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JEITA、ミッドレンジなどの2003年度出荷実績を発表

e-Japan、Linuxはプラス要素とはなりえずと言及

総出荷実績
 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2003年度のメインフレーム、ミッドレンジ、ワークステーションの出荷実績をまとめ、このほど発表した。

 これによると、ミッドレンジコンピュータの出荷実績は、台数では前年比1%増の18万6453台となったものの、価格下落の影響を受け、金額ベースでは14%減の5313億円となった。

 そのうち、UNIX系サーバーは、前年比1%増の5万9347台、金額ベースでは14%減の3434億円、Windowsを中心とするNOSサーバーは、台数では前年比1%増の12万1643台、金額ベースでは7%減の1349億円となった。

 出荷台数では、NOSサーバーがミッドレンジ全体の65%を占めたが、逆に金額ベースでは65%をUNIX系サーバーが占めるという結果になった。

 同協会では、別途調査しているパソコン出荷の統計に含まれているサーバーの出荷実績と、ミッドレンジの出荷統計実績を足した「IAサーバー」という出荷統計調査を別途まとめており、これによると、2003年度のIAサーバーの出荷実績は、前年比15%増の32万2734台、金額では前年比6%減の2545億円となった。このうち、Linuxサーバーが占める割合は約1割だという。

 なお、オフコンなどの独自OSサーバーは、金額では26%減の525億円、台数では2%増の4433台となった。

 ミッドレンジ全体の産業別出荷を見ると、金額ベースでは、製造業、サービス関係、公共関係への出荷金額が上位3業種となった。


総出荷台数内訳 総出荷金額内訳

メインフレームは下げ止まり傾向に

 一方、メインフレームは、台数では前年比5%減の1241台、金額ベースで前年比29%減の2625億円となった。

 半期別では、上期が448台(前年同期比32%減)、1234億円(22%減)となったのに対して、下期は金額では22%減の1391億円となったものの、台数では前年比22%増の793台となり、下期に回復傾向に転じたことを示した。

 産業別では、金額ベースでは、サービス関係が最も多く、全体の34%を占め、次いで国家公務および政府関係機関、金融関係、製造業、地方公務の順となった。

 なお、ワークステーションは、台数で3%減の6万7768台、金額で29%減の494億円となった。


IT投資促進税制はプラス要素に

 今回の出荷統計を振り返り、同協会では、「e-Japan計画は、将来的にはプラスの要素につながるポジティブなものと受け止めているが、今回の統計には出荷増として影響しているわけではない」とコメント。メインフレームにおいて、国家公務および政府関係機関向けの出荷が、台数ベースで59%増という大幅な伸びになっていることに関しても、「一過性のもので、継続的に続くものではない」とした。

 また、最近注目を集めているLinuxサーバーの動きについても、「日本においては、Linuxが目立つほどの増加傾向にあるわけではない。2004年度以降になって、伸びるのではないか」と分析している。

 だが、IT投資促進税制に関しては、「すでに、20%の企業が適用しているという調査結果もあり、プラス要素だと判断することができる」として、出荷増になんらかの影響を与えたと見ている。

 そのほか、ミッドレンジでは、上期は台数が前年並の8万7011台、金額が22%減の2345億円であったのに対し、下期は台数で1%増の9万9442台、金額で7%減の2967億円と徐々に回復基調にあることを示し、「とくに、これまで厳しかった高価格帯での回復が目立つ。下期は4000万円以上のクラスで前年比15%増、1000万円以上4000万円未満では1%増と、ともにプラスに転じた」とした。


2004年度はオープンサーバーでプラスの予測

 こうしたミッドレンジ分野の好調ぶりから、なかでも、主力となるオープンサーバーは2004年度はも好調に推移すると予測。オープンサーバー合計では、台数で前年比5%増、金額では3年ぶりに増加に転じるものと予測している。

 同協会では、「ミッドレンジは、新たなIT投資の中核として、潜在投資力は非常に高いと見込んでいる。企業業績の改善による投資抑制緩和、アウトソーシングビジネス拡大などの情報システムモデルの変革といった、オープサーバーの需要にとって好転要素もある」としている。

 一方、メインフレームは、「高度な社会インフラシステムとして今後も根強い需要が期待できること、メインフレームでなくてもいいようなシステム案件は、ほとんどオープン系への移行が進んだと判断できる」として、「台数、金額も下げ止まり傾向にある」とした。しかし、台数では前年比6%減となり3年連続のマイナス成長、金額では8%減と、96年以来連続のマイナス成長からは抜けきれないと見ている。



URL
  社団法人電子情報技術産業協会
  http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm


( 大河原 克行 )
2004/05/31 17:03

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