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マイクロソフト北川氏、「Linuxは無料ではないことを理解してほしい」

~GET THE FACTS SEMINAR ゼネラルセッション

 5月14日に東京の帝国ホテルで開催された「GET THE FACTS SEMINAR」において、マイクロソフト株式会社の市場戦略グループ シニアグループマネージャ、北川 裕康氏が「ビジネスバリューの比較:Windows Server System vs. Linuxベースのソリューション」と題したゼネラルセッションを行った。


Do More With Lessを実現するために

市場戦略グループ シニアグループマネージャ 北川 裕康氏
 北川氏はまずはじめにIT投資について触れ、「現状ではその約70%が既存システムの管理費用になってしまっており、ここを削減して新たな投資を行えるように提案していきたい」と述べる。続いて同氏は自社のシステムを例に出し、「当社では1990年にSAP R/3を導入したが、それだけでなく、そのデータを活用するためのデータウェアハウス、CRMなどへの投資も行っている。日本の企業はERPで息切れしてしまうことが多いが、欧米ではERPははじまりとしてとらえられている。皆さんには戦略的な投資をやっていただきたい」と語った。

 そのために、マイクロソフトでは「Do More With Less」というコンセプトを提唱している。これは少ないリソースでより大きな成果を、ということだが、この2つの、本来相反するはずのことを実現するためには、何が必要なのだろうか。

 北川氏はこれに関して「1)データの保護、2)コスト削減、3)ダウンタイム短縮、4)既存資産の活用、5)売上、収益性、生産性の向上、という観点を重視しており、ソフトウェアに対して毎年50億ドルもの投資を行っている」とする。


Windowsの脆弱性は“一番少ない”

 このうち、まず1つ目のセキュリティだが、同氏はこれを「業界全体の課題だと認識している」という。「商用ソフト、オープンソフトにかかわらず、セキュリティの問題は存在する。また残念ながら、すべてを根絶するのは難しいというレポートもよく見受けられる」とした後、「それぞれのソフトウェアベンダが公開している2003年の脆弱性数を比較した場合、Red Hatは100、Sunは80であるのに対し、Windows XPは28でしかない。また米CERTの勧告(2003年1~9月)では、Red Hatが97、Sunは47だが、Windowsは全バージョン合計で30だけ」というデータを引用。「実はWindowsの脆弱性は一番少ない」と主張する。

 ただし、WindowsのユーザーはクライアントPCを中心に圧倒的に多いため、セキュリティ問題1つに対するインパクトは、ほかと比べて相当大きくなる。北川氏もこれを認めた上で、できるだけセキュリティのインパクトは最小限におさえることをトッププライオリティとして展開しているとし、出荷段階でのセキュリティを確保するための「Secure by Design」、開発者に対するガイダンス提供などの「プログラム」、といった同社のセキュリティフレームワークを紹介した。これに加えて、「コモンクライテリア認定に力を入れており、Windows 2000は商用ソフトウェアレベルとしては最高の“4”を獲得。これはUNIXとほぼ同じだが、一方でLinuxは最高でも“2”まで。LinuxはWindowsやUNIXのレベルにまでは達していない」と語った。


ディストリビューション中心になったLinuxはもう無償ではない

 またコスト面では、「システムの評価はTCOでするべき。Linux導入時に評価されるポイントはイニシャルコストの安さにある。しかし、長いライフサイクルで考えると、イニシャルコストはその一部に過ぎない」と述べ、教育や維持・管理などを考えたときには、Windowsの方が優れているという米IDCのデータを示した。続けて北川氏は開発者の生産性という面に触れ、米MiddlewareのWebアプリケーションを使ったケーススタディでは、.NETを利用した場合、Javaを利用した場合の1/4のコード量、1/5のチューニング作業で済むという資料も示し、「たいていの(業務システム導入の)場合、システム開発は不可欠で、開発者の生産性は重要なコスト要因になる。ここでもWindowsと.NETが優れているということだ」と同社製品を利用するメリットを主張している。

 さらに、「大手の新聞社がLinuxを形容するときは“無償の”とつけるが、今無償で提供されるものはほとんどなく、どこかのディストリビューションを購入することになるだろう。無料なのはカーネルの部分だけで、実際はLinuxも購入する時代になった。OSの機能はさまざまなサービスから成り立っており、(そうしたものが含まれる)ディストリビューションとして考えると無償ではない」と述べたほか、米META Groupのコメントも引用して、Linuxは“無料”ではないという点を何度も強調していた。


エコシステムが評価されるWindowsプラットフォーム

 相互運用性に関しては「すべてWindowsで済むということはあり得ない。ほかのデータやアプリケーションとWindowsをつなぐことは大事」としてWindows Service for UNIXを無償で提供していることなどを紹介。信頼性の面では、「Windows NT 4.0や2000 ServerよりもServer 2003の信頼性は向上している。NT 4.0の時のように何度もリブートを繰り返していたらLinux側に行きたくなるかもしれないが、一度Windows Server 2003の信頼性を体験して欲しい」と述べ、自信を見せた。

 最後に北川氏は「大事なことはグローバルエコシステム。当社だけではすべてを構築してサポートすることはできない。Windowsの周囲にはパートナー、技術者などがたくさんいるし、開発ツール、アプリケーションなどもさまざまある。Windowsの評価が高いのはこの部分だ。当社では当たり前のレベルのOSではなく、より高い価値を持った製品を今後も提供していく」と語り、講演を締めくくった。



URL
  マイクロソフト株式会社
  http://www.microsoft.com/japan/


( 石井 一志 )
2004/05/17 00:00

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