Enterprise Watch
最新ニュース

変化対応を重視する一方、企業改革に3年を費やす国内CEO

IBM BCS、世界の主要企業CEOを対象にした経営課題についての調査結果を発表

企業変革の実施期間では、国内と海外のCEOに大きな差が見られる
 IBMビジネスコンサルティング サービス株式会社は4月26日、世界主要業界のCEO456人を対象にした今後2~3年の優先課題についての調査結果を発表を発表した。

 調査は2003年9月から11月にかけ、戦略的課題、ビジョン、関心事などについて、IBM BCSの戦略コンサルティングサービス担当パートナーなどが直接面接を行っている。なお調査対象企業のうち3割が製造業、約7割が売り上げ10億ドル以上の企業となっている。また24.8%となる101人が国内企業のCEOで占められている。

 調査結果では、今後3年間の最優先課題として、全体の83.1%、国内企業トップの82.8%が「売上成長」と回答している。また全体では67.8%にとどまる「コスト削減」を国内企業CEOのうち78.8%が挙げている点が注目される。IBM BCSでは、国内企業CEOの傾向として、国内経済の動向からの影響を回避するため、中国をはじめとした海外市場の重要性や、急速な技術革新の必要性を感じているとしている。

 また全体では、市場環境やリスクについて認識・分析し、対応する能力が不可欠とされ、IT導入による効果や、活用の遅れによる影響も認識されている一方、回答からは自社の変化対応力を評価するCEOは少ない結果となっている。さらに国内では、顧客ニーズを受け、商品とサービスを組み合わせて提供する傾向が見られる。

 企業変革にあたっては、CEO全体では人材への投資と経営層の強力なリーダーシップが必要で、その期間は1~2年の短期間で行われるべきとの結果になっている。だが国内企業では、3~5年の中期をかけた段階的な変革が指向され、その実施にあたっては知識やノウハウの共有化が重視されている。

 また海外では、企業の差別化要因として知的資産の最大化を課題に挙げ、人材への投資による社員価値の創造への意欲が強いが、国内ではコスト削減を重視するCEOが多いという違いが見られる。

 なおIBM BCSでは今回の結果を受け、モノからサービスへ、終身雇用から実力主義への移行といった変化を遂げる国内企業に対し、個人のスキルを最大化する「ヒューマン・キャピタル・マネジメント」(「人財」管理)の提供に注力するとしている。



URL
  IBMビジネスコンサルティング サービス株式会社
  http://www.ibm.com/jp/services/businessconsulting/
  プレスリリース
  http://www-6.ibm.com/jp/NewsDB.nsf/2004/04261


( 岩崎 宰守 )
2004/04/26 13:38

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.