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NEC、ストレージ市場で急成長の理由は「技術を発揮できるから」


 「2003年度は金額・出荷ベースとも前年度比で50から60%の伸びを達成した。2004年度も同水準の成長を見込んでいる」と、日本電気株式会社(以下、NEC)執行役員の大森祐三氏は、同社が3月11日に開催したストレージ製品の説明会で述べ、自信を示した。


NEC執行役員 大森祐三氏
 同社がオープンシステム向けのストレージ市場に本格的に参入したのは2000年12月のこと。大森氏によると、2003年度はSAN、NASを合わせた「iStorageシリーズ」全体で約4,000台、累計で約8,000台を出荷したという。大森氏は「国内シェアではWindows向け製品で18%に達し、早くも1位となった。オープンシステム全体でも10%を占めている」と、同社がストレージ市場で急速に成長していることを強調する。さらに利益率においても「NEC全体の平均値よりも高い」とのことだ。

 同社がストレージ分野で急速に伸びている要因は何なのだろうか。大森氏は「ストレージはサーバーなどと違って、NEC独自の技術を発揮できる余地が残されていることが大きい」と分析する。ストレージには仕様がオープンな部分とクローズドな部分があり、データの高速転送や仮想化技術などの付加価値を盛り込んで、同クラスの他社製品群に対してアドバンテージをとることができる。大森氏は「サーバーは標準仕様でがんじがらめとなっていて非常にはがゆい思いをしている」と胸の内を明かし、従来の市場との違いを強調した。


NECのストレージ「iStorage」シリーズのラインアップ
 また大森氏は「最近ではデータのデジタル化で需要が伸びている放送分野や医療分野での案件が増えている。これら新しいユーザーに対してはストレージの実績よりも機器の単純な性能比較によって決まることが多い」と最近の動向を説明した。さらに「他社製品で構築されたシステムでも、性能を評価してもらえればストレージだけNECを使ってもらうこともできる」とストレージ独特の納入例を挙げた。

 なお、同社では性能が重視されるSANやハイエンドNASの「NVシリーズ」は同社で生産し、価格が重視されるローエンドNASの「NSシリーズ」やFCスイッチ、テープストレージは他社製品のOEMを利用しているとのこと。


NAS仮想化装置のイメージ
 それでは、ストレージで利用されているNEC独自の技術とはどういったものだろうか。説明会ではSANにおける構成・時間・場所の仮想化技術のほか、身近な例としてNASの仮想化についてデモを交えて紹介された。

 NASの仮想化では、ベンダーを問わない複数のNASを「NAS仮想化装置」によって1つのストレージとして管理できるほか、ホットスワップでHDDを追加したり、アクセス頻度や更新日時などからデータを最適なNASに自動的に移動させることができる。このNAS仮想化装置は2004年度後半にも発売を予定しているとのことだ。

 最後に大森氏は「好調な国内に対し、海外においては2003年度に小規模のSANが200から300台程度。まず2004年度の目標を500台として実績を積んでいきたい」と、今後の課題について語った。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  iStorageシリーズ
  http://www.sw.nec.co.jp/products/istorage/

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( 朝夷 剛士 )
2004/03/11 18:57

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