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金融営業担当ディレクター、トーマス・M・アマト氏
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日本ネットワークアプライアンス株式会社は6月10日、プレス向けのセッションを開催した。その中で米Network Appliance(以下、NetApp)の金融営業担当ディレクター、トーマス・M・アマト氏は、米国におけるNetAppの取り組みについて「当社の製品はハイテク・技術系企業に多く受け入れられてきたが、今後は金融系を含めたエンタープライズビジネス分野でも受け入れられるよう、ソリューションの開発を進めている」と解説し、その一環としてSIerとの協業を推進していくと述べた。
アマト氏によれば、現在NetAppが積極的に取り組んでいる分野は、政府、金融、エネルギー産業の3つあるが、その中でも金融関係のビジネスが1番伸びているところだという。Fortune 500の企業のうち、金融関係は132社。NetAppはこのうち71社を顧客としており、ワールドワイドでもすでに800社以上の金融関係企業に同社はシステムを導入している。「2003年度の当社売上に占める同分野の割合は、2年前の5%程度から、12%、130~140億円程度に成長した」(同氏)。
その金融分野だが、「米国ではEnron事件以後、コンプライアンスの規制が強くなっている。例えば、SEC(米証券取引委員会) 17a-4の遵守事項の強制によって、メール、IM、ボイスメールなどを3年保管し、提出要求があればすぐに出せるようにしなければならない」とアマト氏が述べたように、金融関係ではコンプライアンス順守に対する圧力が強くなっている。
また、2001年9月11日の同時多発テロ以来、ディザスタリカバリに関するニーズは高まっており、企業ではダークファイバーで結んだバックアップサイトを、35~50km圏内に設けるなどの対策を取っていたという。しかし、ニューヨーク大停電のような広域災害ではこのバックアップは役に立たなかった。このため、「現在ではIPネットワークで結んだ遠距離バックアップサイトが求められている」(アマト氏)。
NetAppではすでにこうしたニーズを満たすものを製品レベルでは用意しているものの、アマト氏は「今後はビジネス向けのソリューションパッケージとして、提案書のような形でユーザーに提供できるよう、グローバルなSIerとの連携を計画している」とし、すでにIBMやベリングポイント、アクセンチュアといったところと話を進めていると語ったほか、アプリケーションパッケージベンダとの協力もよりいっそう深めていきたいとした。
これらの取り組みはまず米国からというが、今後は各国の状況を見ながら米国外にも広げていく予定だ。「日本市場の重要性も認識している」と述べた同氏だが、現時点では、日本の金融機関でNetApp製品がそれほど普及しているとは言えない。こうした状況を踏まえてNetAppでは、ニューヨークやロンドンと同じように金融関係の専門チームを日本法人内に設置するほか、日本法人全体の社員数を倍増するなど、日本国内での活動体制を整えていく意向だ。
■ URL
米Network Appliance(英語)
http://www.netapp.com/
日本ネットワークアプライアンス株式会社
http://www-jp.netapp.com/
( 石井 一志 )
2004/06/10 20:50
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