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ヘテロ環境のストレージシステムを管理できる標準モデル「SMI-S」

~STORAGE NETWORKING WORLD TOKYO 2004 SPRING

 6月10日に株式会社IDGジャパンの主催で行われた「STORAGE NETWORKING WORLD TOKYO 2004 SPRING」において、「ストレージネットワーキングの現状と展望 ~ストレージネットワーキングの普及・発展を目指して~」のテーマで、Storage Networking Industry Association Japan(以下、SNIA-J)会長 和田 健一氏が、4月に米フェニックスでSNIAが主催した「STORAGE NETWORKING WORLD」を基にした基調講演を行った。


SANストレージに関するアメリカの動向

Storage Networking Industry Association Japan 会長 和田 健一氏

IPストレージに適する領域としてSNIAが挙げるのが図のオレンジ色の6箇所
 STORAGE NETWORKING WORLDでは、「バックアップ/リカバリについての講演が相変わらず多かった」とのことだが、なかでも「ATAのニアラインストレージを用い、ディスクトゥディスクのバックアップを行うことで、時間短縮と運用の高信頼化への期待が語られた」という。しかし同氏は「コスト的にみたときには、まだテープに一日の長がある」とし、「ユーザーが用途により使い分けるのが一般認識になっている」とした。

 またストレージシステムをDASからSANへの移行に関する講演は、ディスク利用率が向上する一方、管理コストが下がる。このため、「TCOを低下させることから、注目を集めていた」という。

 このほか交換可能なリムーバブルに関する議論など、「主に技術よりコストやプロセス、リスクといったビジネス面の評価に重点が移っている」とのことだ。

 またIPストレージの適用範囲についても議論が行われたという。同氏は「FC SANを拡張・補完するものとして利用ができる」とし、「IP SANのみの構成は価格面で有利になる」とした。また「ストレージ統合、データプロテクションやディザスタリカバリなどの用途が考えられる」とした。


ストレージ管理コストを削減する「SMI-S」

 ストレージ内のデータは年率で40%増加している一方で、システムそのもののMBあたりのコストが下がっているため、コストは抑えられている。しかし同氏によれば「管理コストは増加する一方」だという。

 この要因としては「ストレージシステム内には複数ベンダーのデバイスが混在し、それぞれのデバイス情報や、管理アプリケーションとのインターフェイスが、ベンダー固有のために、デバイスごとに管理する必要があった」とし、これが管理の複雑さを招いているとした。

 SNIAではこれを解決するものとして、Webベースのストレージシステム管理標準モデル「Storage Management Initiative Specification(SMI-S)」を策定している。インターフェイスにもSMNPやHTTPなど、すでに存在する標準技術が利用されており、「OSに依存せず、将来の拡張に柔軟に対応するほか、既存ストレージを移行する技術も確立している」という。またベンダーの側にも「新デバイスを迅速に市場投入でき、開発も合理化される」と、そのメリットを強調した。

 なおこの仕様は2003年第2四半期に公開されており、この取り組みを進めているSNIA内のストレージ管理フォーラムには、現在までに主要大手ストレージベンダーのほとんどが参加し、相互運用性に関する実証実験もすでに行われている。「この4月には14社108製品がテストプログラムに合格しており、2005年までにすべてのストレージ製品での対応を目標としている」とのこと。アメリカではEMCのストレージデバイス、、Brocadeのスイッチ、IBM、ベリタス、HPの管理ツールを用いた実際の稼動デモも行われた。

 なお国内の相互運用検証施設であるインターオペラビリティラボにおいて、ディザスタリカバリ、またIPストレージについての実験を行っている。


マルチベンダーのシステム構成におけるストレージ管理標準「SMI-S」のデモがアメリカで行われた 国内の検証センターでも相互運用検証が行われた。これはディザスタリカバリシステムの例 国内で行われたIPストレージのマルチベンダー間の相互運用検証システム

SANストレージ導入に関する日米アンケート調査

 次に同氏は日米のSANストレージ導入に関するアンケート調査の結果を紹介した。結果を見ると、アメリカではシステム拡張への対応や管理効率、ストレージ統合など機能面への期待が高い一方、日本ではバックアップ/リカバリ性能の改善とコストへのニーズが特に目立っている。

 またベンダーへの期待に関しても日米で大きな違いが見られ、アメリカでは管理ツールと相互運用性、日本では信頼性とコストが突出した結果となった。こうした傾向はベンダーの選定基準でも変わらないが、「国内ではサービスサポートの項目も重視される」とのことだ。



URL
  STORAGE NETWORKING WORLD TOKYO 2004 SPRING
  http://www.idg.co.jp/expo/snw/
  Storage Networking Industry Association Japan
  http://www.snia-j.org/

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  ・ SNIA-J喜連川氏、「ストレージが主役となる時代が来た」(2003/11/11)


( 岩崎 宰守 )
2004/06/10 19:26

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