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ベリタス、世界共通のCRMを武器にインサイドセールスで市場拡大を狙う


 ベリタスソフトウェア株式会社は、直接顧客にアプローチする「インサイドセールス」を4月21日付けで開始した。同社は2004年の事業方針の中で、ユーティリティコンピューティング実現に向けたソリューション戦略と、ターゲット市場の拡大など「攻め」の営業を目指した営業戦略の2つを中核とした2004年の事業方針を発表しており、このインサイドセールスは「攻め」の営業を大きく支援するものといえる。今回、同社代表取締役社長の木村裕之氏と、米VERITAS Softwareのアジア太平洋/日本地域担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのスティーブン・レオナルド氏に、インサイドセールスを始めた狙いについて話を伺った。


ワールドワイドで顧客情報を共有できる独自CRM

米VERITAS Software アジア太平洋/日本地域担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのスティーブン・レオナルド氏
 インサイドセールスは、同社が開催するセミナーやプロモーションに参加した人を対象に、電話による営業活動を行うもの。当初は、VERITAS Backup ExecやVERITAS StorageCentralなどWindows向け製品を中心に中・小規模市場を対象に行うとしている。

 今回日本で開始したインサイドセールスについてレオナルド氏は、「インサイドセールスは、顧客をよりよく知るためのワールドワイドの戦略。VERITASと顧客をつなぐ新たな方策といえる。ここで得られた意見は、R&Dにフィードバックし次世代製品の品質向上にもつながっている」と、顧客のフィードバックを効率的に入手する手段として効果を発揮している。

 このインサイドセールスの運営にあたり、重要な部分を担うのが、同社が独自に開発したCRMだ。これを利用することで、顧客情報をワールドワイドで一元管理できる。仕様などは外部に公開していないためわからないが、柔軟性が高くSFAとしても利用できるようだ。木村氏は、「ワールドワイドで共通のCRMができたことが日本でインサイドセールスを開始するきっかけの一つとなった」と、仕掛けができたことを理由に挙げている。

 同社は、どの地域の顧客もVERITASの顧客であるという考えから、地域ごとに完結させずワールドワイドで見ることを目指している。インサイドセールスが日本で開始されたことは、ワールドワイドで見ても非常に重要なことだとレオナルド氏は語る。木村氏は「インサイドセールスによって得られた声は、データベースを通じてワールドワイドで利用されることになる」と、日本発の情報が世界各国で生かされることを期待している。


インサイドセールスを市場創出のツールのひとつに

ベリタスソフトウェア株式会社 代表取締役社長の木村裕之氏
 同社は昨年から営業体制作りに力を入れている。従来からあるパートナー経由の販売に加えて、昨年はダイレクト営業の部隊を作り大手70社をフォローする体制を整えた。そして、今回のインサイドセールスだ。2004年年頭に木村氏が発表した「攻めの営業」体制が着々と整備されつつある。営業体制の強化について、木村氏は「われわれの製品が狙うストレージマーケットという市場が、日本ではまだ確立していない。そのため、われわれが積極的に表にでないと顧客になかなか真意が伝わらない」ことが大きな理由であると打ち明ける。

 木村氏が話す新しい市場のひとつがユーティリティコンピューティングだろう。現在、ユーティリティコンピューティングは各社製品を発表しているが、他社製品と組み合わせるのではなく、自社製品で完結するものがほとんどだ。これに対し、ベリタスはソフトウェアによってユーティリティコンピューティングを実現するため、異機種混在の環境でも利用できるのが強みとなっている。「1社だけでシステムを揃えるのは大きな負担になるし、企業としては混在した環境をなんとかしたいと考えているのではないか。こうした潜在的なニーズから市場を創出するのがわれわれの課題。きちんと訴えて市場を作っていき、パートナーとともに刈り取っていく」と話す。インサイドセールスは、こうした活動の中で、ダイレクトに顧客と接する機会が得られるツールととらえているようだ。

 とはいうものの、実際にはWindows向け製品などを対象にインサイドセールスは始めるとしている。木村氏は、「インサイドセールスでは幅広い製品を扱うのに向いていると考えている。これに最適なのがWindowsプロダクトだろう。対象となる顧客の数が圧倒的に多く、商品自体も売り込みやすい。中小規模企業だけを狙うつもりはないが、こうした結果をふまえて、大企業ではなく中小規模企業を対象とした」と、SMBが中心となった理由を説明する。

 当面の目標として、月間1,000コールを目指すとしている。「まずは、データベースに顧客情報を入れ、パートナーに対するフィードバックと、内部の営業をフォローする仕組みを作りたい。もちろん、営業部門なので、なるべく早く売上目標を定める体制としたい」と木村氏は話す。

 インサイドセールス自体は同社内の営業体制であり、今後の成果は外部からは判断しづらい。レオナルド氏は、「VERITASはいろいろなものを測定するのが好きなので(笑)、早い段階で効果測定は行うだろう。競合他社の関係上、成果は公表できないが、日本のベリタスのこれからの成長を見てもらえば、インサイドセールスの成果は理解していただけるとおもう」と述べた。



URL
  ベリタスソフトウェア株式会社
  http://www.veritas.com/jp/

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  ・ ベリタス、「ユーティリティコンピューティング実現元年」を中核とした事業方針を発表(2004/02/10)


( 福浦 一広 )
2004/04/28 00:00

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