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米Intelでは社内サーバーの8割にIA/Linuxを利用


 インテル株式会社は4月19日、米Intel 副社長兼CIOのダグラス・ブッシュ氏による社内ITシステム戦略に関する記者説明会を開催した。


ノートPCの採用拡大で生産性を向上

米Intel 副社長兼CIO ダグラス・ブッシュ氏
 同社では1968年の創業後、1970年にはマレーシアに工場を設置するなど、ワールドワイド規模での活動を行ってきた。現在では、南北アメリカで62,000人、ヨーロッパに13,000人、アジア太平洋に15,000人のITインフラを利用する従業員を抱え、10万台を超えるクライアント、54,377台のサーバー、3.2ペタバイトのストレージでITインフラを構成しているという。

 1998年と2003年の同社ITインフラを比較した場合、LAN帯域幅で約1500%、メール件数でも約250%増加している一方、IT管理部門の従業員数は24%、IT投資額も26%の増加に押さえられている。同社ではこうしたITインフラのほか、IPテレフォニーの活用などにより、直接顔を合わすことなく業務の遂行を可能にしているという。

 同社では、現在クライアントのうちノートPCが約7割を占める。ブッシュCIOは「無線LAN環境との組み合わせにより、週あたり数時間の生産性向上が実現する」との同社の調査結果を示し、「今後もノートPCの比率を拡大していく」と述べた。

 同社では無線LANモバイルによる投資回収率などの調査結果を報告書にまとめ、パフォーマンスレポートとして改善の必要な点をWebサイトより社外にも公開しているとのことだ。


半導体設計業務では8割がIA/Linuxサーバー

 また同社の半導体設計業務向けサーバーとして、1997年当時はインテル社内でも非インテルのハイエンドRISCサーバーが大半が占めていた。しかし将来的なトランジスタ数の指数関数的な増加に伴う設計の複雑化に対して、IAアーキテクチャへ移行する方針を打ち出し、現在では28,900台のサーバー中、80%以上がIA/Linuxプラットフォームだという。これらは1U/2Uラックサイズの2Way構成が典型的なシステム構成とのこと。現在ではRISCベースのプラットフォームを、主に検証・サポートのために残しているが、数年後には完全に入れ替わる見通しだという。

 同社の試算では1997年以降、ソフトウェアコストの高いRISCプラットフォームからIAアーキテクチャへの移行したことで、性能を維持したまま9億2500万ドルの投資削減を実現したとのことだ。ブッシュCIOはこれを「成功要因の鍵だった」とし、「今後もビジネス領域で大きな意味合いを持つ」と述べた。

 また半導体設計業務へのグリッドコンピューティング適用を拡大し、現在利用している社内開発ツールからオープンソースアーキテクチャへの移行も行っていくという。


ITイノベーションセンターで企業価値を創出

 同社では将来のシステムアーキテクチャや、分散コンピューティング、さらにeラーニングなどをターゲット分野とした「ITイノベーションセンター」をアイルランドと米カリフォルニアに設立、同様のコンセプトに基づき、世界各地の社員で問題を共有するアプローチとして仮想的なセンターも提供している。

 ここでは「イノベーションに特化した従業員のアイデアを戦略に反映させる」という。また米政府と共同するなど社外とのコラボレーションも展開していくとのこと。これにより企業価値の向上と顧客への価値提供を推進していくという。ブッシュCIOは「イノベーションへの投資はリスクが高いが、目標を掲げていることが重要」と述べ、「こうした活動により製品の競争力と付加価値を生み出し、さらに標準化による価値を顧客へ提供していく」と語った。



URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  IT@INTEL
  http://www.intel.co.jp/jp/business/it/


( 岩崎 宰守 )
2004/04/19 14:10

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