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米Red Hatヤング氏「選択できることに価値がある」

~Red Hat World Tour 2004 Tokyo 基調講演

 3月17日に行われた「Red Hat World Tour 2004 Tokyo」において、米Red Hat Inc.のマーケティング担当副社長、ジョン・ヤング氏が「Red Hat オープンソース・アーキテクチャ戦略」と題して基調講演を行った。


選択肢があることの価値、重要性

マーケティング担当副社長 ジョン・ヤング氏
 ヤング氏がまず提起したのは、「なぜIT業界の中でオープンソースが強いのか」ということ。これに関して同氏は「スタンダードを作成することにとどまらず、オープンであるために、さまざまな意見を持ち寄ることができること。限られたライセンスだけを購入すればいいため、管理が複雑でないためにTCOが低いこと。たくさんの人が参加することにより、新たな技術革新が早い段階で生まれてくること」などをあげたが、一番大きな理由は「選択の価値」だとした。

 「選択肢、これが一番重要なものだ」とヤング氏は主張する。「複数の選択肢から選別できることそのものがパワー。選択肢があることで、複数のベンダーから、自分によりよいサービス、価格のものを選ぶことができる。当然、アーキテクチャそのものも真に要件にあったものから選択することが可能だ」。

 なぜ“選択肢”が重要性を持っているのか。ヤング氏はこれに関してアメリカの自動車市場を例にとって説明する。「ある時期、日本の自動車メーカーが品質の高いものを運んできていたため、消費者にとって選択肢が広がったという出来事があった。その結果、日本企業に競合するメーカーも品質を上げたため、“標準”が上昇したのだ。コンピュータの世界でも同じことが起きている」と述べ、選択肢をユーザーに与えるオープンソースこそがコンピュータ業界発展の鍵だ、という点を強調した。


 続けて、同氏はすでにオープンソースはメインストリームになってきているとした上で、その理由について「さまざまな業界に浸透してきている。政府もその重要性を認めてきているし、商業的にも重要さが認められてきた。またLinuxに関していえば、大企業50社へのリサーチによればその3/4が“今後もっと使っていきたい”と考えている」と語った。

 また、Linuxのメリットについては「Linuxでは、ほかのアーキテクチャに比べて高いパフォーマンスを出せるし、そのためにサーバーのハードウェアやソフトウェアライセンスの数を減らせるため、コスト面や管理面の負担を軽減できる。UNIXと比べても、コモディティ化された技術を使っているためにハード自体の価格も安くすむ。セキュリティ面では、(Linuxが唯一のソリューションでなく)選択肢があることによって、ウイルス、ハッカーに狙われにくくなり、リスク低減になる」と述べた。

 そして、こうしたオープンソースの世界におけるRed Hatの役割としては、コミュニティの世界で使われていたものを洗練させることで、エンタープライズの世界で使っていけるものにすることだ、とヤング氏は語る。「我々の提供できる主要な価値は、5年間という長い間のサポートを提供できるということだ。このために顧客は安心して重要なアプリケーションをデプロイしていけるのだ」とし、長いスパンでのサポートを提供することで、安定した環境を継続してユーザーに提供していく、という姿勢を強調した。

 最後にヤング氏は「2年前には趣味のレベルでしかなかったオープンソース、Linuxが、今はまさにエンタープライズの中のコアテクノロジーというに位置を占めてきている。“選択の価値”が実証されてきた。今後もこれらは成長し続けるだろうし、皆さんにとっても選択肢の1つとして選ぶいい機会にしてもらいたい」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  レッドハット株式会社
  http://www.jp.redhat.com/
  Red Hat World Tour 2004 Tokyo
  http://www.jp.redhat.com/worldtour/


( 石井 一志 )
2004/03/18 00:00

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