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米Intelワクスマン氏「EM64T技術が使われるのは、一部のワークステーションのみ」


 インテル株式会社は6月2日、企業サーバー向けプロセッサであるItanium、Xeonのロードマップや市場戦略についてプレス向け説明会を開催した。


米Intel エンタープライズ・プラットフォーム事業本部 エンタープライズ・マルチプロセッサ・プラットフォーム・マーケティング・ディレクター ジェイソン・ワクスマン氏

XeonとItanium、2つのアーキテクチャでエンタープライズ市場をカバーする
 米Intel エンタープライズ・プラットフォーム事業本部 エンタープライズ・マルチプロセッサ・プラットフォーム・マーケティング・ディレクター ジェイソン・ワクスマン氏は、サーバー向け製品のアーキテクチャについて「ワークステーション、Webサーバーなどのフロントエンドからアプリケーションサーバーまでの領域をXeonでカバーし、データベースやミッションクリティカルシステム、HPCはItaniumでカバーしている」とした。

 Itaniumについて同社では、現在のところ“RISCマイグレーション”としての採用を全面に打ち出している。同氏は、「ItaniumはRISCの2倍のプライスパフォーマンス」とし、「エラー訂正やデータの整合性に関する技術を盛り込んでいるため、信頼性に関してもまったく問題ない」とした。

 価格についても「2002年には1.0GHz/3MBキャッシュのシステムが18,000ドルだったが、2003年には11,000ドル、2004年には1.4GHz/3MBで7,980ドル、1.0GHz/512KBのエントリーシステムだと2,100ドルまで下がっている」とコスト効果を強調した。今後は2005年にデュアルコア、24MBキャッシュで投入予定の“Montecito”に続き、2007年の“Tukwila”では、マルチコアをはじめ、I/Oやメモリバスの高速化などの拡張により、「Xeonと同レベルのコストで、現在の2倍のパフォーマンスとなる」とした。

 ItaniumとXeonを台数ベースで比較するとXeonが85%、Itaniumが15%ながら、出荷金額では51:49とほぼイーブンとなっている。同氏はXeonとの関係を「別の目的に基づいた互いに補完しあうアーキテクチャ」と述べた。

 そして性能面でほぼ同じとなるItanium 1.5GHz/6MBキャッシュ 4WayとXeon 2.8Ghz/2MBキャッシュ 8Wayのシステムを比べた場合に、現時点で既に「コストではItaniumが方が低くなる」とした。なおこの例では、Xeon 8Wayが64GBメモリ、Windows Server 2003、SQL Serverの構成、Itanium 4Wayが96GBメモリ、Red Hat Liunux、Oracle 10gの際の比較となっている。

 またItaniumを、AMDのOpteronと比較した場合について同氏は、「2Wayシステムで比べた場合、性能面では1.5倍になる一方、価格は1.36倍程度」とし、「価格性能比で優位である」とした。


2007年までの
Itaniumのロードマップ
Xeon 8WayとItanium 4Wayシステムの性能/コスト面での比較 ItaniumとOpteron/Power 4/Xeonそれぞれとの比較

Xeonのロードマップ
 2月にサンフランシスコで行われた「IDF 2004 Spring」において発表されたXeon DPでの64ビット拡張技術「Extended Memory 64 Technology(Intel EM64T)」の採用について、「3.6GHz、1MBキャッシュで、2004年後半よりスタートするNoconaコアからになる」とのこと。

 同氏はIntel EM64Tについて「プラットフォームから、OS、ツール、ドライバ、アプリケーションのそれぞれが対応する一連のステップが必要になる」とし、「どんなアーキテクチャでも2年から4年かかる。Itaniumでは1年前からスタートしており、キャッチアップにはもう少し時間がかかるだろう」ととの考えを述べた。

 また「この技術が必要とされるのは、多くのメモリを要する一部アプリケーションを使うワークステーションだけだろう」とし、その割合についても「今後1~2年のうちには、80~90%のXeonサーバーでは32ビットアプリケーションが主に使われ続ける」との見方を示した。

 また最近課題として取り上げられる消費電力の増加に対しては、「モバイルで活用されるSpeedStep技術を基にした技術を“Nocona”コアより採用する。これにより消費電力のレベルを維持して性能が向上できるほか、ポリシーをベースに、システムごとに電力のリミットも設定できる。また同性能で低消費電力といったニーズにも対応できる。またDDR2の採用も低消費電力に寄与するだろう」とした。



URL
  米Intel
  http://www.intel.com/

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( 岩崎 宰守 )
2004/06/03 10:47

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