5月10日から14日まで、サン・マイクロシステムズ株式会社(以下、サン)の主催、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、日本オラクル株式会社、日本BEAシステムズ株式会社(以下、日本BEA)各社の共催により都内で開催されている「Java Hands-On-Lab at Wakhok-Tokyo」において5月10日、稚内北星学園大学 学長 丸山不二夫教授をモデレーターとして、J2EEの有識者によるパネルディスカッションが行われた。
パネラーとして、日本BEAの佐々木 政和氏、日本オラクルの鈴木 潤一氏、日本IBMの米持 幸寿氏、サンの高松 信吾氏がそれぞれ出席し、J2EEの最新動向を踏まえた上で、現在のJavaの世界でのスローガンとも言える「EoD:Ease Of Development(開発を簡単に)」を各社がどのように実現しているかについて、デモを交えながらディスカッションが行われた。
|
右から稚内北星学園大学 学長 丸山不二夫教授、サン・マイクロシステムズ株式会社 高松 信吾氏、日本アイ・ビー・エム株式会社 米持 幸寿氏
|
冒頭で丸山教授は「J2EEの世界でEoDは重要なテーマである」と語り、多くのベンダがEoDの実現に力を入れていることを強調した。パネラーの各氏ともに“現在のJ2EEの敷居は非常に高く、最初に勉強をしなければなかなか使いこなすことができない”と強調し、それぞれのデモではいかにコーディングすることなくJ2EEアプリケーションを開発できるかが中心に紹介された。また「現在クライアント側のアプリケーションでは圧倒的なシェアを誇るMicrosoftのVisual Basicの市場に、J2EEがどれだけ市場を拡大できるかが重要である」とも述べられた。
サンの高松氏は、「開発部門の人でなくとも、業務の合間に片手間でビジネスアプリケーションが作成できるように、簡単な開発ツールを提供する必要がある」と語った。またVBユーザーの多くは、あまりスキルの高くない開発者や開発部門でない人間が占めていることから、「このユーザー層に使いこなせる開発ツールとして、夏に新しいJ2EE開発ツールをリリースし、Webからのダウンロード提供を行う」と述べた。
日本IBMの米持氏は、「これまでJavaはEoDというテーマから逃げていた、あるいは目を背けていた。しかし大規模なシステムを構築するニーズに応えるために、EoDはとても重要なもの」と語った。さらに「J2EEプラットフォームに、既存のメインフレームやクライアントサーバー型のシステムを載せるには、ユーザーインターフェイスの問題を解決しなければならない」とし、VBで開発された多くのクライアントアプリケーションを、画面遷移をStrutsにするなどの手法で、J2EEに移行させるツールを用意することで、J2EEでもVB以上に手軽でリッチなユーザーインターフェイスが実現するとしている。
|
右から日本オラクル株式会社 鈴木 潤一氏、日本BEAシステムズ株式会社 佐々木 政和氏
|
日本オラクルの鈴木氏は、「スキルの高い一部の開発者だけではなく、スキルの低い多くの開発者にもJ2EEの開発ができなければ大規模プロジェクトをこなしていくことはできません」と語る。また、オラクルのもつ圧倒的なデータベースのシェアを背景に、現在オブジェクトとリレーショナル間でのO-Rマッピングの抱える問題などについても触れながら、ツールだけで開発をカバーすることの難しさについて述べた。その上で「MVCをきちんと踏まえたアプリケーションのEoDでは、難しいコード部分を分離することで、開発を初心者と分業する必要がある」と語った。
日本BEAの佐々木氏は、「昨今、我々はコスト削減というシビアな問題に直面している。膨大な人員を投入するのではなく、開発を容易にするツールを導入することで開発コストを下げることが重要」と語り、ビジネスロジックを記述できるカスタムコントロールを活用して開発者とコードを分離することにより、EoDを実現するとしている。
なお、「Java Hands-On-Lab at Wakhok-Tokyo」では、各社の開発ツールを実際に触って行われるセミナーが開催され、EoDを各社がいかに実現しているのか体験できる。
■ URL
Java Hands-On-Lab at Wakhok-Tokyo
http://sdc.sun.co.jp/java/event/javahol.html
( 北原 静香 )
2004/05/11 19:59
|