6月10日に株式会社IDGジャパンの主催で行われた「STORAGE NETWORKING WORLD TOKYO 2004 SPRING」において、「ILMの導入とその効果~アダプティブエンタープライズ(適応型企業モデル)におけるILM~」のテーマで、日本ヒューレット・パッカード株式会社 マーケティング・ソリューション統括本部 執行役員 マーケティング・ソリューション統括本部長 古谷 幹則氏が基調講演を行った。
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日本ヒューレット・パッカード株式会社 マーケティング・ソリューション統括本部 執行役員 マーケティング・ソリューション統括本部長 古谷 幹則氏
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まず同氏は「ビジネスを取り巻く環境は、短時間のうちに予測もできないほど大きく変化する。この変化に対する適応力が求められている」とした。
こうした市場の変化として同氏はいくつかの例を挙げていった。「RFIDによりデータがリアルタイムに集まることで、ただでさえ年率で40%増加しているデータが、この1~2年にも10倍、100倍になりかねない」。
また国内で来年から個人情報保護法が施行された場合には、「例えばマーケティングのためなら30代男性、東京在住などの属性情報だけで十分だ。にもかかわらず個人が特定できるデータをそのまま使い回すケースもみられる」と問題視、ビジネス上のニーズやポリシーにより情報を変化させる必要があるとした。
またデータを一定の時間内に取り出せる形で一定期間保持し、その真性も保証しなければならないSarbaneces-Oxley法などの規制も挙げた。
こうしたなかで企業では、個別に最適化されたERPやCRM、SCMなどのシステムの複雑化と、コスト削減圧力が変化への足かせとなり、「適切な解を見つけ出すプレッシャーにさらされている」とした。
米HPが小売業界に対して調査を行った結果では、「企業では迅速なサービス提供、つまり俊敏性を差別化要素と考えている」という。
HPの提唱するアダプティブエンタープライズは、ビジネスとITの同期を促進し、「企業のシステムに俊敏性を加え、変化対応をチャンスに変える仕組み」だ。
一方、ストレージ統合の考え方は、データの生成から消去までの一連の取扱いのなかで、その活用頻度によりオンライン/ニアライン/オフライン/テープアーカイブといった実環境のシステムに組み合わせるもの。
ILMは、データの増加、セキュリティ、コンプライアンスといった俊敏性を阻害するビジネス要因を踏まえ、このストレージ統合を行うものといえる。
同氏は「変化へのビジネスの要求からデータ、インフラの統合があるべき」と述べ、「情報管理の全体像、グランドデザインがないとビジネスの優位性を失う」とした。
そして「最適な管理手順を自動的に判断する仕組みや、ハードウェア的な面では、各ベンダーの差はあまりない」とし、「適材適所の組み合わせをビジネスに反映させるためには、ビジネスプロセスの理解が重要になる」とした。
■ URL
STORAGE NETWORKING WORLD TOKYO 2004 SPRING
http://www.idg.co.jp/expo/snw/
( 岩崎 宰守 )
2004/06/10 19:26
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