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エンタープライズ向けの「堅い」Linux提供を目指す日本オラクル


 日本オラクル株式会社は5月28日、「Unbreakable Linux戦略」を説明する、プレス、アナリスト向けのアップデイトセミナーを開催した。このUnbreakable Linuxとは、「壊れない・侵入できない」Linuxの技術基盤をOracleの手で作る、というコミットメントだ。これを具体化するため、日本オラクルでは2003年の5月に新戦略を発表しているが、今回は日本オラクルのマーケティング本部 本部長の清水 照久氏がこの1年を振り返っての成果、また今後の展開に関しての説明を行った。


エンタープライズ分野で成長するLinux

日本オラクルのマーケティング本部 本部長 清水 照久氏
 2003年5月の新戦略発表の時点で日本オラクルが表明したことは、要約するとエンタープライズ分野への導入促進、ということだ。そしてこの実現のために、Linux OSと製品を一体化したサポート体制の確立や、IT技術者の育成促進などをかかげて展開するとしていた。

 では実際の活動はどうだったのだろうか。清水氏は「技術面では、すべての製品でLinux対応を済ませたことは当たり前として、Lunix OSのソース自体をコミュニティに提供したり、北京をはじめとする4カ所に開発センターを設けるなど、Linuxに対してコミットしてきた」と語った。またサポートに関しても、「OracleではOSを含むソフトウェアのサポートを、コードレベルで提供している」とし、「つまり、Oracleに電話をすれば、データベースだけでなくOSそのもののサポートも受けられる」とワンストップのサービスを提供している点を強調、「これができるのはOracleだけ」と胸を張る。

 こうしたOracleの取り組みの背景には、エンタープライズ分野においてIAサーバーが普及してきたことがある。Linuxもその勢いを受けてWindowsとともに成長しているが、清水氏は「その中で日本オラクルは国内のLinux RDBMS市場において60%(出荷金額ベース)を超えるシェアを獲得している」とした上で、金額自体も「ほぼ倍々ゲームで増えている」こと、またDatabase、Application ServerともLinux版の中でEnterprise Editionが占める割合が増え、「UNIX版の比率にとても近い」数字になっていること、Database Enterprise EditionにおけるRAC搭載率の急上昇、などをあげ、Linuxがエンタープライズ領域の中に浸透しつつある、という現状を振り返っている。

 またそれを示すように、清水氏はOracle自身でLinuxがどのように使われているか、ということを説明。昨年、ラリー・エリソンCEOが述べた「We run our whole business on Linux.」という言葉を引き合いに出した清水氏は、アウトソーシングサービスでのLinux使用率がほぼ100%になったこと、社内のファイル共有、メール、WebなどがLinuxへほとんど移行したこと、アプリケーション開発環境のLinux移行が完了したこと、などをあげた。

 一方、技術者育成に関しては、昨年の発表にあったとおり「Unbreakable Linuxパートナー協議会」を作り、マーケティング的協業のみならず、技術者の情報交換や事例紹介などを行う場として機能させているという。同社ではこのほか、従来より行われているトレーニングコース「Oracle 10g TOP Gun」なども拡大、技術者の支援に努めていく意向を示した。


単なるマイグレーションにとどまらないメインフレームビジネスを展開

 続けて清水氏はセキュリティに関して言及し、製品開発の中でセキュアなコーディング標準をはじめとした取り組みを行っているとしたほか、「Pay Now ,or Pay later」という言葉を引き合いに出した。これは、「今コストをかければ、あとあと余分なセキュリティコストはいらない、というユーザー側でのこと以外に、ベンダ側でも、今しっかりした開発プロセスをとっておけば、後にお客様に迷惑をかけずに済む」(清水氏)という姿勢を表したものといい、データベース製品のISO 15408 レベル4取得(予定)や、Red Hatと共同でLinuxそのものに対してレベル2を取得するなど、セキュリティ向上に対して力を注いでいるという。

 そして今後進むべき方向として、「引き続きLinuxコミュニティでリーダーシップを発揮していく」ことを強調した上で、エンタープライズ分野ではメインフレームの置き換えにISVと共同でミッドマーケットへもフォーカスを強めること、Red HatやSUSE、Asianuxへのワンストップサポート、IT技術者の育成などにもより力を入れていく述べた。特にメインフレーム関連ビジネスに関しては、メインフレームそのものを利用したzLinuxの提供など、単なるレガシーマイグレーションにとどまらないビジネスを展開することを、清水氏は強調していた。



URL
  日本オラクル株式会社
  http://www.oracle.co.jp/


( 石井 一志 )
2004/05/28 16:46

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