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米i2、第2世代のSCM製品を核とした2004年の事業戦略を発表


米i2 Technologies,Inc. 代表取締役会長兼CEO サンジブ・シドゥ氏

CIOへのヒアリングでは、アプリケーションへの投資が増加の傾向を示している
 i2テクノロジーズ・ジャパン株式会社は4月1日、米i2 Technologies,Inc.の共同創業者で代表取締役会長兼CEOであるサンジブ・シドゥ氏の来日と、同日付でアジア太平洋地域社長にハイデン・バリア氏が着任したことに伴い、同社の事業戦略についての記者説明会を行った。

 同社では95年以来の事業拡大に伴った支出の増加について、2002年の後半からコスト構造の見直しを進め、シドゥ氏によれば2003年までに「90年代と比べ2倍の効率化を果たした」という。

 続いて同社が企業のCIOに対して行ったヒアリング調査の結果に触れ、「2001年には、IT投資のうちインフラに対して70%、ERPやCRM、SCMといったアプリケーションへの投資は30%の割合だった。これが景気低迷の影響から、2002年にはIT投資全体が削減され、インフラ投資金額は変化しないものの割合が増えたため、アプリケーションへの投資が減少した」とした。

 これが2003年には「積極的な投資で事業展開を図るため、インフラへの投資を圧縮し、アプリケーションに力を入れるCIOが増えた」という。そして「現在でもこうした方向性へと確実に進んでいる」との見方を示した。

 「こうした潮流を踏まえれば、SCM市場の重要性が高まるだろう」とし、2004年は同社にとって「成長に着手し、市場シェア拡大を図る年になる」とした同氏は、その事業戦略を述べた。


各システム、各部門でそれぞれの計画に関するデータを可視化する
 同氏はサプライチェーンの面で優れた企業としてデル、ウォルマートの名をあげ、「SCMにも市場ニーズを反映した変化対応が必要だ」とした。それには「データの可視性が鍵になる」という。同社ではWebサービスアーキテクチャを用い、「製造購買におけるオーダーや在庫を管理などのフルフィルメントだけでなく、財務、営業、製品といった企業内の各部門、さらにサプライヤーなどのパートナーに対して、またERP、CRP、DWHといった各システムでも、データを可視化する」。

 そしてこれまでの製品の調達購買におけるプランニングだけでなく、「顧客や市場の需要や動向、サプライヤーの状況をとらえ、調達購買の計画策定に組み込んでいくPlan Do Check Action(PDCA)のサイクルをカバーする第2世代のSCM製品を提供していく」とした。

 例えば「何らかのイベントがトリガーになって在庫が高い水準になったとき、各部門で分析できることが重要」とした。こうしたイベントの監視と管理が可能な製品としては、同社ではDo/Checkのプロセスを担うデータ、イベントそれぞれの管理製品を2003年にリリースしている。

 また同氏はグローバルに展開する小売業者からの発注を例に、「製造拠点や倉庫が、例えば中国やアメリカなどに点在していても、データの可視化により世界中に散らばる納入先に対して、これまでの5~10倍の速度でオーダーを処理できる」とのことだ。さらに今後は在庫がしきい値を下回ったとき、モバイルに連絡するなどの応用範囲の拡張も行っていくという。

 同氏は「現在のSCM市場での競合相手は自社開発のアプリケーションや、スプレッドシートベースのソリューション」とし、「5年先を考えれば、こうしたアプリケーションやERPシステムでは複雑化したサプライチェーンの管理が難しくなるだろう」とし、「こうした点が専業ベンダーならではの強みになる」とした。

 国内での展開については「これまで自動車、ハイテク、産業機械、メタルの各分野で強みを持っていた。世界規模の契機悪化の影響もあったが、半導体や家電分野は持ち直してきている。これに伴って躍進するとともに、今後は消費材や小売の分野でも力を入れていく」とのことだ。


i2 Technologies, Inc.グレーター・アジア・パシフィック地域社長に着任したハイデン・バリア氏
 i2 Technologies, Inc.グレーター・アジア・パシフィック地域社長に着任したハイデン・バリア氏は、自身の10年来のアジア太平洋での活動を通じ「産業の競争構造が変わってきた」との見方を述べた。そして「中国、インドが台頭してきており、日本企業がアジア地域での事業機会をとらえるには、SCMの形を変える必要があるだろう」とした。そして「地域における新たな競争優位性を提供し、アジア太平洋地域でSCM分野のリーダーになることを目標にしていきたい」と抱負を語った。

 サドゥ氏は同氏について「日本法人の顧客ともなじみの人物で、インドを拠点にする開発部門とも近い。日本国内のニーズを的確に開発に反映できるきっかけになると期待している」と述べた。



URL
  i2 Technologies,Inc.
  http://www.i2.com/
  i2テクノロジーズ・ジャパン株式会社
  http://www.i2j.co.jp/
  プレスリリース
  http://www.i2j.co.jp/press/p240401.html

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( 岩崎 宰守 )
2004/04/01 15:30

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