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三菱電機、2003年度決算は増益も事業分割に伴い売上減


 三菱電機株式会社は4月28日、2003年度の連結決算を発表した。売上高は前年比9%減の3兆3,096億円ながら、営業利益は前年比47%増の927億円、当期純利益は前年のマイナス118億円の赤字から、448億円の黒字となった。

 一方、単独の決算では、売上高が前年比14%減の1兆9,965億円、経常利益は同57%増の417億円、当期純利益は前年のマイナス121億円の赤字から、263億円の黒字となった。


三菱電機株式会社 上席常務執行役 経理部長 佐藤 行弘氏
 同社上席常務執行役 経理部長の佐藤 行弘氏は、「半導体部門を分社化してルネサス・テクノロジを日立と共同で設立したことや、製造業プラント向け電機設備事業分社化で東芝とティーエムエイエレクトリック株式会社を設立するなどの事業再編の影響で支出があったため、連結の売上高はマイナスとなっているが、実質では936億円、2.9%の増収」とした。

 営業利益の好転については、「原価率などの販管費改善」を理由に挙げた。需給の見直しによる棚卸資産の減少が大きいという。また営業外収益については、「退職給付制度を改定し、年金の上乗せ支給分を終了したことに伴い、75億円の増加」となった。

 総資産については分社による移管の影響でマイナス項目が並んだ。同氏が協調したのが借入金の大幅減で、「中期目標である30%をクリアし、1983年の27.2%に次ぐ28.0%となった」という。これは「主に営業利益からなるキャッシュフローを借入金の返済にまわした」ため。投資の増加については、分社に伴う株式持分増加が原因とした。

 2002年度決算は、連結単独ともに赤字だったが、これも「期末の株式評価損、外形標準課税費用によるものだった」とし、「財務体質改善も順調」と述べた。

 2003度決算を事業セグメント別に見ると、産業メカトロニクスの増収増益が目立つ。これは「FAシステムが好調で、特に中国・台湾・韓国などが堅調に推移したため」という。また情報通信システムが営業黒字に転換した。一方、重電システム、家電の各事業は黒字ながら減収減益。前者は「電力・公共といった社会インフラでの不調」が、後者は「10年ぶりの冷夏によるエアコンの伸び悩み」が原因とされた。

 情報通信システムについては、「やっと黒字化したところで、必ずしも好調でない」とした。「携帯電話や通信インフラ関係は若干の赤字で、アウトソーシング事業やSI事業により黒字化している」という。また「2004年は各事業全般で少しずつ伸ばし、120億の利益を予想している」という。

 2003年度唯一の営業赤字となった電子デバイス事業だが、「ルネサス設立前の2002年の半導体不況による赤字は大幅に圧縮している」とし、「大部分はディスプレイモニタの赤字」とのこと。またルネサスは現在の半導体分野の好調を受けて黒字だという。

 また地域別に見ると、2002年度に唯一赤字だったヨーロッパでも黒字転換を果たしている。

 2004年度については、「景気の回復基調と地道な構造改革、業績改善によりさらなる前年比増収増益を目指す」とした。連結では3兆4,000億円の売上高、1,100億円の営業利益を見込んでいるという。

 同氏は今後について「為替要因が見逃せない要因の一つ、現状はもみあい、今後は円高/円安いずれの展開も予測している」という。2004年の想定レートは105円で、為替影響額は対米の売上高で1円あたり約30億円を予想しているとのことだ。



URL
  三菱電機株式会社
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/
  平成15年度連結及び単独決算概要(PDF)
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2004/0428.pdf


( 岩崎 宰守 )
2004/04/28 19:40

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