米Microsoft Corporationでインフォメーションワーカービジネスユニット担当コーポレートバイスプレジデントをつとめるピーター・リニアスン氏は4月20日、「ソフトウェアの役割というものは、一言で言うと生産性向上につきる。当社は巨額の投資を行って、将来の仕事のあり方がどのようなものなのかを真剣に検討しており、製品を提供することで、変わりゆくビジネスにおいてユーザーを支援する」と述べ、変化を続けていくワークスタイルに、Officeシリーズなどの製品群によって積極的にかかわっていく姿勢を述べた。
■ 個人だけでなく、チーム、組織の生産性向上を目指す
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米Microsoft Corporation インフォメーションワーカービジネスユニット担当コーポレートバイスプレジデント、ピーター・リニアスン氏
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これは、マイクロソフト株式会社が開催したプレス向けのラウンドテーブルミーティングの中で語ったもの。リニアスン氏は自らが束ねているインフォメーションワーカービジネスユニットの方向性として、「既存製品の増強や新製品の開発のほかに、お客様にOfficeシリーズなどの価値をより理解していただくため活動を行う。つまり、当社の提供している製品を使うことによって、お客様がより生産性を上げられるように支援をしていく」と語る。
そして自らの役割については、新製品の開発のほかに、オピニオンリーダー的な役割を果たすとも述べた。これによって、ユーザーやパートナー企業に対して、同社が将来の方向性をきちんと考えている企業であることを示すというのだが、これは同氏が「当社に対する投資は一回きりなのではなく、何年間も続いていくものなのだから、将来的な会社の方向性はお客様にとって重要な関心事になるはず。当社がどういう製品を開発していくのか、どういうビジネスのあり方が存在するのかを伝えていくことが重要だと考えている」ことによる。
その上でリニアスン氏は「人間がどういうふうに仕事をしているか考えた場合、人と人をつなぐことは大事。個人が1人で仕事をする場合の生産性向上には成功したと考えており、今後は、チーム、組織全体の生産性を向上させることを目指す。Office 2003では、はじめてここへ取り組んだ。このように、グループの生産性を向上させることに対してフォーカスした製品は出てきてはいるが、この分野ではまだまだテクノロジーを使う機会はあると思う。だからこそ、ここには将来的にエキサイティングなチャンスがある」と述べた。
■ パーソナルユースへの“原点回帰”も必要
また「エンタープライズ分野は重要な領域なので今後も強調していく」としたが、パーソナルユースの分野に関しても注力する必要があるとも、リニアスン氏は主張。「ここ10年を振り返ると、個人ユーザーが焦点からはずれてきてしまった。当社製品には個人ユーザーにも使いやすいものがたくさんあるが、その情報をあまり出してこなかったといえる。たとえば、そのために開発したものではないとしても、ジャーナリストの皆さんに使いやすい機能がたくさんあったとする。しかし、現状ではそれが十分に伝わってはいないだろう。これはユーザーではなく、当社の責任だ」としたほか、「たとえば、個人がやりたいことを(マイクロソフトのWebで)オンライン検索すると、その人の役に立つであろう機能をリストとして表示する、そうした方法があってもいい。ヘルプ、マニュアル的なものではなく、“プラクティス”を提供するということ」と語り、よりユーザーフレンドリーなシステム、啓発活動が必要との見解を示した。
■ さらなる生産性向上を目指すシステムも開発中
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今回披露されたRingcam(仮称)。製品出荷時には、もっと洗練されたデザインになるとのこと
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なお、同氏は現在開発中のシステムについても2、3明らかにした。その中で注目を集めたのが、マルチカメラを利用したビデオ会議ソリューションだ。ハードウェアの中核となるものは、5つのカメラと多数のマイクを持った「Ringcam(仮称)」で、これにより360度の映像を別の場所にいる会議の参加者に送ることを可能にしている。またこのソリューションでは、自動的に発言者を識別してその画像をアップにすることもできる。これには、どのマイクが音を拾うかで位置を認識するだけでなく、顔貌認識の技術が使われており、話者の顔の変化によって「話している」ことを察知できるという。さらに背景の雑音をカットする機能なども盛り込まれており、「ビデオ会議の効率が大幅に改善される」(リニアスン氏)とのこと。製品化は2005年を予定している。
■ URL
米Microsoft Corporation
http://www.microsoft.com/
マイクロソフト株式会社
http://www.microsoft.com/japan/
( 石井 一志 )
2004/04/20 19:23
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