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米Vitria Technology,Inc. CTO デイル・スキーン氏
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今後はEAI/BPMプラットフォームではなく、業界別のソリューション提供で価値を提供していく
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来日した米Vitria Technology,Inc.のCTOであり、「Father of BPM」とも称されるデイル・スキーン氏が参加するプレス向けのカンファレンスが、日本法人であるビトリア・テクノロジー株式会社において3月18日に行われた。
同氏は1994年に設立されたVitriaについて、「EAIとBPMを初めて統合」し、「マーケットリーダーとして500以上の顧客へ製品を提供しているベンダー」と紹介、他のEAIベンダーが厳しい現状のなか、2003年第4四半期には収益を増加させたことに触れ、その理由として「EAI、BPMを統合して提供する強み」と、「EAI/BPMの業界でもユニークな、業種別に特化したソリューションの提供」を挙げた。
同社が提供しているEAI/BPMプラットフォーム「BusinessWare」は、複数のシステム、アプリケーション間のやり取りを一元管理し、ビジネスプロセスをリアルタイムに可視化するもの。WebサービスやJ2EEといった業界標準の技術をサポートしている。2003年11月より提供されているVer 4.2について「同期/非同期のロードバランシングでの機能強化が特徴」とした同氏は、次期バージョンのVer 4.3について「9月頃には提供したい」と述べた。
そして「BPMの可能性はまだこれからで、本当の意味での価値は実現されていない」と語る一方で、「プラットフォームの技術は、コモディティ化の進展により収益の面では限界に達している」と述べ、「今後は業界に特化したソリューションにより、バーティカルな方向へ価値を求めていく」とした。
こうしたソリューションは、BusinessWare上での動作を前提に、「同じようなシステムを何度も構築している」パートナーや、顧客企業との連携により、蓄積した例外対応などのプロセスライブラリを数々の導入事例によりブラッシュアップし、プレビルドのアプリケーションとして提供するもの。同氏は「プラットフォームがあってはじめて、ビジネスプロセスを事前定義したソリューションの方向に向かうことができる」と述べた。
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通信、金融、製造でのSCM、北米向けのヘルスケアの各業界別ソリューションで、ビジネスプロセスの自動化を図る
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通信業などでは、「音声とデータをバンドルした新サービスといった複雑な製品への対応により、ビジネスプロセスがますます複雑化し、何年も前に導入されたシステムとの間でギャップが生じている」という。同社のテレコム業界向けソリューション「Vitria:OrderAccelerator」は、注文から支払いに至るビジネスプロセスを合理化、自動化するもので、スペインの大手テレコムプロバイダであるR社で採用されている。
このほかFord Spainでも、サプライチェーンシステムの再構築にあたって、同社プラットフォームと製造業界向けのソリューションが採用された。製造段階、注文段階での変更情報を可視化し、リアルタイムにサプライヤーにまで提供しているほか、オーダーサイクル時間を短縮することで在庫を削減するコストメリットをもたらしているという。
また国内でも、同社プラットフォームで稼動するアクセンチュアのソリューション「STP IP」がUFJつばさ証券で採用されている。これは「決済サイクルが短期化している金融業界で、トレード開始から、決済までの40システムを経るライフサイクルを自動化する」もので、国内金融業では初の同社製品導入となるこの事例は、「これまではエラー対応に25%~50%の作業コストを費やしており、BPMの長所がフィットしている」と述べた。
そしてEAI/BPMプラットフォームのBusinessWare Ver 4.3では、「ソリューションで提供されている例外処理を学習するルールシステムを取り込んだスマートなシステムになる」と語った。
同氏は16日に開催された「Gartner IT Summit 2004」でも講演を行ったほか、19日に開催される「日本国際金融システムフォーラム2004」でもビジネスプロセス統合についての講演を行う予定。
■ URL
ビトリア・テクノロジー株式会社
http://www.vitria.co.jp/
日本国際金融システムフォーラム2004
http://www.gmacjapan.com/nihongo/overview-29.html
( 岩崎 宰守 )
2004/03/19 00:01
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