しない“広く浅い”用途での利用が中心となる。企業向けアプリケーションへの対応は、Oracle 10gやSybaseなどのデータベースを予定しているが、このほかについてはユーザーのニーズをモニタリングした上で検討したい」と慎重な姿勢を示した。
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Xserve G5(試作品)の内部
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説明会ではクラスタリングソフト「Xgrid」プレビュー版のデモンストレーションも行われた。PowerMac G5(2GHz Dual)と3台のPowerBook G4(1.25GHz×1、1GHz×2)により最大7.5GHzのパフォーマンスで用意されたアプリケーションが動作した。
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Xserve G5は、IBMのPowerアーキテクチャをベースとする64ビットCPU「PowerPC G5」を採用した1Uサイズのサーバー。他社の64ビットCPUを搭載する同価格帯サーバーと比べて互角かそれ以上のパフォーマンスをもつという。工具なしで内部に簡単にアクセスできるなど、サーバーとしては珍しいPower Mac譲りのデザイン性の高い筐体も大きな特徴だ。
OSにはUNIX(FreeBSD)をベースとした「Mac OS X Server 10.3 Panther(以下、Mac OS X Server)」を実装しており、堅牢性と同社独自の高い操作性を備えている。Mac OS X Serverはクライアントにかかるライセンス料金が不要で「例えばWindowsのActive Directoryを使っているユーザーからDirectoryサーバーの増強に利用したい、といった問い合わせが多い」という。
Xserve RAIDはドライブベイを14基備え、最大3.5TBのデータ保存が可能、RAIDレベル0、1、3、5および0+1をサポートするデータストレージ。HDDにUltra ATAを採用することで1GBあたり約370円という低価格を実現している。また、管理監視アプリケーションにJavaを採用しているためMac OS以外のOSでも運用が可能だ。同社によるとデータのアーカイブ用途をメインとしながらもエンタープライズ用途でも十分に利用できる可用性を備えているという。
今後の展開について鯉田氏は「PowerPC G5を搭載することで大幅な性能の向上と他社に負けないコストパフォーマンスを実現している。まずはMacユーザーをターゲットに、その次のビジネスチャンスとしてWindowsやLinux市場に対して訴求していきたい」と語った。
なお、Xserve RAIDはすでに日本でも販売が開始されているが、Xserve G5は3月下旬を予定している。
■ URL
アップルコンピュータ株式会社
http://www.apple.co.jp/
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( 朝夷 剛士 )
2004/03/09 20:22
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