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ターボリナックス矢野社長「100%国産を武器にRed Hatに対抗していく」

Linuxマイグレーションセミナー

 株式会社SRAは3月25日、「Linuxマイグレーションセミナー 2004年度のLinux展望とエンタープライズシステム利用の可能性を探る」と題したセミナーを日本HP市ヶ谷事業所内で開催した。その中でターボリナックス株式会社代表取締役社長兼COOの矢野広一氏が「2004年Linuxの展望と可能性~Enterprise Linuxはどこへ行く~」と題した講演を行った。


Enterprise Linuxという言葉に実体や定義はない

ターボリナックス株式会社代表取締役社長兼COO 矢野広一氏

ターボリナックスの製品マトリックス
 まず矢野氏は3月15日に発表されたライブドアの買収について触れ「“Linuxの展望よりもターボリナックスがどうなるんだ”と言われそうだが、業績は2001年以降順調に推移している。SRAの傘下で力をつけさせてもらい、ライブドアに第2弾を点火させていただいた」と、2000年のLinuxブーム以降落ち込んでいた同社の業績が回復していることを強調した。

 続いて同氏は、企業で利用されているLinuxが「Enterprise Linux」と呼ばれている現状について疑問を投げかけ、「言葉に定義や実体がなく、実は供給側のキャッチコピーのようなものにすぎない。利用する側はそれらに踊らされず冷静に用途を見極め、最適の製品を選ぶべき」とした。「過去にSIS(Strategic Information System)という言葉がもてはやされたものの、これで成功したのはほんの一握りだったということがあった。Enterprise Linuxもこれと同様となる恐れがある」(同氏)

 だが同社でも企業向けLinuxとして「Turbolinux Enterprise Server」と「Turbolinux Server」という、企業向けとそうでない用途向けとも受けとめることができる製品がある。これについて同氏は「Enterprise Serverは、WebLogicやOracleなど広く利用されている商用業務ソフトのサポートがあるためパッケージや値段を区別しているが基本部分は同様。これらのソフトを使わなければ大規模企業でも安価なTurbolinux 8 Server(39,800円、5年サポート付)を安心して使うことができる」と語った。


Red Hatを強く意識

 そのTurbolinux 8 Serverについて同氏が「前年度比で5倍売れている」とアピールするように、昨今企業におけるLinuxの導入が急速に進んでおり、サーバーを運用している企業の2/3は何らかの形でLinuxを利用しているという調査結果もある。だが、それ以上に日本のほか中国や欧州各国などの公共機関が、Linuxなどオープンソースソフトウェアを導入するという例が増えており、Linuxへの関心が高いことを示している。

 同氏はこの理由を「オープンシステムへの移行によるコスト削減に政府などが非常に前向きになっているから」と説明する。公共機関がオープンシステムへの移行によりコスト削減を図ると、これまで維持費などでシステムを納める国内の企業に渡っていたカネが少なくなり、自国の経済に影響を与えてしまうことが懸念される。そこでソフトウェアを国内で開発された安価なオープンソースベースを利用することで、コスト削減とロイヤリティの国外流出防止を同時に実現しているというのだ。

 同氏は「各国では自国ベンダーのオープンソースソフトウェアを導入するのが当たり前となっている。これに対し日本では“EnterpriseでLinuxを使うならRed Hatが安心”といった、やはり実体のない誤った認識が残っている。ターボリナックスは100%国産のLinuxベンダーという事実を積極的に訴求していく」と述べ、Red Hatを強く意識し“国産”を武器に対抗していく考えを示した。


デスクトップLinuxの販売推移
 同社は3月16日に米HPとLinuxデスクトップOS「Turbolinux 10 Desktop(以下、10D)」のOEM契約を締結、日本およびアジアでの発売を予定している。日本HPとの間で具体的な調整はまだ行われていないとのことだが、矢野氏は「6月」と希望を交えながら国内での発売時期について触れた。同氏は「Linuxクライアントの需要も拡大しており、今年は10万本の出荷を予定している」としながらも「全体シェアでみれば微々たるものというのが現状。10DはデスクトップOSとして十分に使えるものに仕上がっているので、今後はプリインストールPCを拡大することでユーザーへの認知を広げていく」と述べた。



URL
  ターボリナックス株式会社
  http://www.turbolinux.co.jp/
  SRA株式会社
  http://www.sra.co.jp/

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( 朝夷 剛士 )
2004/03/26 00:00

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