4月15日に都内で開催された「Winning Solution 2004 セミナー“BEYOND-目指すものは、一歩先にあります”」(主催:エクストリーム ネットワークス株式会社)において、米Extreme Networksのプロダクトマネージメント担当副社長、ヴァルン・ナガラジ氏が「エクストリームが展望するネットワークインフラの新たな指針」と題して講演を行った。
■ 変化に対応できる物だけが残っていく
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米Extreme Networksのプロダクトマネージメント担当副社長、ヴァルン・ナガラジ氏
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ナガラジ氏によれば、かつてダーウィンが「この世に生き残る生物は、最も強いものではなく、最も知性の高いものでもなく、最も変化に対応できるものである」と述べたことは、ネットワークにおいても当てはまることだという。「ビジネスの環境が変わった場合には、ネットワークもその変化、要求に応じて変わらなければならないのだ」。
このネットワークの“変化”という課題を具体的にあげると、どのように新しい機能に対応していけるか、また稼働させながら機能が追加できるかということになる。ナガラジ氏は「ネットワークにとってもっとも重要なのは、変化の時に妨げを起こしてはならないということ」だと述べ、続けてどのような変化が今起こっているかについて説明した。
「無線LANでは、IEEE 802.3a/b/gのデュアルバンドが騒がれており、アクセスポイントの価格も下がった。またデスクトップPCにもGigabit Ethernetが使われるようになり、年々成長率が伸びている。一方、コアネットワークでは10Gigabit Ethernetが使われるようになってている。これもまだまだ伸びるだろうと予測されている」(ナガラジ氏)
■ ネットワークが必要とするもの
このように、ネットワークの世界はどんどん変わってきているのだが、Extremeでもこれに対しては適切に対応できるように考えているという。同氏はその核として、「アーキテクチャ」「シリコン(ASIC)」「ソフトウェア」を据えて研究開発をしていると述べ、さらにネットワークが必要とするものの方向性について、その考えを披露した。
「今ではネットワークのエッジに接続されるデバイスは多様なものになった。(デスクトップ)PCやノートPCだけでなく、IP電話、PDA、バーコードスキャナなどが接続されるようになっている」(ナガラジ氏)。また、セキュリティも重要なトレンドだとした同氏は、「以前わたしの上司に『マーケティングをマーケティングの人だけに任せてはいけない』と言われたことがあるが、セキュリティもこれと同じ」と語り、セキュリティベンダだけに任せっきりでは十分でなく、スイッチでも新しいセキュリティの機能を持つべきだと主張する。「さらに、高可用性も必要。ネットワークが変化した際に、アップタイムを維持することが重要だ」とも繰り返した。
■ ネットワークのすべてを知るスイッチが必要
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ユニファイドアーキテクチャの概念図
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こうしたネットワークの新たな必要要件に対して、同社では前述の3つの核のアプローチから、取り組みを進めている。アーキテクチャに関しては、「ユニファイドアーキテクチャ」という概念を導入し、エッジで用いられるSummit 300/400やAlpineなどのスイッチでは、さまざまなデバイスが接続することを想定。Power of Ethernet(PoE)、Gigabit Ethernet、無線LANなどをサポートする一方で、1つのポリシーマネージャでこれらのデバイスを管理することが可能とした。「スケーラブルなネットワークの構築には、エッジ部分のユニファイドアーキテクチャへの対応が必要だ」(ナガラジ氏)
ASICの分野でも、同社は新しい技術の導入を進めている。2003年末にリリースされたハイエンドスイッチ「BlackDiamond 10k」では、最新の第4世代ASICをはじめて搭載した。このASICでは、ハードウェアレベルでLPM(Longest Prefix Match)、IPv6、MPLSのサポートを可能にしたほか、「業界で最も大きな、128,000ものACL(Access Control List)をサポートする。こんなに数はいらないと思われるかもしれないが、わたしはまだ十分ではないと感じている。なぜなら、将来はACLでセキュリティポリシーのインプリメントが行われるようになると考えているからだ」とナガラジ氏は述べ、このASICの機能を強調した。
続けて同氏は「しかし一番重要なことは、“CLEAR-Flow”機能だ」と、さらに第4世代ASICの特長を語る。この最新機能を用いると、ネットワーク内部のトラフィックを詳細に分析し、異常を検知することが可能になるため、セキュリティには必須の機能だという。「スイッチでは、ネットワークで起こっていることをすべて知る必要がある。異常があれば、スイッチレベルで対応ができる」
■ 「IOSを過去のものとする」新しいOSとは?
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XOSの概念図
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ソフト面でも重要な変化がある。BlackDiamond 10kでは“UNIXベース”のOSとなる「XOS」も採用されているが、これがなぜ重要かというと、モジュラー構造による高い可用性が得られることや、サービスを停止せずにソフトのアップグレードを行える「ヒットレスアップグレード」などがあげられる。また、スイッチ内部でのコンフィグファイルはXMLによって保存されるため、新しい機能の追加、外部システムとの統合が容易になっていることもメリットの1つだという。
これらに加え、XOSでは「CiscoやJuniperではハイエンドルータにのみ搭載されている、仮想ルーティングを可能にしたことも大きな特長だ。しかも、L3の仮想ルーティングだけでなく、L2の仮想スイッチングにも対応する」とナガラジ氏はアピール。さらに、「XOSはほかのプラットフォームでも利用が可能で、PCでもすでに使えるようになっている。このため、スイッチが実際にない環境でも、XOSのトレーニングやアプリケーション開発が行えるメリットがある」とも述べた同氏は「UNIX OSベースなら、新しい機能を市場に早く提供できる。これによって、Cisco IOSは古いものになるだろう」と力強く語った。
最後にナガラジ氏は「ビジネスは日々、刻一刻と変化している。ネットワークもそれに応えていかねばならない。つまり、セキュリティに、あるいは可用性に関する新しい要件に答え、新しい機能の導入、変更に対して柔軟でなくてはいけない。当社の製品は、皆さんに必ず役立てていただける物だと自信を持っている」と述べ、講演を締めくくった。
■ URL
エクストリーム ネットワークス株式会社
http://www.extremenetworks.co.jp/
Winning Solution 2004 セミナー
http://www.extremenetworks.co.jp/news_events/e2004/wsseminar.htm
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( 石井 一志 )
2004/04/16 00:00
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