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日本IBM、国産メインフレームユーザーの取り込み事業強化に向けアイネスら3社と協業
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は3月18日、他社のメインフレームユーザーを対象に同社のUNIXサーバー環境への移行を推進する「レガシーマイグレーション事業」の強化策として、UNIXサーバーへの移行実績・スキルを持つ株式会社アイネス、キヤノンシステムソリューションズ株式会社、コペルコシステム株式会社の3社と協業すると発表した。
協業内容は、日本IBMが各社に他社メインフレームに対応したシステム移行用ソフト、およびテクニカルサポートの提供を行うこと。同社によると「年内中には富士通をはじめNECや日本ユニシスなど、国産メインフレームのメジャーなOSはほとんどカバーする」としており、移行先となる環境は、同社がこれまで推進してきた「eServer zSeries」「同 iSeries」を基盤としたシステム。そして今回新たに「同 pSeries」のシステムも加わった。マイグレーションの内容は、言語をオープン系COBOLやJAVAに、データベースをDB2に移行することなどとしている。
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減収でもハードウェア事業は引き続き体制強化へ
常務執行役員 システム製品事業担当 橋本孝之氏
同日に開かれた記者向けの説明会では、常務執行役員システム製品事業担当の橋本孝之氏が「ハードウェア事業は“ウィンバックビジネス”に力を入れる」と2004年度の方針を語った。ウィンバックビジネスとは、他社サーバーを使うユーザーをIBMに乗り換えさせることを目標とするもので、今回の協業もその一環となる。橋本氏はIBMサーバーの強みについて「コスト削減だけでなく、論理区画(LPAR)を利用することでUNIXとLinuxというレガシー環境と新しい環境を同時に運用・管理できること、また今後のロードマップが明確なこと」と説明する。
同社の2003年度のサーバー事業は全体で減収という結果が公表されているが、その中でUNIXサーバーであるpSeriesは出荷金額で2ケタの成長をしており、ワールドワイドにおける第4四半期の大型UNIXサーバーの金額シェア(IDC調べ)で45%、日本でもサン・マイクロシステムズを抜いてシェア2位となった(1位は日本HP)。また、IAサーバーのxSeriesも「BladeCenter HS40」を中心としたブレードサーバーが好調で、シェア1位をキープしている。減収となったiSeriesにおいても、中小規模のメインフレームからの移行など新たなユーザーが30%を占めており「pSeriesとiSeriesでは今年中にPower 5を搭載した新機種の発売を予定しており、引き続き力を入れていく」(橋本氏)とした。
オープン系メインフレームのzSeriesも全体では減収という結果になっている。しかし橋本氏はこれを「コストパフォーマンスが良くなった結果」と悲観的には受け止めていない。というのは、MIPSの出荷量が年間50%の伸び率を示しており、同社が「ニューワークロード」と呼ぶLinuxやWebアプリケーション、ERPなどの新たな用途が占める割合が40%に達するなど「シフトがほぼ予定通りすすんでいる」からだ。またこれに引っ張られるように旧来の用途向けのMIPSも増加に転じており、「脱メインフレーム」と言われる中でも依然zSeriesへの需要が伸びている。同社も2003年にz990を発表したり、OracleやWebLogicなどUNIXアプリケーションへの対応を完了するなど手を緩めていない。橋本氏は「メインフレームtoオープンのブームは一段落ついており、どのアプリケーションをどちらのプラットフォームで動かすのがいいか、ユーザーの間でも明確になりつつある」とし、こちらも引き続き販売を継続する意向だ。
同社はワールドワイドで利益率の高いサービス事業に力を入れており、ハードウェア事業は縮小していくのではとの観測もあるが、橋本氏は「価格競争が激しくPC事業など含めると確かに厳しい面もあるが、製品もそろいつつあり、市場の見通しも明るい」と述べ、2004年度もハードウェア事業を強化していく意向を示した。
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URL
日本アイ・ビー・エム株式会社
http://www.ibm.com/
ニュースリリース
http://www.ibm.com/news/jp/2004/03/03181.html
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