サン・マイクロシステムズ株式会社は6月8日、プライベートイベント「Network Computing 2004 Summer」を開催し、米Sun Microsystems ソフトウェアエンジニアリング担当バイスプレジデントのスティーブ・ペリッティエ氏が「Sunのビジョンと戦略“ソフトウェア戦略を中心に”」と題する基調講演を行った。
■ サン・ミラー社長「オープンによる競争がより良い革新を生む」
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サン・マイクロシステムズ株式会社 代表取締役社長 ダン・ミラー氏
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講演に先立って挨拶を行ったサン・マイクロシステムズ株式会社 代表取締役社長のダン・ミラー氏は、ソフトウェア担当だったジョナサン・シュワルツ氏のCEO就任、またCPU製造を手がける富士通との提携などから、ソフトウェアベンダーとして傾いているとの最近の同社への見方を受け、「ハードでもソフトでもなくシステムに注力する」とした。
同氏は全米の通信サービスを1社で提供していたAT&Tを例に「当時の通信サービスは決して高い付加価値があるとはいえなかった。現在、サービス基盤としてのネットワークはコモディティ化し、オープンなアクセスを提供している」とした。
そしてJavaの周辺技術についても「我々ほど多くのオープンソースを提供しているのは、バークレー大学を除けば存在しない」とし、「オープンソースで活用されることで、われわれにも競争という火の粉が降りかかるが、これによりレベルも上がり、より良い革新が生まれる。それが顧客に良いこととの信念を持っている」と語った。
同氏は「オープンな市場で互いを磨きあうことで、より良い革新を創出し、競争力を身につけられる」との考えの下、提携を結んだマイクロソフトの最大のライバルとしてデスクトップ市場においても製品の拡大を図っていくとした。
また富士通に加え、マイクロソフト、AMDなど、影響力の大きい大手ベンダーとの提携がここ1年の間に相次いでいることについては、「ある意味で守りの姿勢といえる」とし、「野球でも、単に守備だけでなくアグレッシブに、バランスよくやってはじめて勝てるもの」とした。
同氏は「イノベーションには、ハードウェア、ソフトウェア、パートナーの3つの要素が不可欠」とし、ソースネクストとの提携によりStarSuiteをすでに20万ライセンス出荷したこと、さらにNECフィールディングとのサポート共同展開などを挙げ、「今後数年間は守備ではなく積極的に攻撃に回っていく」と語った。
■ 米Sunペリッティエ氏「Solarisは重要な鍵となるコンポーネント」
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米Sun Microsystems ソフトウェアエンジニアリング担当バイスプレジデント スティーブ・ペリッティエ氏
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新製品であるID管理ソフト3製品
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SunのRFIDソリューション
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米Sun Microsystems ソフトウェアエンジニアリング担当バイスプレジデント スティーブ・ペリッティエ氏は、米航空宇宙局(NASA)の火星探査機からの画像送信を例に、「ネットワークはいまや惑星間にまで到達している」とした。また着信メロディやゲーム市場を例に、「Javaハンドセットである携帯電話は2.5億台を出荷し、PCよりも台数が多い」とした。そして今後は「RFIDにより、今後15~20年の間に1兆のデバイスがネットワークにつながる時代には、新たなビジネス機会、ビジネスモデルを生む劇的な変化が訪れるだろう」と語った。
次に同氏は、上海で行われたイベント「SunNetwork Shanghai 2004」の発表内容を受けて、Sunのネットワークコンピューティングについて語った。このなかでも「Solarisは重要な鍵となるコンポーネント」だという。次期バージョンとなるSolaris 10では、「メインフレームのように多くのコンテナを実装するなど、大きく改善されている」とした。またAMDとの提携によりx86も急速展開し、「プラットフォームを横断した広範囲なサポートを提供する」とのことだ。
またSun Java Desktop Systemについては「経済状況や地域にもよるが」としながら、「官公庁向けの1人あたりの価格設定がわずか33セントになる」と価格面のメリットを強調した。
このユーザーを管理するインフラとなるアイデンティティ管理の分野では、「昨年11月に買収したWaveset Technologiesの技術を組み込んだ」Identity Manager、Access Manager、Directory Server Enterprise Editionの3つからなる新製品が7月にも発売される。Directory ServerはLDAPベースのID管理製品で、リポジトリにID格納する。またAccess Managerは従来のIdentity Serverの後継となる認証インフラコンポーネント。リアルタイムでアクセス権の判別が可能となる。また「最近、重要性が高まっている」管理ソフトがIdentity Manager。各拠点ごとに、ユーザーグループごとにポリシーベースのユーザー管理が行えるという。
また同氏は「何もかもをネットワークにつなげる手段」となるRFIDのミドルウェア「Sun Java RFID Information Server」が、「まもなく日本向けにも発表される」とした。そして同社のRFIDに関する取り組みとして、研究所をダラスに開設した点にも触れた。
■ URL
Network Computing 2004 Summer
http://jp.sun.com/company/events/nc2004/
( 岩崎 宰守 )
2004/06/09 00:01
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