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情報セキュリティセンターの構成
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通信総合研究所情報通信部門長 松島裕一氏
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独立行政法人通信総合研究所(以下、CRL)と通信・放送機構(以下、TAO)は3月22日、今年1月にCRLが設置した「通信総合研究所情報セキュリティセンター(以下、情報セキュリティセンター)」の発足を記念した「情報セキュリティ研究戦略シンポジウム」を都内にて開催した。
情報セキュリティセンターは、日本の情報セキュリティにおける研究開発の推進を目的とし、1)災害など緊急時における臨時通信網の構築や制御技術などの研究を行う「セキュアネットワークグループ」、2)不正侵入などのサイバー攻撃への対策やログ解析技術などの研究を行う「セキュリティ高度化グループ」、3)有線・無線を統合したセキュアな通信・プロトコル技術の研究を行う「セキュリティ基盤グループ」、4)上記3グループの研究成果の標準化活動や、大規模研究開発施設を通じて外部団体との調整を行う「情報セキュリティ推進室」で構成される。
また4月1日にはCRLとTAOが「独立行政法人情報通信研究機構(NICT)」として統合する予定だ。通信総合研究所情報通信部門長の松島裕一氏は「CRLの中長期的先端研究開発とTAOの実用化への橋渡しをする研究が一体となり、キャリア、ISVなどと積極的にコラボレーションすることで研究成果を迅速に実用化つなげる」と統合の目的を説明した。
■ 個人認証を保証できる技術でセキュリティ問題は99%解決
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東京大学国際・産学共同研究センター長 安田浩氏
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続いて東京大学国際・産学共同研究センター長の安田浩氏が「日本の情報セキュリティ研究開発の在り方」と題した基調講演を行った。
安田氏は「インターネットが普及する以前、情報は紙を媒体とした物理移動が基本だったのに対して、現在は電子形態へと変化し誰でも簡単に盗めるようになった」と、情報伝達手段の変化に伴って傍受・盗聴の危険性が増したことを指摘する。
しかし同氏はそれらに対するセキュリティ対策について「現状では完全な対策は存在しない」という。そこで、「防御策を2重3重に張って破られる確率を限りなくゼロに近づけ、傍受しようとする相手をあきらめさせることが重要」とした。
それでは情報セキュリティセンターなどに対して今後どういったセキュリティ技術の開発が求められるのだろうか。同氏は最も重要なものとして個人認証技術を挙げ「ビジネスを含めあらゆるネットワーク環境で“その人から来たもの”“途中で改ざんや盗聴されていない”ことを完全に保証することができれば、99%のセキュリティ問題を解決できるだろう」とした。それに向け行政団体や企業などさまざまなところで暗号化や認証技術などさまざま研究が行われているが、同氏は「ただし、DNAなど重大なプライバシー侵害につながるようなものは利用すべきではない」と付け加えた。
■ URL
独立行政法人通信総合研究所
http://www.crl.go.jp/
通信・放送機構
http://www.shiba.tao.go.jp/
独立行政法人情報通信研究機構
http://www2.crl.go.jp/kk/e412/nict/index.html
情報セキュリティセンター設置について
http://www2.crl.go.jp/pub/whatsnew/press/031225/031225.html
( 朝夷 剛士 )
2004/03/23 00:00
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