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マイクロソフト藤本氏、「スムーズなアプリケーションの移行を可能にする64ビット拡張版Windows」

~AMD64&Microsoft Software Developer Conference 講演

サーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 マネージャ、藤本 浩司氏
 4月22日に東京国際フォーラムで開催された「AMD64&Microsoft Software Developer Conference」にて、マイクロソフト株式会社のサーバープラットフォームビジネス本部 Windows Server製品部 マネージャ、藤本 浩司氏が「Windows for 64-bit Extended Systemsマーケティング戦略」と題した講演を行った。

 藤本氏はまず、AMD64アーキテクチャに対応した64ビット版Windowsを手がける時の懸念事項として、「ハードウェアベンダが協賛してくれなければ(64ビットOSの開発などを)動かしていくわけにはいかないが、HPとIBMという大きな会社が当社といっしょに推していくというコミットをしてくれたので、当社も積極的に展開していこうと考えている」と述べた。一方、日本での展開を考えたときに、ISVからの声として「(自社の開発した、している)さまざまなアプリケーションがあるなかで、すべてのアプリケーションを一気に64ビットに持っていくのは難しい。32ビットと64ビットの共存できる環境を提供して欲しい」との要望があったという。


64ビット拡張版Windowsで無駄なく64ビットへ移行

64ビット版Windowsのラインアップ
 そしてそうした中でAMDのアーキテクチャを見たときに、「(既存の32ビットアプリケーションも利用できるAMD64アーキテクチャについて)これはいいと感じた。また、今まで我々が歩んできたアーキテクチャと同じ道を進んでいる手法、戦略でもあるし、これを積極的にサポートしていくことを考えた」と同社の姿勢を述べた。

 今後同社は、Windows XP/Server 2003の「for 64-bit Extended Systems」として、AMD64アーキテクチャと、64ビット拡張されたインテルCPUの2つをサポートし、1つのOSで2つのアーキテクチャをサポートする。「これにより、Windowsにあるたくさんのアプリケーションを無駄なくスムーズに64ビット化できるだろう」(藤本氏)。また、両OSの「for Itanium-Based Systems」では、引き続きIPFのサポートも継続する。同氏にはItaniumについて、「データベースや大型システムではビジネスとして成功している。メインフレーム、(RISCなどの)UNIXマシンの持っているリライアビリティなどを考慮されて作られているのがItaniumだと考えており、これは引き続きコミットしてサポートしていく」とした。


64ビットWindowsの対象は?

64ビット版Windowsのターゲット
 また、64ビットOSのターゲットについて述べた同氏は、「メモリ空間が足りないと言われているCAD/CAMやフォトイメージの編集、3Dレタリングの分野では64ビットのWindowsが求められている。またサーバーでは、データベースだけ、もしくはその管理ツールなどの一部のソフトのみしか使わないということならItaniumでもいい。ただし、一台のサーバーで、自社のアプリケーションを含めたさまざまなソフトウェア、また32ビットのものを動かす場合には64ビット拡張のシステムが適している。OLAP、データマイニングなどでもそうだし、パフォーマンスが必要なWebサイトなども考えられる」とした。

 しかし、「Windowsはまだ64ビットのビジネスでは遅れているが、それ以外のOS、UNIXやMACは64ビットに移行しはじめていたり、もともと64ビットだったりするし、その上でさまざまなアプリケーションが動いている。ここでいうターゲットとは、あくまでも一般的に64ビットのファーストターゲットになるだろう、というところに関して述べただけ」とし、64ビットWindowsは必ずしも特別なものではないという点に触れた。


64ビット版の今後の提供スケジュール

 今後マイクロソフトでは、両OSの64-bit Extended Systems版の中間ビルド(テクニカルベータ)日本語版を6月中に提供、8月中にRCビルド(マーケティングベータ)日本語版をリリースする。藤本氏は「当社としてもはじめてのことなので、ISVの皆さんにもぜひ協力をお願いしたい」と会場に呼びかけていた。

 また製品版に関しては、2004年の第4四半期に予定されているWindows Server 2003 SP1リリースのタイミングで、64-bit Extended Systems版をリリースする予定だとした。ここでは、Windows Server 2003,Standard/Enterprise/Datacenterの各Editionで64-bit Extended Systems版が提供されるほか、現在提供されていないItanium版のStandard Editionも市場へ投入される。また、Windows XPの64ビット版も同時期に提供の予定。これらの製品では、64ビットでの最大メモリサポートがWindows XPで32GB、Windows Server 2003,Datacenter Editionでは1TBまで拡大され、広大なメモリ空間の利用が可能になる。

 最後に藤本氏は64ビット版の方向性について触れ、「Windows Server 2003 SP1が64ビットに向けての重要なマイルストーンだと思っている。ハイパフォーマンスな分野でスケーラビリティを出せると考えており、SQL Serverのポーティングも進行中だ。当社でも積極的にサポートしていきたいと考えているので、ISVの皆様にはぜひこのプラットフォームでベータに参加していただき、引き続き評価をしてもらって、さまざまなレポートをいただきたい」と述べ、講演を締めくくった。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 石井 一志 )
2004/04/23 00:42

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