Enterprise Watch
最新ニュース

開発、標準化、実証実験を3つの柱にした経産省のグリッドプロジェクト

~Grid World 2004 開幕記念講演

 4月27・28日の2日間、株式会社IDGジャパンとグリッド協議会の主催で開催されている「Grid World 2004」において、「経済産業省のソフトウェア政策とビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトについて」をテーマに経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 課長補佐の祝谷 和宏氏が開幕記念講演を行った。


将来への助走、布石となる「e-Japan重点計画2004」

経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 課長補佐 祝谷 和宏氏
 まず同氏は現在の政府IT政策のアウトラインに触れた。経済産業省では、「2005年までに日本を最先端IT国家に」することを目指した“e-Japan戦略”に引き続き、先導7分野に関してのIT利活用に重点を置いた“e-Japan戦略2”を2003年7月に政策としてまとめている。

 同氏によれば「この目標達成へ向けた重点化、将来への助走、布石となる“e-Japan重点計画2004”を6月までにまとめる」という。ここでは、「e-Japanを実効あるものにするための」重点項目やPDCAサイクルに基づく評価手法の確立などが盛り込まれる。


経産省の「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」

 経産省では、ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクトを2003年から3年間の予定で行っている。富士通、NEC、日立の国内大手ITベンダー3社と産業技術総合研究所が主体となり、「異機種混在環境でのグリッドコンピューティングプラットフォーム提供を目指し、ミドルウェア開発を主眼に推進している」という。開発にあたってはGlobal Grid Forum(GGF)の仕様を導入、またGGFで策定されるグリッドの標準仕様であるOpen Grid Service Architecture(OGSA)へ、その成果を具体的な参照実装として標準化提案している。

 すでに2003年度には、リソースの仮想化と自動割り当て、負荷に応じたアプリケーションへの配分、障害検知などの実装が行われている。今後は自律機能強化、遠隔地間での対応などが進められ、その後、各社により事業化されるという。


プロジェクトの概要。異機種混在環境での稼働を目指した標準化への取り組みとなる 開発、標準化、実証実験を柱にしたプロジェクトのスケジュールは3年間 2003年にはリソースの仮想化、プロビジョニングの機能が実装された

 このように開発、標準化、実証実験を3つの柱に「技術開発だけでなく、ユースケースの可能性を広げるものとして、いかに経営や生活に役に立つのかに重点を置く」と述べた。

 同氏は「企業にはすでに情報システムが大規模導入され、ITを経営に生かすのは自明で、いまやITそのものが経営を左右する時代。効率化によるコスト削減だけでなく、全体最適による経営意思決定の迅速化、リソース利用効率の控除の向上など、インフラ面でのコスト削減と、製品の付加価値創造といった攻めのITへの期待はさらに高まっている」とした。

 また経済産業省では、ソフトウェアの品質と生産性の向上を目指した産学連携のソフトウェアエンジニアリングセンター構想、「ユーザーの選択肢を広げて利益向上を図る産業政策として」のオープンソースソフトウェアの推進、事故前提のITシステムを目指す情報セキュリティ総合戦略などの取り組みを行っている。



URL
  Grid World 2004
  http://www.idg.co.jp/expo/grid/
  経済産業省 情報政策
  http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/


( 岩崎 宰守 )
2004/04/28 12:16

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation All rights reserved.