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「ユーティリティコンピューティングはITの現状を知る手段にもなる」米VERITAS


 米VERITAS Softwareは2003年に、それまでのバックアップソフトウェアを中心とした戦略から、ITリソース全体を管理する「ユーティリティコンピューティング」を軸とする戦略への転換を発表した。それから1年間、同社は既存の製品のアップデートや関連する技術を持つ企業の買収などを行い、現在では「ほとんどの製品のユーティリティ対応が完了した」(同社会長兼CEOのゲイリー・ブルーム氏)という。

 同社はユーティリティコンピューティング環境の実現によって、さまざまなベンダーの製品が混在するヘテロジニアスなITシステムにおいて、ストレージをはじめとしたリソースを統合し、管理・運用方法の標準化・自動化を進めることで管理者の負担を軽減することができるとしている。さらにリソースの利用状況を計測することで、水や電気のように利用した分を計測し、課金できるシステムを構築可能だという。


一般企業でも有用なリソースの計測機能

米VERITAS Software マーケット&ストラテジー バイスプレジデント ロビン・プロヒット氏
 2004年5月3日から7日までの5日間、ラスベガスで開催された「VERITAS VISION 2004 LasVegas」では、ユーティリティコンピューティング戦略における、いくつもの新たな施策が明らかにされた。その1つとして2004年初旬に米Ejasentを買収した際に取得した、データセンター内のリソースの利用量を計測して課金・請求を行う技術「MicroMeasure」を、同社製品群のポータルとなる「CommandCentral Services」に統合するという発表があった。

 MicroMeasureにより、リソースの課金システムが近いうちに実現する見通しだ。しかしこの課金システムは、利用する側からすれば非常に便利だが、システムを構築しようと考えるユーザーはどれほどいるのだろうか。水は水道局、電気は電力会社からしか提供されないようにITリソースもISPなど一部の業者が提供するものであり、一般企業には縁がないようにも思える。

 同社マーケット&ストラテジー バイスプレジデント ロビン・プロヒット氏はこれに対し「課金はしないまでも、企業内の各部門別にリソースをどれだけ利用しているかを計測し、レポーティングすることができる」と、IT投資に対する費用対効果を明らかにする手がかりになることを説明する。利用量≒稼働率が高いリソース、低いリソースを見極め、取捨選択を行う目安にすることができるわけだ。続けてプロヒット氏は「ユーティリティコンピューティングとはCIOなど支出を担当する人たちに社内ITの現状を理解するきっかけを与えるもの」と、テクニカルとは別の側面からのアプローチでの活用を挙げた。


アプリケーションの問題解決をサポートするi3

 またVERITAS VISION 2004では、アプリケーションパフォーマンス管理ソフトの「VERITAS i3 7.0(以下、i3)」を米国内において2004年第4四半期よりリリースすると発表された。

 アプリケーションパフォーマンス管理機能とは、サービスレベルの監視を行って問題が発生した場合に、どの部分に原因があるのかを究明し対策を支援するというもの。プロヒット氏は、「例えばWebアプリケーションにおいても、Webサーバー・アプリケーションサーバー・データベースといったさまざまな要素が複雑にかかわっている。i3はアプリケーションと別のレベルから調査を行い、“パラメータのチューニングが必要”、“サーバーリソースの不足”、“データベースから効率的にデータを抽出できていない”、といった問題個所を短期間に特定することができる」と説明する。

 i3もユーティリティコンピューティング環境の一翼を担い、ほかのリソース管理ソフトウェアと統合して、パフォーマンス管理において従来では得られなかったレベルの情報を取得することができるようになるという。


日本での展開は10月以降?

 日本においては、CommandCentral Servicesなどユーティリティコンピューティング戦略を支える製品は発表されていない。「ローカライズには数カ月かかることもある」(プロヒット氏)ほか戦略の違いなどの影響もあるようだが、IT管理者のみならず期待が集まるところだ。プロヒット氏は国内の展開について、10月に日本国内で行われる同社のカンファレンスの中で「何らかのアップデートを発表する」と述べるにとどめた。



URL
  米VERITAS Software
  http://www.veritas.com/
  ベリタスソフトウェア株式会社
  http://www.veritas.co.jp/
  プレスリリース(VERITAS i3 7.0)
  http://www.veritas.co.jp/ja/JP/resources/press/PressReleaseDetail.jhtml?newsCI=62089_2004_05_24_pr

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( 朝夷 剛士 )
2004/06/10 10:41

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